やっぱり関わるものじゃないですね「憂太にはさぁ。色々な世界を見て、経験してほしいんだよね」
目元を覆ったアイマスクのせいで、本来であれば顔の中でいちばん感情を語る場所の表情はわからない。けれど、大きく弧を描いた口元が、弾むように雄弁に語る声が男の機嫌の良さを物語っていた。
溶けきれているのか疑わしいほどに砂糖を混ぜたコーヒーとは名ばかりの液体を啜りながら、男はーー五条悟は豪快に笑う。
何がそんなに面白いのか。眉をしかめたくなるが、乙骨憂太の話をするときの彼はだいたいがこんな感じだ。だから七海は、言葉の代わりに溜息だけ吐き出しておいた。
春の初めは別れの季節である。呪術高専も『高等専門学校』と名前のとおり一応は教育機関であるために、卒業式というものが行われる。
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