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    Lemonn

    Lemonnです!
    色んな絵やイラストや落書きを描いてます!
    最近は多分主にシンレナです。
    偶に別ジャンルもあるのかもしれません。
    宜しければツイッターの方もどうぞ!
    https://twitter.com/Fruits_L_Claire

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    Lemonn

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    元カレシンと元カノレーナの話。
    現代パロです。
    もちろんハッピーエンドです。

    すべてを乗り越えたらくそ甘いのが待ってますよ。

    その動悸、もう一度「――本当にもう、おれたちは元に戻れないのだろうか」
    「ぇ?」

    彼の頬が少しだけ赤く見えるのは、寒かったからなのでしょうか。
    今日は雪警報が出たので早めに退社した。
    首に分厚いマフラーが巻いて、彼はそのマフラーを少しだけ引いて口元を隠した。

    その言葉の意味は深く考えなくてもすぐにわかった。

    ーーー目の前にいるのは、わたしの元カレ。





    三年前。
    わたしたちは大学で出会った。
    学科が違うから本来ならば出会うはずもなかったわたしたちは、まるで運命に導かれたように。

    「手伝いましょうか?」
    それは彼が最初にわたしにかけてくれた言葉。
    うっかり大事な課題調査文を地面に散らかったわたしを手伝おうと言って、ページがどれかどれさえもまとまったくれた。
    しっかりしてる人だなと、思った。

    もう会わないと思っていた。
    わたしたちは再会した。三日後の友人との飲み会で…それはつまり合コンだったことはあの日になるまでは知らかった…。
    さすがに社会人ですらなってない人たちが酒を飲み始めるとすぐに酔う。
    わたしは苦くてなかなか飲めなかった。

    そろそろかなり遅い時間になり、周りの人たちは寝た人は寝て、酔ってるか変なこと言ってる人もいて。家に帰りたいけど一緒に来た友だちも放って置けなくて。

    カタン。
    困ったなと思ったその時に誰かが店の扉を乱暴に開いた声がして、店に入って来たは見た目は自分と同じくらいな年の男の子三人。
    「嘘だろ」
    「こんなの聞いてないんだけど。」
    恐らく男子たちを迎えに来たのでしょう。

    三人は完全に酔ってる彼らを連れて行こうとすると。
    変な目線を感じる。
    さっきから俯いて飲み物に集中してたからあんまり見えなかったけど、声掛けられた方へ視線を向いたらそれはどこかで見たことあった顔だった。
    黒い髪に深い赤い色の瞳。
    目の色が綺麗だったから印象に残ったその目と顔立ち。
    「大丈夫ですか?タクシー呼びましょうか?」
    あの日みたいだった。

    あれからは何故かよく大学で会うようになった。
    最初は軽く挨拶からちょっとした会話。
    お互いの趣味が同じで、図書館でばったり会ったこともあった。
    借りた本の記録カードはいつも彼の名前がその上に書かれていた。いつからかその名を見てると妙に嬉しくなったり…。

    そしてわたしたちは、付き合い始めた。
    そして別れたのは去年。

    きっかけはもう思い出したくない。思い出そうとすると何かが心を引きちぎってるようで痛いから。


    —————————————————————————————————————

    「昨日の子たち、可愛かっただろ??」
    「気に入ったのあった?」
    会社のとある廊下で誰かが彼の方を叩いた。
    彼は無言だったが、それが妙に気に食わなくて、わたしは歩み寄った。

    「他の子みたいに可愛くなくてごめんなさいね」
    「は?」
    意味がわからなさそうに彼は眉の間に皺を作った。
    「どうせ三年前からずっとわたしのこと可愛くないって思ってたんでしょう?そのくらい知ってます」
    「むしろ貴女のこと可愛いとしか思ってなかったのにその言い方はどうかと思うが?」
    「うそですね?!呆れましたよ?!本当に!もう別れたんですからそんなウソを続いても無意味だとは思いません?」

    そうだ…あの頃。かれは、いつもわたしを可愛いと言っていた。

    「…。貴女はそういうところだから!そういう貴女こそ」
    「…なんですか」
    「付き合って二年も経ったのに未だに敬語とは、実はよほど距離を作りたかったじゃないのか?」
    「はい?わたしだって頑張ったんですよ!?呼び捨てとかため口とか!結局恥ずかしくて出来なかったですよ?!男なんですからそのくらい察してくださいません??」

    知らないくせに。わたしが一人で鏡に向けて必死に練習してたことを。

    「人に察せと言える立場なのか?察してくれないのに?」
    「あの時、あいつと飲み会なんて行かない方が良いって言ってたけど。覚えてる?おれが死ぬほど嫌な気分だったの知ってた?」

