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    こんぺいとう

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    スタオケ現三年生組 :【花火】
    朔夜・竜崎・赤羽・三上・鷲上+唯で花火

    昔、フリドロ企画でめちゃくちゃかわいい唯ちゃんのイラストに書かせていただいた作品の加筆修正版です!
    二年生組(当時)のわちゃわちゃが書きたかった 笑

    ※ 時系列無視の謎時空で、彼らが二年生時の夏のお話です

    『星明かりMarch』開催ありがとうございます✨

    2023/09/16

    #スタオケ
    #星明かりMarch

    花火庭に出ると、そこにいた全ての視線が自ずと朔夜のほうを向いた。
    竜崎、三上、赤羽、鷲上。
    寮生活のため、夏休みだというのにほぼ毎日誰かしらと顔を合わせている、というくらい見慣れに見慣れた顔ぶれ。
    しかし、その中に、ここに呼びつけた張本人の姿はなかった。
    「あれ、九条1人?朝日奈さんは?」
    二人一緒に現れると思っていたらしい赤羽がキョロキョロと辺りを見回す。
    「知らない…というか、何で一緒にいる前提なんだ…」
    「九条も朝日奈からの連絡で、ここに来たんだろう?全く…自分から呼びつけておいて遅れるとは…!!」
    竜崎が携帯の画面を覗きこみながら、眉間に皺を寄せて憤慨している。
    時刻は17時05分。
    朝日奈からのマインで指定された時刻より、既に5分が経過していた。
    「今回集められた目的は、昼の勉強会で話していたことだろうか」
    「…あれ、本気だったんだ…」
    鷲上と三上の言葉に、朔夜は昼にこの面子で集まったことを思い出す。



    「やっぱり、最後は花火だと思うわけです」
    朝日奈は、至極真面目な顔で言った。
    それは、オケの練習の合間。
    昼食を終え、次の練習が始まるまでの時間に夏休みの宿題をしていた時だった。
    この勉強会は二年生の間でいつしか恒例となり、夏休みも終盤に差し掛かった今では、オケの練習とほぼ必ずセットで行われるようになった。
    とは言え、もともと早くから宿題に手を付けていた朔夜、竜崎、三上、鷲上のため…というよりも、後回しにしていた朝日奈と赤羽のための勉強会と化していたが。
    「…何の話だ?」
    「いいね、花火!やろうやろう!!」
    訝しげに眉根を寄せる朔夜の横で、赤羽がパァッと顔を輝かせた。
    「夏休みもいろいろあったけど、最後の思い出作りにはやっぱり花火かな、って!」
    イェーイ!!とハイタッチに興じる朝日奈と赤羽を横目に、三上は大きな溜め息を零す。
    「…花火って後片付けとか面倒だろ?それに、この人数でやったら、あっという間に終わっちゃうよ」
    「あっという間に終わっちゃうのが花火の醍醐味…情緒じゃん!!」 
    「…それ、本当に分かって言ってるのか…?」
    尤もらしいことを言ってのける赤羽に、三上はジトっとした視線を送った。
    赤羽は満面の笑みでサムズアップを返したが、なんとなく分かっていないだろうことは容易に読み取れた。
    「…確かに、」
    静観していた鷲上が口を開く。
    思わず皆が動きを止め、続く鷲上の言葉を待った。
    「皆で花火をしたら、良い思い出になる気がする」 
    心なしか口角を上げ、優しく微笑む鷲上に、その場の空気はクッキリと分かれた。
    瞳を輝かせ、鷲上にハイタッチを求める者と、諦めたように大きな溜め息をつく者。
    そして、
    「…お前たち、」
    唸るような低い声が、空気を震わせる。
    朝日奈と赤羽がハッと気づいた時には、バンッと竜崎が机を叩き、立ち上がったところだった。
    「いいから勉強しろッッッ!!」


    その後、鬼のような形相の竜崎の監視の下、いそいそと勉強に戻ったため、そのまま話がうやむやになり、すっかり忘れてしまっていたが…。
    「みんなー、遅くなってごめんー!!」
    皆の視線が、声のしたほうを向く。
    そこには、この夏の太陽にも負けない笑みで向かってくる、朝日奈 唯その人。
    走ってきたのか、息は上がり、見て分かるほどに汗ばんでいる。
    そして、その手には
    「朝日奈、それ…」
    「花火!!買ってきたよ!!」
    提げていたビニール袋の中からがさがさと朝日奈が取り出したのは、この夏、店の至る所で目にしたファミリーパックと思しき花火のセット。
    いろいろな種類が入っており、それ一つでも充分に楽しめそうに見える…が。
    中身はハッキリ見えないものの、朝日奈の持つビニール袋からはカラフルなパッケージの端がいくつも顔を覗かせている。
    「朝日奈さん…もしかして、それ…」
    三上が恐る恐るといった様子で尋ねる。
    三上も、恐らく朔夜と同じことを考えているに違いない。
    「うん、全部花火!!たくさん買ってきたから、いっぱい楽しめるよ!!」
    中が見えるように、朝日奈がビニール袋の口を広げる。
    店でも開くのかと言わんばかりの量、様々な花火が詰め込まれていた。
    ビニール袋の中の花火を見ながら赤羽が「朝日奈さん、ナイス!!」と声を掛ければ、サムズアップで応える得意気な顔の朝日奈。
    溢れんばかりの花火の量を前に、思わず頭を抱える朔夜と三上。
    「すごいな…」
    それは、花火の量か朝日奈の行動力か。
    鷲上が驚愕とも感嘆とも取れる声音で呟いた。
    恐らくはそのどちらも、だろう。
    胸を張っていた朝日奈は、ふっと花が綻ぶように笑った。
    「…思い出、まだまだたくさん作ろうね」
    この夏も、これからも。
    朝日奈の言葉に一瞬僅かに目を瞠った鷲上は、すぐに目元を緩めた。
    「…ああ、楽しみだ」
    「よーし!!そうと決まれば、早速始めよう!バケツとロウソクとマッチ借りてくる!!」
    「ちょっと待て赤羽…!!今からやるのか!?まだ明るいんだが!?」
    「でも、この量…今からやらないと終わんないし…今から始めれば、そのうち暗くなるって!!」
    「醍醐味と情緒はどこに行ったんだ…!?」
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