現・学パロのシニスタヴァメリ「はぁ…はぁ…はぁ…!」
校舎の中は走ってはいけないというルールはあるが、今はそんな事を気にする暇では無いため、ひたすらに走る。
階段をひたすら上がり、屋上を目指す。流石に1階から屋上も含めて6階までダッシュで登るのはかなりキツイ…。しかしここで足を止めてはならない。屋上で人と待ち合わせをしているのだ。それに、待ち合わせ時刻から30分も遅刻をしている。きっと彼も怒っているだろう…。なんと言われるだろうか…そう考えながら、走り疲れた重たい足で何とか屋上の扉に到着した。扉を開け、待ち合わせをしていた人の名前を呼ぶ。
「ヴァッシュさ〜ん!…どこに…いらっしゃいますか~?!」
階段を全速力で上がりきった私はその場にヘタリ込み、息切れをしながら、彼の名を呼ぶが、返事が来ない。彼はやはり帰ってしまったらしい。彼には後で電話で謝ろう…。そう考えながら、屋上の床に自分の汗がポタポタと落ちる様をただ眺めていた。
「何やってんだ。そんな所で」
すると、聞き慣れた声が近くで聞こえた。声のする方を見ると、そこにはヴァッシュさんがいた。道理で周りを見渡しても居ない訳だ。誰が塔屋の上で胡座をかいて待ってるって分かるのだろうか、と疲れた頭でふと思ったが、それと同時に安堵した。もしこの時帰ってしまっていたら、後で彼から何をされるか分からない。…考えたくもない。
前回にも同じ様な事があったが、その時は"飲み物買ってこい"とか"購買で何か買ってこい"とか、とにかくパシリの様な事をされたのだが、最も最悪だと思ったのは、先生が次の授業に使う物だからとヴァッシュさんに頼んだ物なのに"お前が持っていけ"と言われた事だ。その時は何言ってんだコイツ、と声には出してはいないものの、半目で睨み、眉間に皺を寄せ、は?と声を出してしまった。いいから運べと前方にある物に顎指しされる。これだけは勘弁して欲しい…。というのも、彼が指した方向には、大きいダンボールが3つ程。中には大量の実験道具。きっと彼の次の授業は理科なのだろう。クラスは別なので知らないが。数で見れば少ないものの、重量は持った感じ10kg近くはある。これを運べというのだ。彼よりも筋力がない、女の、私に!!それを隣で私の頭何個か背の高い所から、私を見下ろし、バカにしたような顔でニヤニヤしながら見ていた時はかなり腹たったし、どうやって葬ってやろうかとも思ったが、最終的にはあまりにも時間がかかると分かったのか、残りの2つのダンボールはヴァッシュが持って行ってくれたので一応は良しとしようと考えた。しかし、やはり腹は経つもので、後日、彼からアップルパイやらパフェやらデザート類を奢ってもらい、とりあえず今回の事は水に流した。(ここだけの話、あの後少しだけ太った…2kg弱…くらい)