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    お題箱ガチャ回した結果その①
    「純粋な感謝の言葉すら「自分に感謝するなんて、変なの」としか思わない朝日奈朔。×風祭優志郎「【急募】朝日奈朔からどうにかして頼ってもらう方法」」
    後者のお題はちょっと変えた

    ##蒼色の地獄へようこそ

    永遠に主人を求める君と友人になりたい俺。 長年一緒にいると、ふと思うことがある。

    「なぁ佐藤。ちょっと相談があんだけど」

    「……え、ゆうしろさんがおれにそうだん? どうかしたんですか? 仕事つかれました?」

    「はったおすぞ」

     俺が第3新東京支部ここの支部長に任命という名の左遷をされてから早十数年。俺の従者をしている朔に次いで付き合いが長いのがパトリオット改め佐藤志士だった。
     佐藤とは付き合いが長いせいかお互い気兼ねなく会話をし合えている……、と思いたい。まぁ俺が威圧感でも出していなければ大丈夫だろう。たぶん。

    「やめてくださいよ! で、なんですか? そうだんって」

    「……朔のことなんだけど」

    「さくさん? さくさんがどうかしたんですか?」

     どうかしたかと言われれば別にどうもしてない。けどそのどうもしてない状況が問題というか。

    「この前久々に連絡が取れたから長期間悪いなっていうのと、ありがとうなって言ったんだよ、朔に」

    「うんうん」

    「そしたらアイツ、なんて言ったと思うよ」

    「っ。え~? ゆうしろさんのめいれいが仕事だからお礼なんて、みたいな……ですか?」

     うん、惜しい。
     さすが付き合い長いだけある。というかもしかして朔のこと知ってる奴。第3に俺と佐藤しかいないのか?
     それはまずいな……。帰ってきた時不審者扱いされないようにしておかないと。

    「惜しい。〝おれは優志郎さんの従者なんだからこれくらい当たり前なのに。おれに感謝なんて変なの〟だそうだ。しかもめちゃくちゃ笑ってた」

    「さ、さくさん……」

     朔の名前を口に出しながらも俺に同情というか憐れみの視線を送ってくる佐藤。やめろ。俺をそんな目で見るな。
     感謝の言葉すら伝わってなくて可哀想とか死んでも思うな。

    「……という訳でだ。ほいこれ」

    「? なんですかこれ?」

     言うのと同時に用意していたスケッチブックを机の上で見えるように立てる。

    「俺から佐藤への相談」

    「えっ まだほんだいにも入ってなかったんですか えっと、【急募】朝日奈朔にどうにかして俺の感謝を伝える方法……? ゆうしろさん、これ、むりがあるんじゃ……」

    「バカ言え、佐藤。俺も無理だと思ってるからお前に相談してんだよ」

     俺が何か言っても無駄だというのはどう足掻いても明白な事実だし、もう俺の頭では何も思いつかん。

    「えー。そんなのおれにだってわかんないよー! そもそもの主人と従者っていうのをどうにかしないと、いつまでたってもさくさんこのままなんじゃ……?」

    「……」

     佐藤の言葉が凄い俺にグサグサ刺さる。ちょ、酷くないか?
     コイツ唯一ガキ共のの中で味方してくれる良い奴だと思ってたのに。ちくしょう、これが本当のダブルクロスってか。

    「俺がまだ実家にいる頃からだからな、アレ……。実家とも縁を切った今、もう従者じゃなくてもいいとは言ってるんだけどな」

    「さくさんきかなそうですもんね」

    「まぁそういうことだ」

     そもそも、俺はアイツを従者にしようと思って連れてきた訳じゃない。それしか方法がなかったから朝日奈家に任せたのに、気付けば朔は俺の従者になっていた。俺としては主人と従者、上司と部下みたいな堅苦しいものではなく、もっと気軽な……、友人としていたいのだが。
     伝わっていない、というより、分からないという体を守っていたいという風に見えるのは俺の気のせいではないだろう。
     朔は、俺と真逆の考えである、俺を主人としていたいのだ。

    「おまえ以外に朔のこと相談できるのいねぇしなあ。どうすっか」

    「あ! じゃあこんどさくさん帰ってきたときおれもいっしょにお礼いいますよ。で、けがしてたらめちゃくちゃふたりで心配する、とか!」

    「お。まじ? 手伝ってくれんのか?」

    「さくさんには昔からおせわになってるし、おれもお礼いいたいですし」

    「これで朔がどうにか俺たちに寄っかかってくれればいいんだがなぁ……。ま、地道に行くか。ありがとうな、佐藤」

    「いいえー。あーあー、さくさんはやく帰ってこないかな」

     佐藤の呟きを聞きながら、今度タイミングの良いときに任務を切り上げさせて支部まで帰ってこさせるか、と一人心に決めるのだった。


    -To be continued-

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