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    renri22

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    renri22

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    ウウウルトラC夜十、思いつきで落書きみたいな短文です。
    自分が十郎の○○であることを伝えた夜美のおはなしです。
    本編ネタバレ。

    「十郎、これでは何も出来ないんですけど」
    「何もしなければいい」
     自分が血縁者であることを伝えてから十郎は自分を離さなくなってしまいました。朝からずっと一日自分を膝の上に乗せています。詩を書く時も食事の時も自分を腕に抱いているのです。可愛らしいことこの上ないのですが、少々困りました。
    「十郎、家事があります。今日はどこも掃除をしていませんよ」
    「掃除などしなくても死なない」
    「夕ご飯の支度もしないと」
    「夜は店屋物を取ろう。ちゃんと良い店を選ぶ」
    「……」
     昨夜、ボッコは自分の半身であり、遺伝的に十郎は自分の子どものようなものだと何気なく伝えた時のことを思い返します。この星に残ることを決めるまでは十郎の執着が更に増すのではと黙っていましたが、もうその心配もなくなりました。
    『……そうか』
     意外とあっさりした返事だったことに内心驚いていました。十郎が口下手なことは承知しています。ですが、もっと喜びを伝えてくれるのではと内心期待をしていなかったかと言えば嘘になります。自分は十郎の笑顔が見たかったのでしょう。
     異変は翌日起こりました。
    『夜美、こちらへ』
    『はい』
    『僕の膝の上に』
    『はい……?』
     それから十郎は自分を膝に抱いて離さなくなってしまったのです。
    「十郎」
     朝からずっと書き物をしている十郎を膝の上から首をよじって振り返ります。大体、こうして腕に抱いているのに書いているものは絶対に見るななんて。十郎は顔色を変えず自分に目線だけ向けました。
    「あの、もしかしてあなた」
    「……」
    「嬉しかったんでしょうか」
     十郎は何も言いません。けれど、その頬に赤みが差しているのを見つけてしまいました。自分をこうして離さなくなってしまったのは、夕べのことが嬉しかったせいなのです。
     自然と自分の口元が緩むのを感じていました。それにしたって口下手にも程があります。
    「十郎、どうしてそう言ってくれなかったんですか」
     少々つまらない思いまでしてしまいました。
    「夜美」
    「はい」
    「今、詩を書いている」
    「知っていますけど」
     見せてくれませんけどね。
    「もうすぐ書き終わる」
    「はあ」
     良かったじゃないですか。雑誌で読めるのを楽しみにしていますよ。
    「……読んで欲しい」
     もう一度見上げた愛し子の頬は、夕日のようでした。

     
     あなたがあの時書いて下さったラブレターはもう読み返しすぎて形がなくなってしまいました。
     けれど、ずっと鮮明に、一言一句頭の中にあります。
     そらんじれば、いつでもあの日のあなたが目の前に現れ、頬を染めて目を潤ませ、自分を抱きしめるのです。
    『夜美』
     はい。ずっとそばにいますよ。
     ずっと、あなたを待ち続けています。
     青い花の、海の上で。

     終
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    renri22

    MEMOウウウルトラC夜十、思いつきで落書きみたいな短文です。
    自分が十郎の○○であることを伝えた夜美のおはなしです。
    本編ネタバレ。
    「十郎、これでは何も出来ないんですけど」
    「何もしなければいい」
     自分が血縁者であることを伝えてから十郎は自分を離さなくなってしまいました。朝からずっと一日自分を膝の上に乗せています。詩を書く時も食事の時も自分を腕に抱いているのです。可愛らしいことこの上ないのですが、少々困りました。
    「十郎、家事があります。今日はどこも掃除をしていませんよ」
    「掃除などしなくても死なない」
    「夕ご飯の支度もしないと」
    「夜は店屋物を取ろう。ちゃんと良い店を選ぶ」
    「……」
     昨夜、ボッコは自分の半身であり、遺伝的に十郎は自分の子どものようなものだと何気なく伝えた時のことを思い返します。この星に残ることを決めるまでは十郎の執着が更に増すのではと黙っていましたが、もうその心配もなくなりました。
    『……そうか』
     意外とあっさりした返事だったことに内心驚いていました。十郎が口下手なことは承知しています。ですが、もっと喜びを伝えてくれるのではと内心期待をしていなかったかと言えば嘘になります。自分は十郎の笑顔が見たかったのでしょう。
     異変は翌日起こりました。
    『夜美、こちらへ』
    『はい』
    『僕の膝の上に』
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