Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    s_toukouyou

    @s_toukouyou

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🍩 🍣 🍮 🍨
    POIPOI 159

    s_toukouyou

    ☆quiet follow

    水銀黄金
    10月のテーマ「かぼちゃ」

     ラインハルトは外出しようとして玄関のドアを開け、視界にうつった光景に目を疑った。大量のかぼちゃが並べられているからである。思わず開けたばかりのドアを閉めて、もう一度開けた。しかし大量のかぼちゃがそれで消えるわけもない。
     外出するにしろ、外出をあきらめるにしろ、もはやこれからの予定はこの大量のかぼちゃを片づけることで埋められるだろう。ため息をついて、髪をくしゃりとかき乱す。
     とはいえ、目をそらしていてもなにも進まない。片づけを始めようと、落としていた視線を上げたその時。ふと玄関に置いてある鏡に目がいった。鏡越しに黒い影のような男と目があう。振り返りながら後ずさると、目の前に男がひとり立っている。
     にこにこと機嫌が良さそうに彼はいった。
    「おや、偶然ですね。お会いできると思っていなかったのですが……」
    「本来、出かけるところだった」
    「ええ、そのようですね。しかしこれでは出かけるのは難しいでしょう。片づけをお手伝いしましょうか。ああ、そうだ。ちょうど時期ですし、ジャックオーランタンでも作っても良いかもしれませんね」
     なんの反応もしていないというのに、男はひとりで楽しそうにしゃべり続けて、妙に洗練されたしぐさでかぼちゃを拾い上げ、当然のようにラインハルトの家にあがった。
    「招いていないんだが」
    「ふふ、吸血鬼ではないので」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃🎃
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    other8e

    MOURNING幸せであれ
    ※しじみ食べたことないので食感は検索してみたけど実際のところ知りません
    「嶺二」
    ぼくの名前を呼ぶ声にゆっくり目を開けると、ベッドの端に腰をかけたランランの姿があった。
    「おはよう、嶺二。やっと起きたな」
    ランランはぼくの頬をそっと撫でてふわりと微笑む。少しくすぐったい。カーテンの隙間から射し込む陽の光が、ランランのまだセットしていないふわふわの髪の毛を明るく照らしてきらきらと輝いている。
    「いまなんじ?」
    身を起こしながら聞くと、7時だと教えてくれた。ちょうどいい時間だ。
    体を起こしたものの疲労の残る体はまだ少しだるくて、ベッドの上でぼうっとしてしまう。ランランの小さく笑うような声が聞こえたかと思うと、ぎしりとベッドの軋む音と唇に優しく触れる感触。それにうっとりとする間もなくランランはぼくから離れて、物足りなさを感じて見上げるぼくの髪を大きな手でくしゃくしゃとかき乱した。
    「ちょっとー!」
    「目ぇ覚めただろ?朝飯作ってあるから早く顔洗ってこい」
    「うん」


    着替えは後回しにして、顔を洗って歯を磨いてリビングに向かうと、美味しそうな匂いがぼくを待っていた。
    「わー!すっごい!和食だ…!」
    テーブルには、お味噌汁に焼き鮭に卵焼きが並んでいて、どれもまだ白い 2846