大i包i平×八丁プロトタイプ「ね、兄さん俺に情けを頂戴なっ、……なんて、」
そう言って、俺は兄さんに抱きついた。平時のような軽い口調のままにしたかったけど、取り繕えなかった。いつもだって、縁起物らしく、明るくと思って軽い喋りを目指している。少々無理をしているのだ。
古備前の兄さん方ならどちらでもいい。たまたま、包平の兄さんの部屋の方が俺に充てられた部屋と近かったから。そんな理由で八丁は大包平の部屋に夜分に忍び込んで兄さんの胸に縋り付く。わざとらしい上目遣いで、見た兄さんの顔は驚愕に満ちていて。彼にしては珍しく一言も発されない。ただ眉間の皺と、銀朱の瞳が困惑を物語っていた。
だめかな、と八丁念仏は思う。大包平の寝巻きにすがりついた指が震えそうだ。でもここで、撤退するわけにはいかなかった。右だけ長い、非対称の髪の毛の先が視界に入る。少し、ほんの少しだけ青が薄まっている。
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