    なんで…今それを掘るのかな…。
    一番思い出したくないそれを…。なんで…。

    「…。あれは、ただの業務で…」
    「へー」
    心底信じていない顔をしてた。


    別れて一年の間、わたしたちはずっと喧嘩と言い合いばかり続いてた。



    ————————————————————————————————————

    「――本当にもう、おれたちは元に戻れないのだろうか」
    「ぇ?」

    彼の頬が少しだけ赤く見えるのは、寒かったからなのでしょうか。
    今日は雪警報が出たので早めに退社した。
    首に分厚いマフラーが巻いて、彼はそのマフラーを少しだけ引いて口元を隠した。

    その言葉の意味は深く考えなくてもすぐにわかった。

    わざと一緒に帰宅しようとしたのはなく、家の方向が同じだから彼の背中を見て歩いていたのだ。

    「…。忘れるのは、簡単なことだと…思ったんだ」
    彼は息を飲んだ。

    「嫌いになろと自分に向けて言い続けてもそれは…」
    「余計に気になると自覚してしまう」
    「気にしないようにするばするほど、おれは、貴女が傍にいて欲しいと思ってしまう」

    一瞬言葉が喉に突っかかって、何も出て来なかった。

    ドクン。

    どくんどくんと、心臓が跳ねる。

    なんで?

    この人が大嫌いだったのに。
    大嫌いな…はずなのに。

    これではまるで…

    三年前に彼に告白された時みたいじゃないですか。


    「ごめん、急いでないから。ゆっくり考えていいから」
    「返事はそれからでいい」

    言って彼は前へ振り向いて再び歩き出した。

    なんだ寂しそうなその背中を見つめて胸が切なくぎゅっとなった。

    何か言い出せたらいいのに。







    「…お節介だと?」
    「そうなんです!もう疲れてるのにせっかく家に帰ってなんでまた貴方に文句言われないといけないんですか!」
    「貴女のことが好きでなければ誰が貴女の節介をするんだ」

    「誰も好きになってくださいと頼んでないでしょうに」
    「…。そうだな」

    「なら、もう貴女を好きのをやめる」

    「そうですね。今までありがとうございました」


    ーーー別れましょう。
    ーーー別れよう。




    思い出しながら、懐かしい公園が目に入った。
    昔よく一緒に帰った。
    なんとも思ってもいなかったその光景に、今は懐かしく思えた。
    本当は…あの頃に、戻りたかった。

    「あの日のことを、覚えてますか?」
    彼はわたしに答えようと、僅かに振り向いた。
    「ん?」

    「社長との飲み会をやめようと言った、あの日のことです」
    「ああ。」

    不意に立ち止まって、彼も合わせて歩くのをやめた。

    「あの男…人を誘っておいて、勝手に酔ってるんですよ」
    「へ…」
    「隣に座る必要なんてないのというのに…必要以上にくっついてきて…」
    「…」
    「…セクハラ、してきたんですよ」
    「…は?そんなこと、一度も聞いてないしなんで言わなかった?!」
    彼は目を見開き、まだいるはずだと。どこかへいこうとするとわたしはその手首を掴んだ。

    「お願いです、最後まで聞いてください」
    「わたし、後悔したんです。なんで貴方の言うことを聞かなかったのかを。最初は断れないと思うばかりに…本当は断る方法なんていくらでもあったんですよね?」
    「貴方の名前を心の中に念じ続けて、今すぐ助けに来た欲しかったんです」

