夢日記2021/12/29 最近、河川敷の斜面や裏路地に、真っ黒な不定形の生き物?がいる。河川敷やビルの壁を覆うほど広がり、手も足もなくどこもかしこも闇のように黒く、白眼に黒い瞳があちこちで瞬きしながらギョロギョロと見つめてくる。
なるほどそういうものもいるのだと思って気味悪がりつつも気に留めていなかったが、ある日、それが皆に見えているわけではないと気がついた。途端にそれは見てはいけないものだという気がしてきた。とても恐ろしくなった。しかし気づいたとて、それらは何処にでもいて、いずれかに必ず目が合うのだ。僕は怯えながら道を歩くようになり、時には耐えきれなくなって逃げるようになった。
そのうち、自分の他にも見える人間がいると知った。そのうちの一人が、実の父であった。もう10年来それらに悩まされていたと聞いて、驚愕した。僕ですら、父のことを狂人だと思っていた。頬はこけ、眼窩は落ち窪み、常に落ち着かぬ様子で神経を尖らせ、時に奇声を上げて走り回るのだ。合点はいったが、かといってどうしようもないのだった。僕だって、こんなものを10年も見続けたら気が触れてしまうと思う。
同じく見えている知人がもう2人居たが、様子はごく普通なのだった。いや、むしろ朗らかでそれが常世の物ではないと知りながら当然在るものとして扱っている。僕には彼らの方がよほど恐ろしく、声をかけられることも恐れた。
僕は自己暗示を繰り返し、なんとかそれらを黒猫か何かだと錯覚できるようになった。猫や犬やなんかが本当の姿で、黒い不定形で眼玉だけの生き物など、脳内の幻覚だと思い込む様に努めた。しかし気のせいだと思おうとすればするほど、ふとした拍子に直視してしまうともうダメだった。ギョロリと大きな目が僕を見る。大声を上げて、駆け出していた。