ガルデニアは咲かず、立葵は燃えるぽちゃり、ぽちゃり、ぽちゃりーー
とりどりの色彩が艶やかな飴色の上に落ち、みるみるその表面を覆い隠していく。無機質な白い陶器の皿から移されたいくつもの花。まるで再び土壌に根を下ろし花開いたように。デザートのバニラアイスに添えられたエディブルフラワーを、どこか繊細なつくりの長い指が一つ一つ摘んではティーカップに"植え替えて"いく。レイン・エイムズは、その様子を内心ハラハラしながら見守っていた。
まさに今、レインの隣でティーカップを寄せ植えの鉢に仕立て上げている男は、先ほどから話し相手に一瞥もくれずにごく短い適当な返事を口にするのみである。新たな土壌に花を咲かせながら、相手との会話に花を咲かせる気は毛頭無い様子だ。
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