23:59.
現在時刻、23時50分。それを腕時計で確認したトランクスは溜息を吐いた。CCの社長室で絶賛残業中だからではない。もう今日やるべき仕事は全て片付けてある。――いや、まだひとつだけ大きな仕事が残っていた。それに取りかかる前に、トランクスは似合わない眼鏡を外した。
「……」
通信端末を取り出したトランクスは、そこに短いメッセージを打ち込んだ。だが送信ボタンを押そうとすると、その指は止まってしまう。結局トランクスは、そのメッセージを消してしまった。さっきから同じことを何度繰り返しているだろう。そんな自分に、トランクスはまた溜息を零した。
(昔なら、何も考えずに伝えられたのに……)
子どもの頃は思いっきり抱きついて、無邪気にその耳元で伝えることが出来た。だがいつからか、余計なことをあれこれ考えてしまうようになった。お互いとうに成人した幼馴染同士で、相手は十歳近くも年上で、絵にかいたような幸せな家庭もあって――今日だって、きっと家族から沢山のお祝いを受け取っただろう。
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