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    えんどう

    @usleeepy

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    えんどう

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    ▽フランちゃんとエミヤ君が出ます

    ##第三者がいる話

    ぐだおと王様とフランちゃんとちょっとエミヤの話▽フランちゃんの思考が幼い
    ▽みんながだべってるだけ
    ▽ぐだキャスギル







     昼下がりの食堂。食事を摂る事を好むサーヴァントで賑わう食堂も、今は閑散としていた。報告書のまとめが長引き、ようやく一段落したところでひとり遅めの昼食を摂っていた立香は、食堂の扉が開く音を聞く。見ればそこには目に鮮やかな赤と金のコントラストが美しい王と、華やかな白をまとった、薄紅色の髪の少女が並んで室内へ入ってきたところだった。
     ついその珍しい組み合わせに意識を奪われていた立香の方へ二人が歩み寄ってくる。
    「ゥ!」
     立香を見、先に声を発したフランケンシュタインに、立香はこんにちは、と返す。言葉を発すると疲れるという彼女の普段の言葉でも、なんとなく解るようになっていた。
    「珍しい組み合わせですね」
     腕組みをして幾分不満気な顔で隣に立つ王に話しかける。珍しい、どころかカルデア内で見たのは初めてのような気がする。
    「なに、この者が貴様に用があると言うのでな、道行きが同じだったゆえにここまで共に来たまでの事よ」
     こくこく、と頷くフランケンシュタインの隣でギルガメッシュが簡単に説明する。目的地が同じだから一緒に来た、それだけだと王は言う。
    「王様、オレに何か用だったんですか?」
    「は?」
     フランケンシュタインの目的地は立香、ギルガメッシュの目的地はフランケンシュタインと同じ。という事はギルガメッシュの目的地も立香という事になる、のだが。
    「我は別に貴様に用など――」
     言いかけて、はたと口を噤む。自分の失言に気づいたらしい。フランケンシュタインは意味が解らないようで、愛らしい仕草でこてんと首を傾げている。
    「王様、用もないのにオレに逢いに来てくれたんですか」
     顔がにやけているのが解る。無意識に逢いに来ようとしてくれていたのだ。これが嬉しくない筈がない。顔を背けたギルガメッシュとにやつく立香を交互に見たフランケンシュタインは、何かに気づいたように「ゥ!」と声を上げた。
    「どうしたの、フランちゃん」
     その声にフランケンシュタインを見ればごそごそとドレスの腰のあたりを探り、布の中に手を突っ込む。ドレスなのにそんなとこにポケットなどついていたのか。そしてそのポケットから何かがぽろぽろと落ちる。
    「人造の、また落としているではないか」
     呆れたように言うギルガメッシュがしゃがみこんで床から何かを拾い上げる。拾い上げたものをぽい、とこちらに放ってきて、立香は咄嗟に受け止めた。
    「…………クッキー?」
     それは購買部で売られているクッキーの包みだった。
    「ァー! ゥ!」
     ばらばらばらと上から同じ包みや違う包みが降ってくる。どれも菓子で、そのドレスの一体どこに、と訊ねたいくらいの量だった。
    「貴様に食わせたいようだぞ。食え」
     ぞんざいに言うギルガメッシュの冠から伸びる布をフランケンシュタインはくいくいと引っ張る。
    「……解っておる。解っておるゆえ、引っ張るのは止せ」
     さすがのギルガメッシュもフランケンシュタインの純真を無下にはできないらしい。そういう事もあるものなのか。にこにこと楽しげなフランケンシュタインはそのまま、ギルガメッシュの布を掴んだまま立香の隣へ座った。
    「ゥー!」
     ぐいぐいと強めに引かれてギルガメッシュが傾く。解った解ったと繰り返しながら、ギルガメッシュがフランケンシュタインの隣へ腰を下ろす。立香、フランケンシュタイン、ギルガメッシュ、というなんとも奇妙な並びが完成した。ギルガメッシュの表情は呆れを通り越して諦めの境地に達していた。
    「ゥ。ァー! ゥ」
     菓子の山をフランケンシュタインは三つに分ける。そのうちの三分の一を立香の前へ、残りの半分をギルガメッシュの前へ押しやる。ギルガメッシュの言葉通り、食べろ、という事らしい。
    「王様、あの……」
    「皆まで言うな」
     ギルガメッシュはこの事態をすでに知っているらしい。未来視……ではないだろうから、ここに至るまでに聞かされたのだろうか。会話にならない会話をする二人を思い浮かべて、思わず笑えば咎めるような紅い目線が刺さる。微笑ましいと思っただけで、咎められるような事は何も考えていない。
    「フランちゃん、ちょっと待ってて」
    「ゥ?」
     首を傾げるフランケンシュタインを置いて、立香は厨房のカウンターへ近づく。まだ後片付けやこのあとの仕込みをしている彼に余計な仕事を頼んでしまうのは心苦しいのだが。
    「どうした? マスター。随分賑やかなようだが」
     横目でちらりと二人を見遣り、エミヤは微笑ましげに口に笑みを敷く。やはりあの組み合わせは微笑ましく見えるらしい。
    「フランちゃんがお菓子持ってきてくれて。何か飲むものがあればいいなって思ったんだけど……」
    「なるほど。そういう事であればすぐに用意しよう。なに、間もなくティータイムだ」
    「ありがとう、エミヤ」
     立香に気を遣わせないよう笑う弓兵は任せてくれ、と胸を張った。それじゃあ、と踵を返した立香の背中へ、低音が投げかけられる。
    「ああ、そうだマスター。ティータイム用にケーキを焼いていたのだが、君らには不要だったかな?」
    「食べます」
     振り向いて即答する。何せとにかく彼の作るものは美味しいのだ。そういえば食堂には甘い匂いが満ちていた。頭を使いすぎて甘いものが欲しかったし、食べないわけがない。
     立香の反応を見たエミヤは、ふ、と笑う。
    「解った。三人分用意しよう」
    「四人分にして。エミヤもよかったら一緒に」
     言えばエミヤは面食らったようにグレーの目を瞬かせて、それからいつもの笑みを浮かべた。
    「マスターがそう言うなら、ご相伴に与ろう。ちょっと待っていてくれ」
    「うん」
     今度こそ踵を返して二人の元へ戻る。待ちくたびれたと顔に書いてあるギルガメッシュに謝りながら腰を下ろす。
    「今エミヤがお茶を淹れてくれるので、もう少し待ってください」
     ケーキもあるみたいですよ、と言えばくたびれた顔が、ぱ、と明るくなり、頬杖をついていた身体を起こし腕を組む。大変解りやすい反応でありがたい。
    「雑種にしては気が利くではないか。貴様がどうしてもと言うのであれば今暫く待ってやらん事もない。王は寛大だからな」
     俄然機嫌が良くなった事に安心半分、微笑ましさ半分。二人の間で喋る方を見て交互に顔を動かしていたフランケンシュタインは、何かに納得したように頷く。
    「そういう事だから、フランちゃんももう少し待ってね」
    「ゥ!」
     任せろ、と言わんばかりの頷きっぷりである。立香が笑えばフランケンシュタインもにこりと笑った。たまにはこういうのもいいだろう。もうすぐエミヤがティーセットとケーキを持ってくる。四人だけのティータイム。それはきっと賑やかだが穏やかな時間になるだろう。たまにはこういうのも、悪くない。

       ❀❀❀

     きらきらわらう、ますたー。わらわないけど、きらきらした、おうさま。ふらんは、ますたーがだいすき。ますたーがだいすきなひとも、だいすき!
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