雪の降る日に【壱】「お前はいつもいつも失敗ばかりだな。一族の恥だ。」
「出来損ない。」
「あんたなんて居ても名を汚すだけね。」
ごめんなさい。
ごめんなさい。
私に才が無いばかりに。
私が居るばかりに。
私が、私が…
「いっそ雪みたいに消えてしまえたら……。」
物心ついた時から私は家族みんなから叱られ、疎まれていた。家族から褒められた記憶なんてない。朝目覚めて浴びるのは、いつも冷たい視線だった。家にいるのが辛かった。ただ、私は住む山を降りることを許されていなかった。
「お前のような恥晒しがいるなど他の妖怪に知られれば、我が一族の価値が下がる。いいか、絶対に他の妖怪に近寄るな。」
だから私には友達なんて居なかったし、家の外の世界なんて、全く知らなかった。
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