万精節の夜に万精節の夜に
この世界にもハロウィンのようなイベントがある。
それは万精節という精霊を祀る為の祭りだ。
万精節の夜には精霊が現れるといい、人々の間に混じり精霊が気兼ね無く楽しめるようにと様々な仮装をして祭りを楽しむ。というのが万精節の主旨であり、最大のポイントである。
王都城下もそれは例外では無く、思い思いの仮装をし、貴族も平民もなく祭りを楽しむのだ。
その日、俺も朝から支度に追われていた。
精霊を迎える為の準備をする為だ。
今日ばかりは王城の仕事も休みになり、人々は皆浮ついている。年に一度のこの祭りは誰しもが待ち侘びる行事だからだ。
貴族の当主は豪華な仮装を纏う事が暗黙の了解として伝わっている為、俺は朝から揉みくちゃにされている最中である。レヴォネ家では蒼い竜を祀っていて当主を初めとしたレヴォネ家の者はその竜に纏わる仮装をすることが多い。俺も例外では無く、水竜アルヴィオーネをイメージした衣装を仕立てた。
1929