雷の話 ピシャリ、と空に閃光が走る。一寸遅れて響くごろごろ……本日の本丸は雷雨に見舞われていた。
「まーた光ったなぁ」
「そうだな。……しばらくは止まないだろう」
大典太御用達になりつつある蔵で何をするでもなく休日を過ごしていた三池兄弟。雨脚は強まるばかりで、母屋へと戻る僅かな距離の移動も億劫になるほどだ。
「雷の日なのに非番なんて残念だよなぁ。出陣だったら兄弟のカッコイイ活躍が見れたのに」
「別に……少し調子が良くなるだけだ」
「またまた」
からからと笑うソハヤに対し、小さな文庫本の陰に隠れるように膝を抱えて大きな体を縮まらせる大典太。素直な褒め言葉に照れているらしい。
「加賀では雷が多かったからな。蔵にいても稲妻と雷鳴は届く……外のことが分かるのは嬉しかったんだ」
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