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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
    pixiv⇨https://www.pixiv.net/users/68325823

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    銀鳩堂

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    ヤンクロ第6話「極光は宵闇を照らす」TEXT版
    大鴉のディアヴァルの回想。王女の誕生を知ったマレフィセントはオーロラ姫に呪いをかけたが……。

    ※クロウリー学園長の過去話(捏造200%)連載中。完走したら多分修正はいるかも。このパートのインスパイア元は映画「マレフィセント」。今回は映画のネタバレ特盛(この辺は原則映画のストーリーに沿うので)。改変捏造もあるので何でも許せる人だけでお願いします。

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.
    #クロウリー
    crowley.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第6話「極光は宵闇を照らす」 大鴉おおがらすのディアヴァルの回想。プリンセスの誕生を知ったマレフィセントは姫に呪いをかけたが……。


     城の中、王は落ち着かない様子で部屋の中をあるきまわっていた。
    「マレフィセントめ……。わしの道をことごとく邪魔しおって! 呪いを避ける道は無いものか」
     王は立ち止まって顎髭あごひげをしごき考え込む。と、突然その目に強い光が宿り、顔を上げてぶつぶつとつぶやき出した。
    「……そうだ! 国中の糸車を焼き捨てるのだ! そして姫を隠してしまえば良い……! 隠す……どこへ……? そうだ! あいつらだ! あいつらに責任を取らせよう。同じ妖精のしでかしだ、あいつらに尻拭しりぬぐいしてもらおうじゃないか。誰かある! ここへ三妖精を呼べ!!」

     王はオーロラ姫を三人の「良き妖精」の元へ預けることにした、と王妃に説明した。王妃は静かに涙を流し、黙ってそれを受け入れた。
     三人の小妖精たちは人間の女に姿を変えて、姫をかくま隠遁いんとん生活を始めることになった。
     森の奥の小さな小屋で、赤子一人と女三人のつつましい生活が始まった。
     だが、もちろん、その所在はただちにディアヴァルの発見するところとなり、マレフィセントの監視下に置かれたのだった。
     ディアヴァルは、毎日のように小屋を訪れ、ただのカラスのふりをして赤子と三妖精を観察した。すると、恐ろしいことに、三妖精は育児の能力がまるでないことが判明した。
     何しろ、赤子に何を与えればいいのかすらわかっていないのだ! カラスだって雛鳥に何を上げればいいのかくらいわかっているのに、この妖精たちと来たら! 畑から引き抜いた人参をそのまま赤子に食べさせようとするなんて! 無茶苦茶だ……!
     呆れ果てたディアヴァルは、こっそりと赤子に乳や果汁を運んで与え、それを聞いたマレフィセントは、まあ、あの三人らしいわね、と受け流したのだった。
     それから数日後、マレフィセントはみずから小屋に足を運んだ。もちろん、自分の目で赤子の様子を見るためだ。ディアヴァルには「呪った子でも無事が気になりますか?」と言われたが、ふん、と鼻であしらった。
     窓越しに覗き見ると、赤子は窓を見上げて無心に笑いかけてきた。マレフィセントの心に驚きが広がった。
    「お前、私が怖くないの?」
     そう問われると、赤子はマレフィセントと目を合わせ、きゃらきゃらと機嫌よく笑った。その笑顔はあまりにも愛らしくて、マレフィセントはまぶしそうに目を細めると、「醜い子……」とつぶやききびすを返して立ち去ったのだった。
     それから後、マレフィセントは度々赤子の様子を見に訪れるようになった。大抵は高い木の上に隠れて遠目に小屋の様子をうかがうだけだったが、三人の妖精が居ないときは近くまで行ってしげしげと赤子を観察するのだった。
     人間の赤子の成長は早い。妖精の時間を生きるマレフィセントにとっては、赤子が幼児になり、とことこと歩き出すまではまたたきの間に過ぎなかった。
     ある穏やかな午後、マレフィセントは、幼子おさなごがひとりで森の小道を歩いているところを見つけた。
    「まあ、あの三人、本当に不用心ね。森の獣に見つかったらどうするの? ぺろっと一口で食べられちゃうわよ」
     そして、両手を鉤爪のように曲げ、ガオー!と声を出して脅して見せた。すると幼子はマレフィセントを見上げてきゃらきゃらと無心に笑い、両手を上げて「だっこ」と言った。
    「本当に恐れを知らないわね。もう少し怖がってほしいものだわ。さあ、小屋にお帰りなさい。お前は大事な復讐の道具なのよ、こんなところで獣に食べられちゃ困るのよ」
     そうぼやきながら、マレフィセントは幼子を抱き上げた。
     すると、幼子はきゃっきゃとはしゃいだ声を上げ、マレフィセントの頭の角をさわりはじめた。マレフィセントの目が驚きに見開かれる。しかし幼子にはそんなことは関係ない。「まんま~」といいながら、角をしゃぶりはじめた。
    「まあ! なんて子かしら。人間はこれだから嫌よ……」
     そういって、マレフィセントは歩きはじめ、小屋が見えるところまで来ると、幼子を地面におろした。
    「さあ、行きなさい」
     幼子はその場に突っ立って、マレフィセントを見上げてニコニコしている。
    「この子、バカなのかしら? シッシ!! さあ、お行き!!」
     その時、小屋の方から「ローズ! ローズ!! どこなの? まあ、どうしましょう。どこいっちゃったのかしら?」という声が聞こえてきた。
    「ほら、お前を呼んでるわよ。行きなさいったら!」
     マレフィセントは高い背を前かがみにし、声をひそめて幼子を叱責しっせきした。幼子は、マレフィセントをもう一度見上げてニコっと笑うと、とてとてとおぼつかない足取りで小屋へ向かって走っていったのだった。
     その様子を木の上から眺めていたディアヴァルが、始終面白そうににやにやしていたのは言うまでもない。
     そしてそのことに気づいたマレフィセントが、帰り道、ちょっとばかり拗ねていたことも。
     だが、そんな穏やかでちょっと奇妙な日々は、やがて終わりを告げることになるのだった……。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
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