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    まみや

    @mamiyahinemosu

    好きなように書いた短めの話を載せてます。
    現在は主にDQ6(ハッ主)、たまにLAL。

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    まみや

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    ED後、ハッ主の結婚式(結婚するんです)の数日前、レイドックを訪れたターニアの話。シェーラと主が出てくる。ハは名前だけ。

    母と娘「これがいいかしら……でもターニアさんの髪の色味ならこの石のネックレスの方が、でもこのドレスに合わせるならこれくらいの……」
     真剣な顔のシェーラ王妃様が、……いえ、正しくはシェーラ王太后様が、ネックレスを何本も手に持って、私の首元に合わせていく。
     光を反射して輝く、色んな色の石で彩られたネックレスが目の前で揺れて、たまにぶつかる音を聞いて、私は、ひえ、と思わず悲鳴を上げた。
    「どうしたの?」
     何か嫌だったかしら、と、心配そうにこちらを伺って来られる王太后様に、恐縮して、おもわずかぶりを振る。
    「いっ、いえ、あの、……ネックレスがぶつかったら、傷になるんじゃないかって、…………わ、私なんか、普通なら一生つけられないような高価なものでしょうし、田舎者で、そんなの似合わないし、ドレスだって他の方に比べたら全然、……あの、いいんです、私は、レックにいちゃ、……お、王様の知り合いなだけで、ただ、レック王が、ご結婚されて、お幸せなら、それで」
     だから、と言って、私は自分のドレスのスカートの布をぎゅっと掴んだ。子どもの頃から慣れ親しんだ、その絹織物の手触りに少しほっとする。
     村の皆が、いっとうよくできたと口を揃えて言う絹織物の布で、村一番の裁縫名人のおばあさんが仕立ててくれたドレス。
     王様の結婚式に参列するのならこれくらいのものを着ていかないといけない、レック王によろしくな、といって、村長さんから恭しく渡されたそのドレスと、レックにいちゃんから渡された結婚式の招待状を手に、レイドックまでやって来てみたはいいけれど。
     もうすぐ行われる結婚式に浮かれているレイドックの城下町のお洒落な人たちや、煌びやかに着飾っている、どうやら私と同じく結婚式に招待されている王族や貴族らしき人たちを見ていたら、もう、自分がとんでもなく場違いな気がして、恥ずかしくなってきて。
     こんな、……田舎者で、垢抜けなくて、しかも、本当の妹でもない、私なんかが結婚式に出ても、逆に、迷惑なんじゃないかしら。ドレスだって、……ライフコッドの絹織物でできてる服なんて、レイドックで着てる人、全然、見かけないし。
     レックにいちゃんは優しいから、私に声をかけてくれたけど、本当は、そもそも、参列を断るべきだったんじゃないのかしら。それを、私ったら、是非来てほしいって言われたのを真に受けて、のこのことレイドックまでやってきて、……もしかして、私、とんでもない、間抜けな人なんじゃないかしら。
     やっぱり、ライフコッドに帰ろう。
     私なんかが、こんなところにいちゃいけないわ。
     そう思って、でも、レックにいちゃんに心配されるといけないから、とにかく、帰ることを伝えなきゃと思って、王様との面会の列に並んで、王の間で、レックにいちゃんと面会して、もう帰ろうと思うと伝えたら、すごく驚かれた。
    「えっ、なんで!? 折角来てくれたのに」
    「あの、私、レイドックにいる、色んなお洒落で素敵な人を見てたら、申し訳なくて、こんな、ぱっとしないのがレックにいちゃんの妹だなんて、……しかも、本当の妹でもないのに、何言ってるのって感じだし、恥ずかしいし、やっぱり、式には出ずに帰ろうかなって……ごめんね。でも、本当におめでとう、レックにいちゃん。私のこと、忘れないでいてくれて、大事な結婚式によんでもらえて、本当に嬉しかったわ。そうそう、ハッサンさんにもご挨拶と、お祝いを言いたいんだけれど、どちらに」
    「ターニア、……帰るのはちょっと待って、相談してみるから」
     レックにいちゃんはそう言うと私ににっこりと微笑み、傍にいる大臣らしき人に耳打ちをした。
     すると、私はどこからか現れたメイドさん達に促されて別室に連れて行かれ、そこでしばらく待っていると、なんと、王太后様が現れて。
