ひめごと太陽がギラギラと輝いていた。
フロントガラスを通しても尚、眩しすぎる日光は肌をジリジリと焼き、汗を吹き出させる。
襟ぐりのあたりは汗で濡れてグッショリとしていた。
冷房の壊れた車内は蒸し風呂というより走る拷問器具だ。暑くて熱くてたまらない。
信号が赤にかわる。田舎の休日、真昼。交通量なんてこの古びたタクシーくらいな十字路でも、律儀に仕事をしている信号機に義理立てしてブレーキを踏んだ。
窓から得られていた僅かばかりの風もなくなり、体感温度は一層増した。暑い。
額の汗がつうっと落ちていく。
だというのに、後部座席の男は涼しい顔で外を見ていた。暑さなんぞここにはありませんよ、という顔つきで畑と田んぼばかりの道の景色を見ていた。
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