可哀想で可愛い「…うんうん、良いツーショットだなぁ♡」
「…………………………………」
吐きたくなるほどの嫌悪感、殴り続けられてるような頭痛、腹の中で蠢く熱。オレが今、Satanに何をされたのかを分からせられるには十分な証拠だ。
一周まわって涙も出ないくらいの絶望感に襲われるオレを横目に、コイツは無理矢理撮ったツーショットに気持ち悪い笑顔を向けている。
「いい顔じゃねーか、この絶望感に襲われてる死人みたいな顔♡♡可愛い!!」
「………………………………」
「…おいおい、なんか喋ってくれよAkane。さっきまでずっと喋ってただろ?『嫌だ』『殺してやる』『気持ち悪い』ってさ」
ズボンを履き、未だ動かないオレにシーツを被せるSatan。大きな手で頭を撫でて、情事のことを語り出す。
「すっげーヨかったぜ?
Akaneの中は熱くて、気持ち良くて…一日ずっと中出ししたから子も孕んでる。精子の量も悪魔級だったしな!アハハハッ!!」
「……………………」
くだらないことを淡々と喋るSatanにはもう心底呆れている。気持ちが悪い言葉が耳を通り、鼓膜を破りたいとさせ思う。
「嬌声もオレの心を鷲掴みにして…お前は何でいっつもオレを虜にするんだよ〜!可愛いヤツめっ♡」
チュッ、とリップ音が聞こえたがそれを拒む力は残ってない。あぁ、最悪だ。
「あ、そうそう。
あのツーショットと他のヤツらにも送ったから」
「………ぁ?」
なんて言った?送った?あのツーショットを?あの醜態を晒したあの写真を?
「喋ったなぁ!そうそう!オレたちもうヤることヤったし、晴れて夫妻じゃんか?それをアイツらにも伝えねーとって思ってさ!」
「いやだッッ!!!」
「お?」
「やだッやだ、なんで?なんでおくったのッ!?ねぇ、いますぐけしてッ!!おねがい!!ねぇってばッ!!!」
「ククッ…♡いきなり必死になって可愛いな、でも残念。もう返信きちゃったんだ♡」
向けられた画面にはオレの知っている人ばかりで。送られたという現実から目を背けたくて離れようとすると、Satanは「しっかり見ろよ」と組み敷いて、現実逃避をさせないようにする。
「あぁぁ…あぁぁあぁぁあ…!!」
「泣いちまって…さっきもあんなに泣いてたのにまだ涙が出るのか?Akaneは泣き虫だなぁ…♡♡」
溢れる涙を舌で舐めとるSatan。
生きた心地がしない、オレはもう死んでいるのと変わらないのではないか。
「この話はやめにしようぜ。折角Akaneとの二人の時間なんだし、もっとさ…あ、そうだ!子供の名前を決めようぜ!何にしようか」
………あぁ、希望をください。
たすけて、Lucifer…