     そして、あれよあれよという間に持ってきたドレスを着せられ、髪をセットされて、お化粧されて、王太后様がメイドさんに持って来させた、山ほどある、きらきらした石のついたアクセサリーを次々に合わせられた。
    「とってもきれいよ、ターニアさん。髪型とお化粧が変わるだけで見違えたでしょう? それにアクセサリーをつければ完璧よ。どこかの国のお姫様みたい。でも、どれも似合うから困ってしまうわね。よかったら式の当日までお城に泊まっていって。ゆっくり選びましょう。そうそう、好きなものがあったら遠慮なく仰って。気に入ったものをつけた方が気持ちも華やぎますからね」
     鏡を見れば、確かに、いつもよりは華やかに着飾って、お洒落になったような気がする自分が映っている。
     でも。
    「……レック王が、王太后様に頼んでくださったんですよね? 私が、恥ずかしいからもう帰るなんて言ったせいで、きっとお忙しいのにこんな、お気を使わせてしまって……申し訳ありません、ご迷惑をおかけして。ありがとうございます。でも、本当に、もう、ライフコッドに帰りますから。……私、こんな、ご親切にしていただくような立場じゃ」
    「ターニアさん」
     王太后様が、持っていたネックレスをテーブルに置いて、そして、私の肩に手を置く。そして、私に向かってにっこりと微笑んだ。
     その目元は、レックにいちゃんが笑った時の目元とそっくりで、ああ、本当にこの人は、レックにいちゃんのお母さんなんだな、と思った。
    「迷惑だなんて、とんでもないわ。だってあなたは、レックの命の恩人なんでしょう? 大怪我したあの子を助けてくださったと聞いていますよ。しかも妹にまでなってくださったとか」
    「いえ、あの、ごめんなさい、それは、……レック王が、お優しくて、何も覚えていらっしゃらなくて、それで、私の変なお願いを聞いてくださっただけで、今考えたら本当に失礼なことを」
    「いいえ、……いいえ、そんなことはないわ」
     王太后様はそう言うと、私の身体を抱きしめた。
    「ターニアさん、あなたは素敵な人よ。どこの誰かもわからなかったあの子を助けてくれて、家族のように優しく接してくださって、だからあの子はまた元気になることができて、私たちも、この国も、世界も、救われたのよ。あなたのことを迷惑だとか、恥ずかしいなんて、誰一人思っていないわ。もしもそんな人がいたら、すぐに追い出してやりますから、心配しないでね。それに、そのドレスもとっても素敵よ。もしかしたら、ライフコッドで生まれ育ったあなたは知らないのかもしれないけれど、ライフコッドの絹織物ってね、有名なのよ。希少で、簡単には手に入らない高級品だから、たとえ貴族でもなかなか普段身につけられないようなものなの。その最高級品で作られているんでしょう? 見ればすぐにわかるわ。きっと、村の皆さんが心を込めて作って下さったものよ。本当に素敵なあなたにふさわしいと思ってね。だから、自信を持って、ぜひ式に出てくださいな。レックだって、そう思っているはずよ」
     ね、ターニアさん、と王太后様が微笑む。その言葉を聞いて、私の目からはぼろぼろと涙が溢れた。
     お母さんを思い出す。優しかった、私のお母さん。もういなくなってしまったけれど、私が辛い時はいつでも私を抱きしめてくれた、お母さん。
    「……ねえ、ターニアさん。私には、娘がいたの。このアクセサリーはね、その娘が大きくなったら、譲ろうと思っていたのよ。でも、娘はもういなくなってしまって、もう誰にも使ってもらえないんじゃないかと、残念に思っていたの。でも、あなたが来てくれた。嬉しいわ、私ね、娘が大きくなったら、こんな風に、アクセサリーを見繕ったり、世話を焼いてやったりするのが、夢で」
     夢だったのよ、と震える声で言う王太后様の背中に、私も手を回す。
     そのまま、涙ぐみながら、2人で抱き合っていると、ガチャ、と扉が開く音がして。
    「……ど、どうしたの? 大丈夫? 様子見に来たんだけど」
     驚いたような顔で、レックにいちゃんが私と王太后様の顔を見比べてくる。王太后様は、ふふ、と笑って、口を開いた。
    「ねえレック、嬉しいわ、まるでかわいい息子と娘がいっぺんに増えたみたいで、賑やかで。結婚式っていいわね、本当に」
    「え、あ、そう? ……そう言ってもらえたらこっちも嬉しいよ」
     ハッサンもターニアも、オレの大事な人だから、と笑うレックにいちゃんのその言葉に、また涙が出そうになる。
     そんな私を王太后様がまたぎゅっと抱きしめてくださって、それで私はよけいに泣きそうになってしまって、すごく、困った。
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