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    shouenbou

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    shouenbou

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    とあるモブおじのはなし

    「は?俺の耳に触りたい?」

    台輔はその御玉体を『専用の御椅子』に預けながら半分眠そうに仰った。
    台輔はお昼ご飯の後の休憩中であった。休憩時間には最近の春めいた気候を浴びたいそうで、専用の御椅子を仁重殿の露台に呼びつけて、心地よい風を浴びながら鬣を梳いてもらい、御椅子の『座面』に横になり耳掃除をさせている最中だった。

    「俺は別にいいけど、」
    「馬鹿なことをぬかすな」
    『専用の御椅子』のお言葉に露台に侍る我々は心の中で「デスヨネー」と安堵の声を上げた。しかし、小さくなって畏まりながら、伝奏の官は続けた。
    「仰る通りでございます、罷りならぬと申しましたところ、その者は台輔の御耳に触って不敬罪で死を賜るなら本望だと申しまして、四日の間も飲まず食わすで国府の門に居座っておるのでございます。」
    「面倒な輩だな。」
    詳しく聞いたところ、その者(萌夫叔父(モブオジ)と名乗った)は先日の式典の際に台輔のお姿を目にし、それ以来台輔の尊いトンガリ耳のあまりの美しさ可愛らしさに仕事が手につかなくなり職を失い、昼は台輔の姿を思い出してはボンヤリし、夜は夢に見ること一月あまり、懸想のしすぎで食事も満足に摂れなくなりすっかり痩せ細ってしまった。この者の周りの人々は哀れに思い、このまま露と消える命ならせめて直訴して御耳を拝ませていただいてはどうかと結託してモブオジを荷馬車に載せて門に運び、一緒になって国府に押しかけて訴えているとのことである。

    「なんて可哀想なやつなんだ……、なあ尚隆、ひゃっ」
    「アホか。適当に馬でも鹿でも連れてきて、その者に目隠しをして存分に耳を触らせてやれ。」
    専用の御椅子(主上)は細い竹串に綿を巻いたものを台輔の耳に突っ込み、くるくる回しながら宣った。
    台輔は身動きできない体制のため、横になったまま尊い涙を一粒零された。

    のちに聞くところによると、そのモブオジとやらは台輔が自分のために涙を零されたと聞き、感激して気絶したという。知人達は気絶したモブオジを郷里に連れて帰り、里家に入れたとのことである。以来、モブオジは時々ボンヤリしながら里家で草刈りをして暮らしているという。
    めでたしめでたし。
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    lvdeshanye

    MEMO白銀の仁重殿ショック、あれ衝撃でしたね…
    えっ、王様仁重殿自由に行き来出来ないの!?じゃあ今までたくさん二次で読んできた夜這いかける尚隆今後見れなくなっちゃう…?!?!って思わずそこ心配しちゃった。超シリアスな場面で。
    その時は尚隆は律儀に毎回許可とりそうだなって思ったんですが、今回は好き勝手入ってくる感じで書きました。
    はにわの書く失道ネタはすべて夢オチです。BGM:Le couple/sofa
    尚六ワンドロ・ワンライ お題「夜這い」 ふと暖かい気配を感じて、六太は目を覚ます。うっすらと目を開けながら帳の方を見やると、程なくして男が侵入してきた。
     男は片手で天幕を押し上げて、口元に笑みを浮かべている。
    「許可した覚えねーけど」
     些か不機嫌な声で六太が言うと、その男――六太の主である――尚隆は、気にしたふうもなく答えた。
    「警備が甘いな。庭の裏手だ、四阿あずまやのある」
     王と言えども勝手に仁重殿に入ることは許されない。何より麒麟の身の安全が優先される、言わば最後の砦なので、ここだけは王の権力の範疇外にある。六太の了承がなければ尚隆は入って来られない筈の場所だった。けれどどうしたものか、尚隆は度々こうやって、夜の闇を渡り六太の元を訪れる。普通に事前に知らせれば許可を出さないなんて事は無いのに、どうしてか黙って警備の目を掻いくぐってやって来ては、いたずらが成功したとばかりに笑っているのだ。
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