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    さんじゅうよん

    @kbuc34

    二次創作の壁打ち。絵と文。

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    さんじゅうよん

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    「今度はがんばるから」の前日の話。
    歌不在、しょこさんと五のやり取り。
    〜呪霊が出てこない、の話読んでないと恐らく意味不明。Rではないがずっと下着の話をしているのでご注意を。

    ##五歌

    ×××しないと呪霊が出てこないラブホテルその後。 頼んでいた報告書を引き取りに、硝子の元を訪れたところ、突然こう言われた。
    「────五条。可愛い系とセクシー系だったら、どっちが好み?」
    「は」
     大凡硝子の口から飛び出したとは思い難い質問である。急にどうした。この女はザルだったと思ったが、酒の飲み過ぎで遂に脳細胞がいかれたか。意図が読めないにもほどがある。
     自分で聞いておいてさほど興味もなさそうな様子で書類仕事を進める同期に、僕は、取り敢えず巫山戯ておくことにした。
    「え……まさか硝子、僕のこと、好きだったとか……? ごめんね、嬉しいけど僕、今すげぇ好きな女と付き合ってるから、その気持ちには応えられないや……」
    「茶番が長い」
     硝子はペンを走らせる手を止めて、呆れたように僕を振り返った。
    「別に、答えなくてもいいけど。そしたら先輩に、サラシでも巻いとくように勧めるだけだし」
    「!」
    「来週、会議終わりで会うんでしょ? 歌姫先輩相当悩んでるみたいだし、今なら、君の好み、聞いてくれると思うけど」
     どうする、と口の端を吊り上げて、硝子は首を傾げる。
     僕は、思わず口元を覆った。
    「まじか……うわ、マジか……」
    「語彙死んでるよ」
    「いやだってほら頑張るとは言われたけどまさかそこまでヤる気満々で準備してくれるとか思ってなかったし」
     泊まりの約束は半ば無理矢理頷かせた。絶対抱くから逃げるなよ、逃げても絶対捕まえてベッドに連れ込むと脅しもかけた。真っ赤な顔で声も出せずにこくこく頷いて僕にしがみついているのが可愛くて、ちょっと調子に乗って長いことキスし過ぎて、ぽやっとしているのがまた可愛くてうっかりその場で襲いそうになったのが三日前の打ち合わせの時である。
     その日はお互い時間がなかったので、ハグしてちゅーして別れた。我ながら紳士過ぎて泣ける。
     まだ一週間以上あるのに既にがちがちに固まっていたので、大丈夫かな、とは思ったのだが逃走準備ではなくきちんと考えて用意をしてくれていたことがとても嬉しい。歌姫らしいと言えば、らしいが。女に二言はない、ということだろう。
     にしても、僕に抱かれる為の下着に迷って頭を抱えている歌姫なんて、最高に唆るじゃないか。
     いっそのことこのまま京都まで押し掛けて押し倒したいくらいだが、しかし、ここは我慢の一択だ。歌姫が、僕のために、悩みに悩んだ末にどんな姿で現れるのか、見たい。
     ああでも、今なら、僕の希望も通るのか。
     それはそれで捨てがたい。
     僕は長考に入った。
    「……」
    「……で。どうするの?」
    「うーん……悩む……悩むからちょっと待って……!」
    「返事しなきゃなんないんだけど。先輩待たせないでよ。早く」
     十年の付き合いになるというのに、まったく薄情な同期である。
     とんとんと苛立たしそうに指先で机を叩きつつ、冷めた流し目を寄越されて、僕は顔を覆い呻きながらも苦渋の決断を下す。
    「んんんんん……せ、清楚系……清楚系で……! 出来れば白……!」
    「へえ。意外と王道派?」
    「や、歌姫初めてだし、あんまりハードル上げるのもちょっと。……それに、まだ男知らないまっさらな歌姫が、僕の手で堕ちてく感じ、めっちゃ良くない……?」
    「具体的なイメージとか聞きたくないんだけど」
    「ま、それはそれとして、セクシー系は自分で選んで着せたいからまたの機会でいいや。取り敢えず、一生懸命ラッピングしてくれたらそれでいいし。肝心なのは中身だから」
    「…………。まあ、わかった。それとなく誘導してやろう」
     スマホを手に取りキーボードをタップし始めた硝子は、僕の方など見向きもせずにこう言った。
    「貸し一つね」
    「はいはい、わかってますってー」
     成果次第では報酬の上乗せも吝かではない。
     ほくほく顔で笑う僕に、硝子はようやく顔を上げ、気味が悪いものを見たと言わんばかりに肩を竦めて表情を歪めた。
    「君ね……先輩可愛いからって、あんまり、羽目外さないでよ?」
    「そりゃ、鋭意努力はするけど。でもわかんね。歌姫、時々思っても見ないタイミングで煽ってくるし。僕もう既に興奮し過ぎて鼻血吹きそうだし」
    「……」
    「はあ……マジでやばい。すげえやばい。緊張し過ぎて勃たなかったらどうしよ……」
     これじゃまるきり童貞である。
     思わず溜息を零した僕に、硝子は心底煩わしそうな顔つきで「あのね、私の前でそんな話しないでくれる?」と吐き捨てた。
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