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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
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    銀鳩堂

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    ヤンクロ第7話「森の乙女」TEXT版
    大鴉のディアヴァルの回想。三妖精に育児能力がないと知ったマレフィセントはディアヴァルに姫の世話をさせる。やがて姫は美しい乙女に成長する…。

    ※クロウリー学園長の過去話(捏造200%)連載中。このパートのインスパイア元は映画「マレフィセント」。今回も映画ネタバレ特盛(この辺は原則映画のストーリーに沿うので)。改変捏造もあるので何でも許せる人だけでお願いします。

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.
    #クロウリー
    crowley.
    #ディアヴァル
    diaval.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第7話「森の乙女」 大鴉おおがらすのディアヴァルの回想。仮の名をローズ・ブライアと名付けられたオーロラ姫は美しい乙女へと成長していったのだが…。


     三人の良き妖精たちとマレフィセントとディアヴァル(主にディアヴァル!)に守られて、赤子は美しい乙女へと成長した。
     不思議と森の動物にもなつかれる娘で、普段なら人間は敵とみなすような猛獣でも、彼女の前ではおとなしくこうべを垂れ、耳の後ろを掻いてもらうのだった。
     そんなローズの様子を見ていたマレフィセントは、ある日、戯れに彼女の前に姿を表してみた。すると、ローズは顔を輝かせ、貴女を知っているわ、と言ったのだ。マレフィセントは内心すこしばかり動揺したが、表向きは片眉を上げて見せただけだった。
    「わたし、貴女を知ってるわ! フェアリー・ゴッドマザー! フェアリー・ゴッドマザーでしょう? いつも私を見守って下さっていたの、私、気がついていました。お会いできて嬉しいです。いつかお礼を言えたらと、ずっとずっと願っていたの!」
     どうもこの娘と顔を合わせると調子が狂わされる……。
     ふと、マレフィセントは、この娘が妖精の国を見たならどんなことを言うのか見てみたくなった。片手を口元に添えて、ふっと息を吹きかけると、妖精の眠りの魔法がローズを包みこみ、彼女はあっというまに深い眠りに落ちていった。
     マレフィセントは、ローズを眠らせたまま妖精の国へと運び入れ魔法を解いた。ローズは目覚めると歓びの声を上げ、目をキラキラさせて珍しい景色を眺め、大小の妖精たちに挨拶をして歩いた。
     するとどうだろう。人間からはすぐに隠れてしまう小妖精や小動物も、人間と見れば襲いかかる猛々しいトロールたちも、みな彼女の前ではおとなしく争うこともなくつどっているではないか。
     この娘は、とんでもないうつわの主なのではないか……?
     マレフィセントは、内心で舌を巻いた。この娘は世間知らずという以上に、恐れ知らずだ。そして妖精も動物もすぐに彼女に懐いてしまう。魅了の魔法を使ったわけでもないのに!
     ここにはローザを傷つけるものは何一つ存在しなかった。
     それを見たディアヴァルは、マレフィセントに言ったものだ。
    「ね、そろそろ認めてもいいんじゃないですか? この子は父親とは大違いですよ」
     マレフィセントはそれに対して、しかめ面で応えたのだった。
     だが、それからのマレフィセントは、ローズを観察するという名目で度々妖精の国へと招いた。そのたびにローズは目を輝かせて色々な対象に興味を示し、吸い取り紙がインクを吸い取るように妖精の知識を吸収していくのだった。


     そんな楽しい日々が続いていたある夜。
     マレフィセントは、姿を隠して森の小屋へと一人向かっていた。
     自分は間違っていた。
     あの呪いは、かけるべきではなかったのだ。
     娘は父親とは別の人間だと、今の彼女は理解し、認めていた。
     ずっと心のなかではわかっていたことだった。だが、それを認めることは、自分の過ちをも認めること。誇り高い彼女には、なかなか飲み込むことの出来ない苦い認識だったのだ。
     それでも、ついに今夜、彼女はみずからの過ちを正そうとしていた。
     あの呪いは解かねばならぬ。ローズは、妖精たちの良き理解者となり、人間の暴挙を止めることすら出来るかもしれない。長年の争いを平和に解決する鍵になるかもしれないのだ……。
     そう自らに言い聞かせながら、マレフィセントは小屋の前に立ったのだった。
     マレフィセントは、小屋全体に眠りの魔法をかけると、静かにドアを開けて中へと滑り込み、ローズの寝室を訪れた。
     そこであの誕生パーティのときと同じように、両手を高く上げ、声高く唱えた。
    「この娘にかけた呪いを取り消す!呪いよ、解けよ!!」
     部屋の空気に魔力が満ちる。髪の毛の逆立つような緊張感が高まり、黄緑の霧が立ち込め、マレフィセントの手の動きに操られてローズの上に雪崩落ちた。
     だが、何かがおかしかった。
     魔力の霧はローズの身体の周りに漂い、身体へと入っては行かない。それどころか、わだかまる魔力の霧は弾き返され、マレフィセントに向かって吹き付けてきた。その霧の中から、かつての彼女自身の声が木霊のように聞こえてきた。
    『この呪いは何を持ってしても取り払うことは出来ぬ!!』
    「ならぬ! 呪いは解ける!!」
     マレフィセントは再度、両手を振り上げ魔力を注ぎ込んだ。
     だが結果は同じだった。過去からの木霊と共に、魔力はすべて弾き返されてしまったのだ……。


     マレフィセントは、悄然しょうぜんと肩を落とし、小屋を後にした。その胸をさいなむ後悔は、ただ過ちをただし、有能な人間を救うことが出来なかったという以上の物だと、まだ彼女は気づいてはいなかった……。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
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    銀鳩堂

    PROGRESS【シリーズ移植のお知らせ】第一話は最終話(⑮話)に回収され消滅しました。このファイルは初期版の保存のため残してあります。校正済みのシリーズ最新版はpixivへお願いします。
    pixivのシリーズ目次URL
    https://www.pixiv.net/novel/series/8421068
    (2022.01.27.書き換え。書き換え前のキャプションは本文冒頭に転載して保存)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第1話「茨の魔女の敗北」【初期版キャプション保存】
    ヤンクロ第1話「茨の魔女の敗北」TEXT版
     クロウリー学園長の過去話(捏造200%)を連載中。完走したら多分あちこち修正が入ると思います。(話が途中で矛盾したりするかもしれず…)
     画像版だけ「第一章」って書いちゃったけど第一話ですね…。後々校正する都合でテキスト版もUPしました。今後はTwitterには文庫ページメーカー画像を投稿、こちらはテキストで行きます。



    ~*~*~ 本文(修正なし)~*~*~


     轟音ごうおんと共に鮮やかな黄緑の炎が吹き出し、橋の上を舐めるように走る。
     そのみなもとには巨大なドラゴン。裂けよとばかりに開いたあぎとを閉じると、上体をそらし、振り上げた前足を力強く足下へと振り下ろす。筋肉の動きにつれて金属光沢を帯びた鱗がうねる。陽光を反射し輝くさざ波がドラゴンの体表を走る。
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