Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    retsuxxx

    @retsuxxx

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 2

    retsuxxx

    ☆quiet follow

    へし薬の長谷部が実薬フラグで凹んでたら薬研が分からせに来てくれたけど引き続き凹な長谷部…な三角関係小話です。(今回のお話に実休さんは出ませんが…)受優位の性描写を含みます。

    #へし薬
    medicineForABrokenLeg

    へし→←薬で実(→←?)薬な話 黒猫のような短刀がするりと布団の中へ潜り込んできて、浴衣の裾から伸びた足首がふくらはぎに絡んだ。子供のなりをしている割にひんやりとした細く薄い身体は、二振で一組の布団に納まっても何の問題も無く布が足りてしまう。
    「なあ、長谷部。あんた一体どうしたんだ」 
     懐に擦り寄りながら問う声に、ぐっと口を噤んだ。何のことだ、と問い返すまでもなかった。理由は自分でも痛いくらいに分かっている。だからこそ、身の置き場がない心地がする。相手の背へ腕を回し返す事も出来ず、布団の中で手持ち無沙汰に彷徨わせている。
    「すれ違ったって目も合わせないんだ。そうまでされたら、いくら俺っちだって何も思わないわけじゃないぜ?」
    「それは……。すまないとは、思っている」
    「んん? やけにあっさりしてるじゃねえか」
    「こちらに非がある事は分かっているからな」
    「でもな、俺は別に謝って欲しいんじゃない。話がしたいって言ってんだ」
    「……」
    「埒が明かねえ。だがまあ、これでもしらばっくれられるよりかは百倍ましか」
     肩を竦めてため息をついた薬研が、あやすように額や頬へ小さな唇を寄せてくる。それでも、心に立ちこめた暗雲は依然として晴れそうにない。
     話し合ったところでどうなると言うのか。縛って、ずっと部屋に閉じ込めておくわけにも行くまい。
    「……っん、……おい、薬研、……こら」
     とうとう唇同士を合わせられ眉根を寄せて顔を背ける。その間に、寝間着の腰帯が解かれていた。腹部が楽になる感覚に気付くも、止めるより先に合わせをはだけられ、仰向けになった身体の上に、しなやかな身が乗り上げてくる。心地よい重みが掛かると共に、下着越しの自身へ薄い尻がゆっくりと擦り付けられて、ぞわりと肌が粟立つ。咎めるつもりで出した声は、自分で思ったより弱々しいものだった。
     腕で肩を押し返すものの、物理的に擦られたものは既に芯を持って下着を押し上げている。
    「ッ、……やめ、……ッ。……っぅ」
     薬研が自らの帯をするりと解いた。浴衣の合わせが緩み、骨の浮いた胸や腹が薄明かりの元にぼんやりと晒される。心配なくらい薄い腹が、下で大きくなっている己の持ち物をすっかり受け入れてしまえる事を、自分はもう知っている。流される、と思った。
     布団へ落としたままだった手を手繰られ引き寄せられても振り解けず、指の背へ悪戯に歯を立てられても抗う事は出来ず。せめてもの抵抗に相手を睨み上げると、薬研が唇の端を上げて妖艶に双眸を細めた。
    「言葉で伝えるより、この方が早いな。分からせてやるよ。俺が、あんたのものだって事を」

     結局、前戯もろくにないままに、既に雄を迎え入れる準備が整えられていた粘膜で扱かれて、呆気なく搾り取られた。一度火が付いてしまえば人の身など愚かなものだ。気付けば布団に俯せた小柄な体躯を後ろから組み敷き、自ら腰を振っていた。
     双方出すものを出し切って無言で後始末を終え、気怠い疲労感の中で再び布団におさまると、珍しく薬研の方から甘ったるく擦り寄ってきた。
    「なあ、長谷部」
     ここへ尋ねてきたときに比べて掠れてしまった声で呼ばれる。事後の情から細い腰を抱き寄せ背を撫でてやれば、ぐったりと首に腕が回される。
    「俺は今、誰の布団で寝てるんだ? 言ってみろよ」
    「……俺の布団だ。実休が先に顕現していたら、どうだったか分からないがな」
     喉の奥に固まって張り付いていたものが、急にぽろりと溢れる。薬研はその捻くれた答えを聞くなり、布団の中で俺の脛に足先をすりすりと擦り付けて戯れながら無遠慮に笑った。
    「あんた、本当にかわいいよなあ」
     などと、しみじみ言われる。こちらの眉間の皺が深くなったのに気付こうが、薬研は無傷である。
    「大分、らしい顔に戻ってきたじゃねえか。……なあ、確定した歴史にたらればは無いってのは、俺たちが一番良く知ってる事だろ? 長谷部が先に顕現した。それが事実だ」
    「……分かっている。ほら、そろそろ寝るぞ。明日に響く」
     背をぽんぽんと叩いてあやすと、ようやく納得したのか、それとも何度も貫かれた疲れからなのか、元気だった口が閉じた。部屋に沈黙が訪れる。
    (お前は気付いていないんだろうな)
     実休と初めて対峙したときの、いつになく嬉しそうな表情を。普段は落ち着いた色をしている瞳がぱっと輝いて、まるで花が咲いたようだった。他の誰も気付くまい。長く見てきた自分だからこそ、分かるのだ。過去が覆される事はない。そんな事は分かっている。しかし、未来はどうか。自分たちに与えられた時間にはまだ先がある。この関係は、確定事項と言えるのか。
    (懇願すれば良いのか? 俺を選べと? ……はっ)
     あまりの馬鹿馬鹿しさに想像だけで自嘲の笑みが零れた。そんな事をするくらいなら、感情ごと全部捨ててしまった方がましだ。
     眼下の黒髪へ鼻先を埋めようとして、やめた。もし、薄らとでも薬草の香りがしたら、折れてしまいたくなると思ったのだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🍌💯💘👏💴💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works