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    かるかん

    ポケモンメインで描いたり書いたりしてます

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    かるかん

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    ツイッターであげたポケモン剣盾妄想小説
    両片思いほぷゆうです

    りんごとハチミツ りんごぐらしポケモンのカジッチュの形をしたメモ用紙に思いを吐き出し今日も私はため息をつく

    いつから彼を好きになったんだろう
    彼の声が、仕草が、私の心を熱くする
    ポケモンバトルの時とは違う胸の高鳴りに最初は分からなかったけど、これが恋だと気が付くと日に日に思いは募り今ではいつ爆発するか分からない位大きく膨れ上がっていた
    そんな気持ちをどうすればいいか分からず、たまたま見かけたテレビにはこんなことを言っていた

    『思いを形に、言葉を行動に』

    それは確か文房具の宣伝だった
    私は何も考えずネットで検索し、テレビで宣伝され人気沸騰中と書いてあったリンゴの形をしたメモ帳を購入した

    購入後に気付いたけど、ポケモンのカジッチュを片思いの相手に送ると両思いになるジンクスがこの地方にはある
    そう考えるとこのメモ帳が安易に使えないじゃないかと思った
    そこでなんとなく『ホップに会いたい』なんて書いてみた
    『いつも優しい』『せっかちだけど待ってくれる』
    書くことで少し心が軽くなった気がした
    いや、待て待て、この書いたメモどうしたらいいんだろう…
    ゴミ箱に捨てるにもお母さんに見つかりたくない
    どこかしまう箱はないか
    私は立ち上がりクローゼットを開けると奥に段ボールがある、そこには私の宝物をいくつか入れてあった
    その中の一つに片手サイズの容器を見つけた

    はちみつ味の飴が入ってた六角形の形をした貯金箱
    後ろにコインを入れる穴があり側面には中身を出すための蓋が上に2つ、右下に1つと全部で3つ付いてある、なんで3つもあるのか分からない
    顔も書いてありミツハニーの三匹のうちの一匹がモチーフになっている
    飴欲しさに買ったけど容器も可愛かったからつい残してたものだ
    これなら飾っても違和感ない、我ながら名案だ
    先程のメモを四つ折りにすればサイズもちょうど良くコインを入れる所から入った


    それから何日か過ぎて私はホップへの想いを貯金箱に貯めていた
    『今日も褒めてくれて嬉しかった』
    『ホップに会うと元気になれる』

    メモなのであまり長々とは書けないがそれが功を奏したのか毎日続けることができた
    時々、貯金箱から用紙を出して読み返すとかなり恥ずかしい事を書いてるなと思う
    だけどこれを読む事で私の明日への頑張る糧になっていた
    今日は会えなかったから明日は会えるかな…
    もし会えなかったら声が聞きたいな…
    今夜はそんな願いを書いてライトを消した

    ※※※

    昨日の予想通り今日も私は忙しく会いに行くのが無理だったけど、メモの願いを叶えるべく彼に電話をかけた
    ホップはすぐに出てくれた
    「ユウリ、今日もお疲れ」
    「仕事じゃないのにその挨拶はどうかと思うよ」
    「悪い悪い、もう癖みたいな感じになってるんだぞ」
    「ホップもお疲れ様」
    「おう」

    そこから他愛の無い話をしていたら
    「ユウリ、そのミツハニーの貯金箱持ってたのか?」
    どうやらサイドテーブルに飾ってある貯金箱が画面に写ってしまったようだ
    「あ、うん…、む、昔ね飴が欲しくて買って容器は残してたの、最近飾るのもいいかなって思って…よく貯金箱って知ってたね」
    「ユウリの一つだけなのか?
    それ三種類あって合体出来るんだぞ」
    「そうなの?」
    「昔兄貴にお土産で貰ってさ、確かどこかに…」
    電話越しからドタバタとホップが探し物を始めた
    だけどなかなか見つからないらしく、お母さんに聞きに行ってしまった

    「ユウリー!あったぞ!」
    ホップの手には二匹のミツハニーがくっついていた
    「本当はもう1つあったんだけどね
    うちのチョロネコが咥えてどこかに隠したみたいなの
    それでホップ大泣きして、残りは私が預かってたのよ」
    「か、母ちゃんユウリに言うなよ!」
    画面に割り込んだホップのお母さんが説明してくれて私は思わず笑ってしまった
    「と、とにかくユウリにあげるから今から行くぞ!」
    「へ?い、今から?」
    「ユウリ今家にいるだろ?俺も家だからすぐ渡せるぞ」

    そう、彼のお家は私の家の隣
    物理的に距離はあるものの走ればすぐに来る事ができる
    ただ今すぐ会うにも私はお風呂上がりでパジャマ姿だし…とそんな事を考えてる間にもインターホンが鳴りホップは来てしまった

    「夜遅くにすみません
    ユウリに渡したい物があって来ました」
    「あらあら、ユウリなら部屋にいるわよ
    今お茶を準備するね」
    ママがホップを私の部屋に案内すると同時に私は慌てて扉を開けた

    「こんばんは、ユウリ」
    「こ、こんばんは…」
    彼を部屋に入れ、私はベッドに座りホップはデスク用の椅子に座った
    ママがお茶とお菓子を持ってきてくれてすぐに部屋を後にした

