可塑性は如何ヌビア学研究所、居住区。
その一室に、【ヌビアの子/器用さ】と命名された青年が住んでいた。
彼─────フエ・グエンは、机に向かって、ドライバーやはんだごてを使いこなす。そうして、つい先程まで見る影もなかったゲームコントローラーを元の形に組み立て直していた。
「本当に助かるよ。ありがとうね」
フエにそう言ったのは、同じく【ヌビアの子/パワー】と命名されたラリベラだった。フエを背後から覗き込んでは、白銀の髪の下の麻呂眉を下げる。フエは、顔を上げてふにゃりと微笑んだ。
「ラリベラさん、気にしなくっていいよぉ。ボク、こういうの得意だもの。…って、知ってるよね」
「それはもちろん。【器用さ】だからね。でも、本当にありがとう」
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