不死騎団長の苦悩「この人質、収容できません」
「――は?」
『牢屋にでも放り込んどけ』と指示したはずの虜囚をわざわざ玉座の間まで連れてきたがいこつは、そう事務的に言ったのだった。
***
「使うの久しぶりだからチェックしましたけど……。うちの牢屋、使っちゃダメなやつですよ。設備が古すぎ。照明が足りないし寝台もないしトイレもない。清潔を保つための風呂とかの設備もありません。アウトです。三十年前はどうだったか知りませんけどもう令和なんで。人質にも守られるべき人権ってやつがあるんですよね」
役人のようなセリフを滔々と吐くいこつの声。謎の状況にきょとんとした顔でヒュンケルとがいこつを交互に見るマァムの手を後ろ手に縛った縄を持ったまま、がいこつはその縄の端をひょい、とヒュンケルに差し出した。
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