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    ぐるコース

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    夢・腐小説載せてます¦自己満

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    🐺(荒北)×🐈‍⬛(黒田)
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    『君にはデレデレ』箱根学園の朝は、いつものように騒がしかった。荒北靖友は自分の教室の窓際で、鋭い目つきで教科書をパラパラめくっていた。だが、その視線は時折、廊下を歩く黒田雪成を追う。黒田は別の教室に向かう途中、ノートを抱えて同級生と話しながら歩いていた。荒北は「黒田ァ、相変わらず真面目くせェ」と心の中で呟き、なぜか口元が緩む。

    「なぁ、靖友!」背後から、新開隼人の声が響く。振り返ると、新開がニヤニヤしながら近づいてきた。「ルーズリーフ一枚くれよ。ノート、家に忘れちゃってさ」

    荒北は即座に仏頂面に戻り、冷たく返す。「やァだ、東堂にもらえヨ。あいつなら、字ヘタクソすぎて紙いっぱい持ってんだろ」

    「靖友ォ…」と泣きながら新開が去っていく。そのやり取りを、たまたま廊下から見ていた黒田は、クスッと笑って首を振った。荒北のそんな態度、他学年の自分でも噂で聞いてて、なんだか憎めなかった。

    授業開始直前、黒田が慌てた様子で教室を飛び出し、偶然荒北の教室の前で立ち止まった。「やばい、筆記用具忘れた…」と呟きながら、廊下で困った顔をする黒田の声が、たまたま教室のドア近くにいた荒北の耳に届く。黒田は意を決して、荒北に声を掛けた。

    「すいません、荒北さん! 筆記用具、自分の教室に忘れたんで、貸してくれませんか?」

    荒北は一瞬、黒田の少し焦った表情にドキッとする。後輩が物を借りに俺に声掛けて来るなんて、と思うと、なぜか胸がざわつく。筆箱から少し角が欠けた消しゴムとシャーペンを取り出し、「ア? 別にいいケド」とぶっきらぼうに差し出した。

    「ありがとうございます!荒北さん! 助かります!」黒田はパッと笑顔になり、消しゴムとシャーペンを受け取る。その笑顔に、荒北の心臓が一瞬高鳴った。廊下の喧騒の中、なぜかその瞬間だけ空気が柔らかく感じられた。

    「お前もドジだナァ、黒田ァ」と荒北は誤魔化すように笑い、頭を軽く掻く。黒田は「え、そうですか?」と照れながら返す。教室の入口でその様子を見ていた新開は、「靖友、黒田に甘すぎだろ」とニヤニヤしていた。

    昼休み、荒北は部室で過ごそうとしていたが、黒田が部室の前で「荒北さん、お昼一緒にどうですか?」と声を掛けてくる。後輩がわざわざ誘いに来るなんて、と思うと、荒北は一瞬固まり、「まぁ、…いいぜ」と答えた。校庭のベンチで黒田と弁当を広げる荒北の表情は、威圧感とは裏腹に、どこか穏やかだった。

    「靖友、最近黒田にデレデレじゃないか」と後で新開にからかわれても、荒北は「うるせェ」と一蹴するだけ。でも、心の中では、黒田が自分を頼りにしてくれたことを思い出し、ちょっとだけ満足げに笑っていた。
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    DONE【1話前編】ブラッドリー×モブ(名前無し)の夢小説のようなものを初めての小説として書いてみました。

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    そんな祈りを込めてこの物語をお届けします。
    名も無き花はひだまりに揺れて 一輪目・名も無き銀細工師 〜前編〜カランカラン。

    その魔法使いは前触れもなくやって来た。
    まるで私の旅立ちを見計らったかのように。

    漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。

    「ようじじい」

    「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」

    「あ、お前あん時のちっちゃいのか」

    「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」

    「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」

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    西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。
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