    会いたいとは思ってたけど急すぎる…
    お風呂上がりでパジャマだし気が気でいられない
    「悪いな、渡して帰るつもりで来たんだけど」
    「謝らなくていいよ、お客さんにお茶を出すのがマナーでしょ」
    「おう、研究所だと特にうるさいからな」
    作法に厳しいマグノリア博士から時々ポップは指導を受けてる上に上司であるソニアさんにお茶入れ係を任命されてるので必然的にそういう事が身に付いていた
    「だけどさ、最近会えなかったからこうやって話しができたらいいなって思ったんだぞ」
    ホップの眩しすぎる笑顔に私の心臓が激しく動きだした
    彼のこういう所は本当にずるい
    ストレートに自分の気持ちが言えて羨ましい
    私はなかなかハッキリ言えないからこうして貯金箱に想いを貯めてるわけで…

    「これだよな、ミツハニーの貯金箱」
    ホップはサイドテーブルにある私の貯金箱を手に取った
    「ま、ま、ま、待って!」
    私は思わずホップが持っていた貯金箱を取り上げてしまった
    「別に中身を取るつもりはないぞ!」
    「そ、それは分かってるよ!」
    そう、彼はお金を入れる貯金箱として見ている
    「ほら、くっつけるから貸して」
    「私がやるから、大丈夫だよ」
    私の言葉にホップは全然納得してくれない
    私だって渡せるものなら渡したい
    だけど急に来たから中身を出す時間が無かった
    今中身を見られたらと思うと冷や汗しか出てこない

    「なんで貯金箱渡してくれないんだ?」
    明らかにホップは少し怒ってる、だって彼の行動は全て善意でやっているのだ
    「……わ、分かったよ…」
    これ以上私は言い訳ができないし怪しまれると判断し、さっさと終わらせるのが良いと思ったので貯金箱を渡した

    ホップは私の貯金箱を見てどうやら無くした1匹が私の物と同じだったらしく自分の物とちょうどくっつけれるとうれしそうに話した
    「ユウリの貯金箱コインを入れてないんだな
    お札ばかりか?それだとそうとう入れてるだろ」
    「あまり詮索しないで」
    「悪いけど、ユウリの貯金箱上二つ蓋があるだろ?
    ここを開けないとくっつけれないんだ
    中身は落とさないようにするから開けるな」
    「え?ちょ、ちょっと!」
    私が止める間もなくホップは蓋を取り、自身が持ってきたミツハニーの下にある蓋を開けた所を合わせた

    「お、やっぱり三匹揃ってミツハニーだな」
    幸い中身を気にしてない上に落ちなかったようだ
    私は思わずホッとしたのもつかの間
    「何か付いてるぞ」 
    取り外した蓋の裏に付いてた一枚のメモをホップは広げた
    思わず私は手を延ばしホップからメモを取り上げてしまった

    「……今の…なんだよ…」
    「な、何でもないよ!というか見たの?」
    「悪い…見てしまったけどさ…」
    どうしよう…、私の想いがバレてしまった
    この場合どうしたらいいんだろう
    この状況をどうしたら良いか分からず固まってる私に対しホップは私を見ていた
    「誰なんだよ…そのメモのやつ…」
    「……へ?」
    「ユウリ、そいつの事が好きなんだろ?
    まるで恋文みたいな内容だったぞ」

    ホップが見たメモは
    『今日は会えなかったから明日は会えるかな…
    もし会えなかったら声が聞きたいな…』と、昨日の日付のものだった
    このメモが私の気持ちを書いてある事をホップは理解してるみたいだけど、何で怒ってるんだろう…

    「なぁユウリ、誰か教えてくれ」
    「え…あ…、その…」
    ホップが私の肩を掴んできた
    手は少し震えていて表情は怒ってるような悲しいような…こんなホップは初めて見る

    「俺…、ユウリの事は親友でライバルだから応援したいけど…、その…」
    いつもはハッキリ話すホップが歯切れが悪いのはかなり珍しい
    ホップは私から一度離れ何かを決意したのか頬を両手でパンパンっと叩き始めた、彼が気合いを入れる時の行動だ

    「迷惑だと分かってる
    俺はお前の事が好きなんだ
    ほかのやつを好きなのにごめんな
    自分勝手だと思うけど、俺はずっとお前の事が好きだったんだ」

    持っていたメモを思わず落としてしまった
    「あ、あのね…」
    私は自分の貯金箱をホップの前に差し出した
    「見ろって事か?」
    私が頷くとホップは貯金箱からメモを取り出し見始めた
    『今日はホップに褒めてもらえた』
    『ホップの寝顔は可愛いな』
    一枚一枚ホップが見る度に顔が段々と赤くなっていた
    そして『ホップの事が好き、大好きだよ』とストレートに書いたメモを見て信じられない表情で顔を上げた
    「私もホップの事が好きで…でも、どうしていいかわからなくて自分の気持ちをメモに書いて貯金箱に貯めてたんだよ」
    素直に貯金箱の話をしたらホップは満面な笑みを浮かべていた
    「そんな貯金箱を見てしまったのか…ごめんな」
    謝っているけど全然申し訳ない感じはない
    「ユウリが俺の事そういう風に思っていたなんて知らなくてさ…今凄く嬉しいんだぞ」
    「わ、私もだよ…ホップが私の事好きだなんて知らなかったし…」
    「お互い隠すのが上手いんだな」
    ホップと目を合わせたら思わず笑ってしまった






    次の日、私のサイドテーブルには二匹のミツハニーがいる
    「俺もユウリみたいに想いを貯金してみたいんだぞ」
    実質交換という形を取り、元々書いてあったラブレターを入れ直して私は今日もホップへの想いを書いていた

    二人で一緒に暮らす時にミツハニーをくっつけようねって私が提案したらホップはかなり動揺していた
    想いの貯金箱は幸せ貯金箱に変わっていた
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