婚前交渉宿儺はソファにどかと座ると足を組み膝に肘を着いて顎を乗せるとその細長い指で頬を叩いた。
「あれ?宿儺、今日伏黒と出かけるって言ってなかったけ?」
キッチンから甘い香りのカップケーキを皿に乗せながら出てくると悠仁を見つめる。
「やめた!」
「機嫌が悪ぃ」
あはっはっと笑いながら隣に座るとラッピングを始める。綺麗に包まれていくケーキを見ながら宿儺は溜息をつく。
「彼奴のか?」
「そうだけど?宿儺のもあんぜ!」
差し出されたカップケーキを宿儺は受け取ると口に含む。
「で何があったんだよ?伏黒と?」
「・・・キスされた」
「良かったじゃん!幸せそうで」
悠仁は楽しげに鼻歌を響かせながらラッピングを完成させて行く。綺麗な青色のリボンとオレンジ色リボンで結ばれた袋を眺めて悠仁は微笑んだ。
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