    「当然、来てはくれなかったんですが」
    思わずこぼした苦笑。

    「地獄の時間がやっと終わって、社長さんをタクシーの中へ放り投げたらやっと解放されたのです。」

    「わたしは、家のドアを開く前にずっと思ってたんです。本当は…」
    「ちゃんと謝ろうと。思ったんです」

    「でもわたし、謝るまえに貴方に責められたことが耐えられなかったです」
    「どうして…大変な思いしてるのに、貴方にこんな風に責められなければならないのかと」

    「勝手に貴方がわたしを待っていてくれて、きっと慰めてくれると思ってたんです」

    「ごめんなさい…あんなこと…言うんじゃなかった…」
    ぽろぽろと、涙が目から溢れてくる。

    本当は…思ってなかったことは一度もなかった。
    気付かないふりをしていただけ。

    取り返したい。
    貴方が行っちゃうのは嫌。
    好きと
    可愛いと

    もっと聞かせて欲しかった。


    「なら、仲直りのしるしに、口付けというのはどう?」

    わたしは目を二回瞬いて彼をよく見た。
    彼は笑った。

    答えをまだ口にしてないのに彼はそっと顔を近づいて来て、わたしの口を塞いだ。

    懐かしい匂いと感触。
    角度を何回も変えて、やっぱりこの人との口付けは心地いい。

    離れるのも名残惜しくなるくらいに。

    「どう?久しぶりのキスは」

    どうって。
    暖かくて、すごく

    「……気持ちよかったですっ」

    少し目線を泳がせ、わたしはこう答えた。

    「良かった。おれもだ」
    甘く笑う彼を見ているとこっちが溶けてしまいそうだった。

    そうだった。
    甘ったるく細めたその赤い瞳と柔らかく上げた口角。
    彼はいつもそんな顔でわたしを見ていた。

    彼はわたしを抱き締めてくれた。
    久しぶりに触れることができたその高い体温。

    もう少しこのまま…。

    「…うち、くる?」
    顔を見せないまま耳元で囁けれた。
    彼の肩に顔を埋めたまま、小さく頷いた。

    さっきはすごく寒いと思ったのに、なんだか…とても熱くなったような気がした。







    まどろみから目覚めて、久しぶりの感触と匂い。
    天井は前と同じ色だった。

    それはそうでしょうね。そんなすぐに変わるわけもないのに。

    身を起こそうと全身の筋肉が疼く。
    今までに体験した中でも、今回のは一番酷かったと密かに思った。

    ぼーっと横にすうすう寝息をしてる彼を見ていた。
    窓の外を見てみると今日の朝はかなり明るいなと思った。


    …。


    今…何時…?


    慌ててベッドの横に置いた時計を手に取った。


    「起きてください…」
    「もう〜起きてくださいいー」

    何度も彼の肩を揺らした。
    「ん…」
    「おはよう」
    少しだけ目を開け、わたしの頬を彼は手のひらを当てた

    「じゃなくて…起きてください…遅刻です…」

    「…あっ。」
    初めて聞いた彼のアホっぽい声は可愛かった。




    時間ギリギリで会社に着きました。
    はあはあと息を吸いでは吐きながら。
    「さあ。いこう」
    「待って、」
    「…」
    「先に…行ってください…。」
    「なんで?」
    「その…恥ずかしくて…」
    昨日までは会社で睨み合ってる仲なのに今日は一緒に出社するなんてどう考えても噂されるしかない。

    「…。昨日聞きそびれたけど。」
    「おれに直したいところとかある…」
    「今しなければならない話ですか?」
    「ああ。結構大事」
    「…ないんですよ。直したいところなんて、一個も。」
    「良かった。」

    彼はそう言った途端わたしの手を取り、走り出した。
    「なななな...待って、シン…ちょっと…」
    「もう我慢するのはまっぴらごめんだから」
    「走ってレーナ、間に合わなくなる」

    「もう〜」

    憎らしいけどやっぱり誰よりも愛おしい。
    思わず、
    笑いをこぼしてしまった。


    ———————————FIN—————————————————



    おまけ①

    「今回も良くできましたぞミリーゼ」
    ちょっと古臭いデザインされたメガネの中年男性にうしろから呼び止めた。
    「はい。お疲れ様です。社長」
    「で、どうですか?打ち上げにまた一緒に飲みに行きませんか?前と同じ店にしましょう」

    「ありがたいお誘いですが。ことわさせていただきます。」
    「ん?なぜです?前は付き合ってくれたじゃないですか?」
    「はい。そうですね…。前は社長がそんな豚人間だとは知らなかったので。」
    「…はい?今?豚と…」
    「そうです。酔ったと偽かけて女性社員にセクハラする豚やろうです。」
    「なので。お断りします。では。」
    我ながらいい笑顔でいいことを言った。
    清々した。

    「いいのか…。あんなこと言って。おれは嬉しかったけど…やっぱり一応…社長で」
    「いいんです。」
    心配してそうな顔をしてシンは走って来た。
    「別にクビにしてくれても構いません」
    「…その言い方、まるで行くあてがあるみたいだな」
    「んー」
    「だって、シンが養ってくれるでしょう?」
    ふっ。とシンは笑った。
    「そうだな。」

    —————————————————————————————


    おまけ②

    「まだ何か御用ですか社長。」
    個室に来てくださいと呼ばれてたので警戒はするつもり。
    「いやその。報告書は…出来たのかなと…。」
    「まだですけど、あと一日ちょっとくらいの時間さえいただければなんとかできますが」
    「あっいいえ。急がなくてもいいです。貴女の能力について疑ったことなんてありませんからね」
    「は…。」
    なら何が言いたい。
    「その、今回貴女のお給料を上げようと思うのですが」
    「えっ。本当ですか?」
    「ええ。その、この前の話…誰にも話して貰えればと…」
    「なるほど。そういうことですね。理解しました。」
    「ああ…理解が早くて助かりました。」
    「ですがこれぐらいでは口を塞ぐには足りませんよ?」
    「…え?」


