【鶴清】続きはお布団で「けしき也、各是をみて無……疑?」
「疑い無く」
「うたがいなく、変化の物と思われければ……」
二振りで同じ文章を追う。
先の出陣で傷を負った加州は手入れと静養の間、おとなしく読書に励んでいた——のはいいが、判読できない字が多々あって不完全燃焼だったとのこと。
自由に動けるようになってすぐ、俺のところへ書物を持ってきた。
大怪我を心配したのに煩がられたのは少々根に持っているが、一番に頼るのが俺だというのは可愛いものだ。
——まあ、それはそれとして。
「太刀を抜き、弓を引いてむかうところに、……?」
「白翁。おきな、だ」
「白翁すすみて」
「進み出て」
所々つっかえる加州の補助をしながら一緒に読んでいく。
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