部下の独白。例えば、この革命が終わって、全てが終わって__
そうしたら、ブレイズデル様はどうするのだろうか。私はどうなるのだろうか。
彼の広い背中を見つめて、ふと、そんなことを思った。
「この時代に、優しい心は必要ない。」
ブレイズデル様がいつか言っていた言葉を思い出す。
彼の言っていることが絶対正しいとは言い切れないが、それが彼の生き方なら、それを否定する権利は私には無い。
実際、ブレイズデル様は言葉通り、人に優しさを見せることは今まで一度も無かった。ブレイズデル様の指示で大勢の人が地獄に落とされ、私は彼の命令で大勢の人の命を奪った。
大勢の人の血で、この手を染めた。
時々考える。
私のやっていることは正しいのか。
人を殺して、そのたびに後悔して、夜は泣きながら布団にくるまった。そして朝が来て、私は生きている。私が殺した人には、二度と朝が来ないのに。
何のためにこんなことをしているのだろうか。
時々考える。
考えても、私には何も分からない。
彼の考えていることが、何も分からない。
それでも私は、どうしようもなく彼のそばに居たいと願ってしまう。涙を流して心を削ってでも。もしかしたら、いつか彼が私にだけ自分の心の内を明かしてくれる日が来るかもしれないと、どこかで期待しているから。
それは明日かもしれないし、そんな日は一生来ないのかもしれない。
ただ、分かったことが一つだけある。
革命が終わって、全てが終わっても、ブレイズデル様が歩みを止めることはないということ。そして私は、それを止めることが出来ないし、止めることもない。そしていつか、あなたは私を置いて行ってしまう。一緒に連れて行ってくれと頼んだところで、あなたが私を連れていくことがないのも分かっている。私が立ち止まったところで、あなたが振り返らないことも。
それなら私は、ここであなたを待っている。
疲れきったあなたが、また、ここに戻ってこられるように。
「ブレイズデル様、私は__」