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    はまおぎ

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    はまおぎ

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    一区切りついたところで筆が失速してしまった……。
    (導入なので五先生も歌先生も出てきません)

    見た「週末、こないだのカフェに行きませんか!」
     夜もとっぷりとふけたころ、任務から寮に戻ってきた三輪が、談話スペースで西宮と真依に素敵なお誘いをかけてきた。
     ファッション誌を広げて妄想クローゼットの布陣を組んでいた西宮は、爪の手入れをする手を止めた真依と目を見合わせた。そして二人で首を傾げる。
     疑問に思っているということを真依と確認し合った上で、西宮は己の隣、ソファーの空きスペースに座るよう三輪を促した。素直に座る三輪の丸い目はきらきらと輝いて、心なしか血色がいい。何か興奮することがあったのだと直感する。
    「こないだのって、テレビで言ってたやつ? アフタヌーンティーの」
     数日前に三人そろって談話スペースで眺めたテレビ番組を思い返す。特集コーナーで話題に上がったカフェは外資系ホテルの一角にあって、季節のビュッフェやコースディナーを売りにしていた。
     ビギナー向けと思しいアフタヌーンティーコースは、一口サイズのサンドイッチやつやつやのジャムがのったスコーンがころんと小ぶりでカワイイ。サーブされるティーカップは楚々として、伸びやかな曲線を描く陶器の表面を繊細な絵付けが美しく飾っていた。けれどお値段はカワイくなかったのもまた印象的で、よく覚えている。
    「カワイかったし見てるだけでテンション上がったけど……。急にどうしたの。自分にご褒美したいくらい、今日は頑張ったとか?」
     一学年下の三輪はミーハーで、〝近ごろ話題の云々〟というキャッチーなフレーズには素直に躍る性分だ。しかしなんだかんだ現実的というか、倹約家でもある。西宮が知る限り、単に新しいものが気になるというだけで身の丈に合わないようなカフェに行こうとまで言い出すタイプではない。
     彼女が背伸びして憧れのお店に行こうと言い出した理由を、西宮は想像してみた。
     一番考えやすいのは、自分へのご褒美というやつだった。なにせ三輪は任務終わりである。
     それに、見れば彼女はまだ獲物の日本刀を携えている。三輪は帰ってきてから着替える間も取らずにここにいるのだ。
     だとしたら、今日の三輪の帰還時間はついさきほど、ということになる。寮生の夕食の世話を済ませた寮母が退勤してから、だいぶ時間が過ぎていた。そんなにも手こずる任務だったのだろうか。
     思わず任務帰りの後輩を慮りかけた西宮の視界で、三輪の笑顔が弾けた。
    「五条悟のおごりなんです!」
     ……がっくりきた。
    「いやよ」
     華やぐ三輪の声へ冷や水を浴びせるような否を放ったのは真依だった。
    「あの男と顔突き合わせてお茶飲むくらいなら、おしゃれなアフタヌーンティーは一生できなくていいわ」
     早口で真依が付け加えるのを聞きながら、西宮も首を縦にぶんぶん振り下ろした。
    「あの特級クセ強傍若無人教師と一つのテーブルを囲むだなんてカワイくない状況、歌姫先生じゃないけど、私も御免だなー」
     五条悟。西宮たち学生を何くれとなく慈しむ教師であり女性呪術師の先達でもある庵歌姫が、毛を逆立てた猫のようになって忌み嫌う男。無神経な言葉で庵の逆鱗を逆撫でしては、腹式呼吸に支えられた怒声を浴びている男。西宮は、庵が彼に手近な物品を投げつけているのを見たこともある。
     確かに彼の見た目は美術彫刻のように整っている。また特級の肩書きにふさわしい実力を振るい、御三家の名に恥じないネームバリューを誇っているとも聞く。
     先に述べた通りミーハーな三輪だ。五条のそういった面に対してファンじみた憧れがあることは西宮も知っている。
     五条はしかし、それらの魅力を損なって余りある言動を見せる男だ。西宮にとっての五条悟は、何よりもまず〝庵歌姫のストレッサー〟だった。
    「違います違います、五条悟は来ません! あと、五条悟と囲むテーブルは超眼福ですよ」
    「あら、まるで五条悟とテーブル囲んだことがあるみたいな発言ね」
     真依の指摘に三輪は「えへへぇ」と気の抜ける笑みを浮かべた。
    「実は今日の晩ごはん、五条悟にごちそうになったんです」
    「もしかして、遅くなったのってご飯食べてきたからなの」
     西宮が問えば、三輪は大きく頷いてみせた。
     おごりで晩ごはんとは魅力的な響きだが、おごり手が五条という点で、うらやましさがどうにも薄れる。
     こちらから尋ねておいてなんだが、反応に困る情報。それでもどうにか返す言葉を探す西宮の思考を遮ったのは、「ねえ」という真依の声だった。
    「今日の霞の任務、歌姫先生とだったわよね。その、……晩ごはんも?」
     西宮がはっと息をのんだ音を最後に、談話スペースに沈黙が落ちる。
     庵と一緒にいた三輪が、五条と晩ごはんを食べたのだ。五条が庵を巻き込んでいないわけがあるだろうか。
     いや、ない。ないのだ。あれには隙あらば庵にちょっかいをかける習性がある。
     三輪が一度そっと頷いて、口を開いた。
    「……任務後に、なぜか五条悟が現場にいたんです。それから先生たちと一緒にごはん食べて、そのまま帰りのタクシーも三人で乗って」
     ずっと一緒だったんじゃん……。
     西宮は頭を抱えてしまった。庵のストレスを思えば、ううん、とうなりもする。
    「まあ、でも、五条悟は駅で降りるもんね……」
     東京を拠点としている五条は、この京の地からは新幹線移動を必要とする。三人が夕ごはんを食べた地域は知らないが、どこであったとしても庵の家や高専京都校にたどり着くよりは、早い段階で離脱しただろう。
     少し気を取り直した西宮が抱えた頭を上げると、三輪が一万円札で目元を隠している。どこから出てきたんだ、それは。
     呆気に取られたまま、真依に向き直る。真依は怪訝さを隠さない表情のままおずおずと、口を開いた。
    「えっと、霞。それは何?」
    「いやたぶんきっとこれは口止め料なのかもって私も思うんですけど。でもこれを私ひとりの胸の内にとどめておくのはもったいないというか、荷が重いというか、むずむずするというか。もう、とにかくお二人にも聞いてほしくって!」
     だから三人で、これでおいしいもの食べましょう。
     そう言って一万円札の陰からちらりと現れた三輪の瞳は、キラッキラに輝いていた。

    ⚫︎このあと、五先生が歌先生の自宅までタクシーをスムーズに案内して、さらに二人で降りていくのを目撃した三輪ちゃんが「えっ! わ! ひゃー!」って気持ちになるエピソードを書きたい、というやつ

    (22.07.25 04:48)
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