    「それで?がっついたわけ?」
    そう言って手に持ったサンドイッチをぱっくとするシン。
    「人聞き悪いですね。」
    「あくまでお給料三倍にして、それからボーナス二倍にして貰っただけですよ?」
    レーナは机の上に置いたカップを手に取り、紅茶を啜った。
    「んー美味しいです」
    「それでもがっついたとは言わないのか…」
    「うふふ。それを手に入れたら今年こそシンと旅行に行けますし...富士山とか見てみたかったですし…」
    ちょっとだけ身が可愛く揺れてる彼女を見てシンは何か思いついた。
    「…別におれは…旅行なんて行きたくはないけど…」
    揺れてる彼女は突如止まった。
    「…え」

    「ええええ?だって旅行ですよ??昔一度は行きたかったって言ってたじゃないですか…」
    「今年こそ…叶えられると…思ってたんですよ…ううう…」
    心底泣きそうな彼女を見てシンは笑いをなんとか堪えた。
    「これを見て。」
    そしてスマホを彼女に見せた。
    「なんですか…」
    しくしくと彼女は顔を上げた。
    「…秘湯…これ、前に行きたかった…っ」
    「そう。箱根だって。行こうと思うんだけど。」
    「…むっ。からかいましたね」
    「ごめん…つい。」

    見せられたそのウェッブサイトの右上にブックマーク日付けが表示されてて

    三年前の…日付け…?

    ふと何かを思い出して、ホームページのボタンを押すと、
    「…ホーム画面にしてたんですね」
    何かと思えば、ハッとシンはスマホを持ったその手を迅速に引いた。
    三年前に一緒に撮った写真を前は待ち受け画面にしてたけど。
    別れたからもう外したと思ったらホーム画面に発見してレーナはくすくすと笑った。
    「そういう貴女だって。」
    「?」
    「待ち受けすらそのままだったのに」
    「…?なぜそれを…?」
    「前にアラームが鳴ってちょっとうるさいなと思ってなんとかしようとしたら…」
    「…っ」
    「負けました…」
    「よろし。」

    「せっかくだし。記念に、新しいやつ撮ろうか?」
    「…撮りますっ。」


    ———————————————————————————


    おまけ③

    「ああ待ってください、恥ずかしいからちょっと、」
    シンに性急に脱がされて、こういうのも久しぶりでちょっと慣れなくて変な気分。
    けどそれ以前にもっと大事なことが。
    「待たない」
    「ああもう〜だからその、言わせないでください…っ」
    「…。何が」
    「アレです。あれを…持ってるんですか…」

    当たり前です。三年も経ったのだから持ち合わせてるのかどうか確認しないと。

    「ああ。確か…ここに…」
    そう言ってシンはベッドの横の引き出しから小さな一箱を手に取りレーナに見せた。
    「ご所望な品はこちらであってますか…」
    にやりと笑ってるところさえもなんだかちょっち憎らしい。
    「あああってますから...見せないで…っ」
    …いや待って。

    「なんで…持ってるんですか。」
    「…?」
    「もしかして…この一年間…ずっとゆ、有効活用して…ほ、他の女の子と…っ」
    「落ち着け。持ってるというか。置いたまま。」
    「…置いた…まま…」

    「三年前から…ずっと…」
    「…え。」
    「こんなこと、レーナとしかしたことない」
    部屋が暗くて良かった。
    そうじゃないと絶対顔が真っ赤になってるのがバレる。
    と密かにレーナが思ってる時。

    「そういうレーナは、」
    シンは彼女が晒されたお腹の上の白い肌を撫で上げた。
    「この肌を誰かに見られたことあった?」
    「…っ、ないに決まってっ、るんじゃないですか」
    「…見せたのはシンしかないのにっ」

    「良かった。」
    ふふっと彼は笑った。

    「気になったのですが。」
    「それ、三年も経ってたから…大丈夫なんですか…」
    引き出しから出したそれがやっぱり不安で気になって仕方がなかった。
    「たぶん。」
    「…え?」

    「捨てるの勿体無いから使い切らないと」
    「待ってください…不安なのでやっぱり今から新しいの買いに行ったほうが…」
    「無理。」
    シンは微笑んで舌滑りした。
    欲情に灯ったその赤に自分はもう逃れられないと知った。
    ごっくりと一息を飲み込んでこっそり彼のすべてを受け入れる覚悟を決めた。
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