進捗晒し 人の欲望が渦巻き集う夜の銀座。その一角にあるビルの中の扉を開けば、目の眩むほどの内装の輝きと漂う香水の香りが非日常的な空間を演出している。
廊下を抜けフロアに入れば美しく着飾ったホステスたち。この界隈でも選りすぐりの美女が集まり、ごく一部の「勝ち組」と呼ばれる男たちによって毎晩桁違いの金が飛ぶように使われる高級クラブだ。
このような店で多くのホステスに囲まれひとりで酒を飲むということは、この街に通う大多数の男が憧れ欲するものだろう。
ただ、まさにそんな状況下にいるにもかかわらず、龍宝はただ苛立ちを感じるばかりだった。
その日の夕方。ひととおり組の仕事を終えた龍宝に鳴戸が声をかけてきた。鳴戸からの誘いは龍宝にとってはいつだって心が飛び跳ねるほど嬉しいものだ。
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