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    しおつき/干し

    二次創作アップ用です。

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    しおつき/干し

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    大団円の後、約束を果たしたラにカブが他の迷宮への冒険を誘ってほしいな、という妄想。旅の出発までしか書けてません。2人の会話しかないけどカブの仲間もついてきてるのかもしれない。カブの有害と判断した相手は容赦なく切り捨てられるところ、忘れがちになるんですが、正義の旗の下であろうが殺人は殺人であること、彼の罪を忘れずにいたいです。

    ##カブライ

    共犯者の旅 キメラになった妹を人間に戻し、島の迷宮の騒動を収めた後、ライオスは俺との口約束をきちんと果たしてくれた。お互いの仲間を誘って地上の居酒屋でよく食べよく飲み、ボヤけた頭で今までのこと、これからのことを徒然と語り合う。己が成したことがどれだけの偉業か分かっていないこの男は、魔物への興味を除けば、不安になるほど無欲で、良いやつだった。だから俺はその欲に目をつけて、他の迷宮を踏破する旅にライオスを誘った。あんなに危険な目に遭ったのにまた迷宮に入るなんて正気じゃないと、近くにいた誰かが警告してきた。それもそうだと思い、すぐに無理にとは言わない、と告げて、ぬるいエールを飲み干した。酔いでぼやけた視界の中で、一瞬驚いた顔を浮かべた彼の蜂蜜色の瞳がぐらぐらと揺らいでるのがはっきりと見えた。

     数日後、酒屋の地階に借りた自室にライオスからの手紙が届いた。旅に同行したいと書かれた文面が間違いではないことを何度も確かめてから、すぐに返信を書くために紙とペンを用意する。返事への感謝と、旅の詳細を話し合うための日程と場所の候補をいくらか記して封を閉じた。

     島を出る帆船に乗り込んで、船室に荷物を降ろす。甲板に上がるとライオスが船と並行に飛ぶ海鳥を興味深そうに眺めていた。歩み寄るとこちらに気付いて笑みを浮かべてくる。
    「いい天気でよかったね」
    「ええ、航海日和です」
    「うん。…本当はファリンも連れてきたかったんだけど、マルシルにすごく反対されて…ファリンもマルシルが心配みたいで」
    「そりゃそうでしょう。彼女たちはこれからどうするんですか?」
    「元いた魔術学校で研究と教育に携わるみたい。俺も二人に回復魔術を教えてもらった。マルシルは教え方が上手いんだよ。ファリンもすごい才能を持ってる。…でも二人とも、きっとまた迷宮に戻りたくなるんじゃないかなぁ」
     彼の妹の詠唱魔法に苦戦させられたことを思い出した。まったく敵に回したくない兄妹だ。今回の騒動の中心となった彼女たちにはカナリア隊の監視の目がついている。特別な理由がない限り、迷宮には近づくことさえ出来ないはずだ。魔術の研究で貢献して、待遇緩和を狙っているのかもしれない。
    「ライオスも魔物の生態を教える先生とか向いてるんじゃないですか」
    「それはすごく楽しそう。雇ってくれるところないかな」
    「まず生徒1号は俺ですよ。ライオスが先生としてやっていけるかジャッジしてあげます」
    「ふふっ、一緒に勉強していこう」

     自分が1番知りたいのは目の前の男のことだった。童心に突き動かされて生きているだけのように見えて、危険を顧みずに合理的な判断を下し、多くの命を救った。島の迷宮を無事攻略できたからといって、他の迷宮で生きて帰れる保証はない。俺は自分の目的達成のためにライオスの助けが必要だと判断した。彼を新たな危険に巻き込むことに罪悪感は覚えなかった。俺が進みたい道の先に、ライオスが求めてやまない未知なる驚きが手招きしているからだ。水平線の向こうに島の輪郭が小さくぼやけていくのを眺めながら、魔物好きな男との旅が実り多いものになるようにと心中で精霊に祈りを捧げた。
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    しおつき/干し

    DONESS
    スクカー軸のエレライが出会って付き合うまでの小話です。全年齢。三人称とエレン視点、ライナー視点が混ざっててカオスです。タップで全文表示されます。
    我慢がきかないティーンたち「本日返却したテストがE+より下の評価だったものは、明後日の4時間目終了後にこの講義室へ来るように。追試験を行う。NOじゃない。リベンジのチャンスがあるだけ感謝しろ。それでは解散」
     物理基礎クラスを担当する教師が教壇から冷たく言い放つ。禿げ頭の物理教師は、軍隊上がりで異様に厳しいことで有名だった。終業のベルが鳴って教師が出ていくと、第2講義室に集まっていたタイタンハイスクールの学生たちは抗議のブーイングを大きくもらしてざわつき始める。窓際の隅の席に座っていたエレン・イェーガーは手元の解答用紙に目を落とした。書き殴るように真っ赤なF+が記されている。エレンはため息をついて窓の外の青空をぼんやりと眺めた。周りの生徒たちはせかせかと教室を飛び出している。目的や夢を持つ学生にとって時間はいくらあっても足りない。そんな忙しい学生たちの中でエレンは浮いた存在だった。熱中してるものがなく、他人に話を合わせるのを嫌ったエレンには2年になっても友人も恋人もいなかった。両親は健在で、いじめられることもなく、大きな活躍で目立つこともなく、可もなく不可もない人生。劣等感を糧に奮起することも、艱難辛苦を味わって野望を抱くこともなかった。エレンの日常はスクールバスから眺める外の風景のように、突っ立ったままでいても過ぎ去っていく。
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