世話人はそれに逆らえない! その日、イロンデールは謎の高揚感に悩んでいた。
異形のものを討伐しに出かけ、予定通り任務を遂行したことが原因かと思っていたのだがどうにもいつもと感覚が違う。
――体が熱い……。
汗が頬を伝い、首へと流れ落ちていく。体を動かしたからではない。どちらかというと発熱の時に近い現象だ。
とはいえ、イロンデールにはその状態になるようなことの心当たりがまるでなかった。剣士として修行を始めてからは健康体そのもので昨日も一昨日もその前も感冒症状はなかったのだ。
――くそ……。
心の中で悪態をついたイロンデールに声をかけたのはアイリスだった。
「大丈夫か? 熱があるのではないか?」
「熱? 俺がか?」
極めて平然を装ったが体の方は限界を訴えていた。呼吸も荒くなるし何よりも困るのは下肢の違和感だ。
4947