もっと、ずっと、これからも。.
大きな門だった。だがそれを押し開けるのに苦労したのは、その重さのせいでも、俺が隻腕だからでもない。怖かった。この門の向こうで、自分を待っている相手に会うのが怖かった。でもこの機会を逃したら、もう二度とあの子には会えない。そう聞かされてしまったら、ここまで来てしまった。会うのが怖いのに、それ以上に、やっぱり、会いたくて。
胸に詰まっていた臆病な気持ちを、息とともに吐き出して重い扉を開けた。その向こうには一本の道が続いていた。その脇にはきれいな花が沢山咲いていたが、どれも見たことがない。ここはあの世とこの世の境目らしいから、そのせいかもしれない。その道を進んでいくと、一本の木が見えた。その下に人影が見えた。
2012