マグダラのマリアホストクラブ「MAGDALENA」。この街でも名前の知れた店である。
青いネオンが輝く店内に足を踏み入れると、暖かみのあるオレンジのネオンを基調に、シャンデリアが煌めいている。
長い階段を降りていけば、店内は平日の夜だというのに賑わいをみせていた。特に水曜日、この日は人の出入りが多い。
その原因はこの店のオーナーである柴大寿が顔を見せに来店することがま挙げられる。
毎週水曜日、閉店の1時間前きっかりに来店するこの男は、店内に足を踏み入れた瞬間そのことを店内の誰もが理解する。
どう見ても上等だと思われるコートにスーツ、派手な柄のストールを巻いているが、その下から覗く首筋にちらりと見えるタトゥーには誰もが目線を奪われるだろう。日本人離れしたくっきりとした鼻筋と顔立ちにスタッフだろうかと思われるが、その佇まいや貫禄、近寄り難い雰囲気には店側の人間では無く、その筋のものと捉えられても仕方ない。何より、大寿が訪れたことで店内は色めき立つと共に、スタッフ一同の気を引き締める意味あいがあった。
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