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    shouenbou

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    しょうもない年始のアホ文

    新年小噺

     新年早々に白沢が餅を喉に詰まらせた。
     白沢と二人きりの朝餉の席に居合わせていた尚隆は大いに焦った。これほど焦ったのは300年ぶりのことであった。尚隆は餅を吐き出させようと必死で白沢の背を叩いた。
     その場面に出食わしたのは朝餉の後に尚隆が脱走しないよう目付けに来た成笙であった。蒼白になった白沢と、必死に白沢の背をぶっ叩く尚隆という図に、いつも沈着冷静な成笙もさすがに面食らった。ついに尚隆が乱心したのかと思い、一瞬刀の柄を見たほどであった。素早く状況を把握した成笙は、尚隆に白沢を抱えさせて腹部を叩打した。
     その場面に出食わしたのは、帷湍と朱衡と二人に連行されてきた六太であった。何度も腹部を突き上げられる白沢を見てあまりの惨劇に六太は気絶し、使令が慌てて影から飛び出してきた勢いで帷湍は壁に吹っ飛ばされた。
     朱衡は六太を縛った縄を持ったまま、女官を呼び出す鐘を叩いた。女官たちは尚隆を捕獲する知らせと勘違いし、鐘を鳴らすと捕縛係の力士達が窓から雪崩れ込んできた。
     正月から玄英宮の王の私室は踏み荒らされてんやわんやの騒ぎとなった。

     暴れる王が捕縛された頃、やっと白沢が餅を吐き出した。この騒動により、雁国の新年の朝儀は半刻遅れの開始となった。
     その年の延王の初めての勅令は、「餅はよく噛んで食べよ」であった。その年、雁国では餅を喉に詰まらせて死んだ者はいなかったという。

    めでたしめでたし。
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    lvdeshanye

    MEMO白銀の仁重殿ショック、あれ衝撃でしたね…
    えっ、王様仁重殿自由に行き来出来ないの!?じゃあ今までたくさん二次で読んできた夜這いかける尚隆今後見れなくなっちゃう…?!?!って思わずそこ心配しちゃった。超シリアスな場面で。
    その時は尚隆は律儀に毎回許可とりそうだなって思ったんですが、今回は好き勝手入ってくる感じで書きました。
    はにわの書く失道ネタはすべて夢オチです。BGM:Le couple/sofa
    尚六ワンドロ・ワンライ お題「夜這い」 ふと暖かい気配を感じて、六太は目を覚ます。うっすらと目を開けながら帳の方を見やると、程なくして男が侵入してきた。
     男は片手で天幕を押し上げて、口元に笑みを浮かべている。
    「許可した覚えねーけど」
     些か不機嫌な声で六太が言うと、その男――六太の主である――尚隆は、気にしたふうもなく答えた。
    「警備が甘いな。庭の裏手だ、四阿あずまやのある」
     王と言えども勝手に仁重殿に入ることは許されない。何より麒麟の身の安全が優先される、言わば最後の砦なので、ここだけは王の権力の範疇外にある。六太の了承がなければ尚隆は入って来られない筈の場所だった。けれどどうしたものか、尚隆は度々こうやって、夜の闇を渡り六太の元を訪れる。普通に事前に知らせれば許可を出さないなんて事は無いのに、どうしてか黙って警備の目を掻いくぐってやって来ては、いたずらが成功したとばかりに笑っているのだ。
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