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    らんじゅ

    すぎさく運命論者兼杉下に囚われる者
    色々捏造をする
    とみとが、うめ、らぎ辺りも描くかも
    パスは大体「」の中の英訳です

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    らんじゅ

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    三年生短髪🌲時空
    軽い読み物を認めました。
    運命トライアングルを見るモブの話。

    #すぎさく
    tooLateBlooming

    僕の敬愛する先輩 僕には敬愛する先輩がいる。我らが多聞衆筆頭・杉下京太郎先輩だ。先輩はとっても背が高く、寡黙で、いつも屋上に居る。何度か行った屋上に見事に整備されていた小規模の畑は先輩が世話をしているらしい。なんでも前総代・梅宮一さんから受け継いだものなのだとか。
     いつも土いじりをしているからか、先輩は中々学ランを着ない。学ランを羽織るところなんて、見回りのときか、学校の式典のときくらいだ。僕はそれがちょっと惜しい。だって先輩がピシッと学ランを羽織るのは格好良いのだ。背が丸まっていようと遥かに高い位置にある目がきらりと光って、現総代・桜遥先輩の背後から相手を睨み付ける先輩はそりゃあもう痺れるほど格好良いのだ。僕はあまり知らないけれど、先輩は昔すごく髪が長かったらしい。先輩の灰がかった青が風に揺れるのはもうヴィーナスも恋に落ちてしまうんじゃなかろうか。
     そんなようなことを考えていると、廊下の奥に桜先輩が見えた。蘇枋先輩と楡井先輩と何やら話し込みながらツカツカと歩く姿に、少しだけ気圧されるような緊迫感がある。僕は教室の引き戸から半分だけ体を出してこっそりと見つめた。一緒になって覗き見るクラスメイトがボソボソと後ろで喋る。

    「この前広目衆の一年生がぶつかったチーム、あれちょっと面倒くさくなってるらしいぜ」
    「ああ、それ聞いた。被害まだ出てるんだろ?」
    「そう、だから総代が出るんだって」
    「ならもう安心だな、四天王が二人もいるんなら夕方には帰って来るだろ」

     四天王が二人出る。一人は蘇枋先輩だろう。楡井先輩は桜先輩付きの情報統括者であるから違う。ならば、ならば。あと一人の四天王とは、もしかして、もしかして。自分の心臓が酷くうるさく感じる。
     とん、とん、と階段を降りる音がした。廊下の開け放たれた窓から、ブワリ、と風が吹く。深緑の長ランを翻し、背を丸めて大股に歩く、僕の敬愛する杉下京太郎先輩が長ランをもうひとつ腕にかけて階段を降りてのそりと現れた。
     超絶レアの先輩である。先輩はいつも普通の丈の学ランを着ている。だが、総代と共に喧嘩に出るとき、“多聞衆筆頭”ではなく、“総代・桜遥の番犬”でいるとき、総代と揃いの長ランに腕を通すのだ。あの長ランがはためく姿に一体どれほどの覚悟が乗っているのだろうか。「かっけえ……」と思わず声に出た。思ったよりも大きな声だったのか、杉下先輩はふいにこちらを振り向いた。僕はビッとその場で背筋を伸ばす。

    「おい、そういうのはデケエ声で言え。コイツに聴こえるように」

    杉下先輩は涼しい顔でピッと桜先輩を親指で指すと、人差し指を前後に動かして「来い」のジェスチャーをした。大っぴらに賛美する許可をいただいたので、僕は大きく息を吸って、僕にしては大きな声で叫ぶように声を上げた。

    「杉下先輩スゲエカッコいいです!!!!」
    「よし」

    杉下先輩は口角を片側だけ上げてニッと笑うとそのまま振り返って桜先輩たちの方へのしのしと歩いて行った。マジでカッケエな……何食ったらあんなカッコよくなんだろ……とぼんやりしていると桜先輩が声を荒げ、蘇枋先輩がフハ、と笑った。

    「お前!!いつまでそれやんだよ!!もう良いわ!!わかってんだよ、その……ッお前が格好良いってことは!!!!」
    「フフ……側から聴いたらただのナルシストだね杉下くん……いやいや、今日も格好良いよ」
    「あ?お前油断するとすぐメンタルやられるだろうが」
    「そうですよ桜さん。桜さんが仕立てた杉下さんが常にカッコいいって言われるくらいで俺ちょうどいいと思います」
    「や、だから……ッああもういい!!行くぞッ!!」

     ぷりぷりと怒りながら前を歩く桜先輩に悠々と追いつき、杉下先輩は腕にかけていた長ランを広げ、桜先輩の肩にかける。蘇枋先輩と楡井先輩も追いつき、隣に並ぶ。
     ブワリ、と風に混じって桜の花弁が舞った気がした。

     僕の敬愛する先輩方は、とっても格好良い。
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    🍊みかん好きのオルカ

    DONEメモ: ベアフットサンダルはサンダルではない


    足元を死守した探偵リーズニングと彼にサンダルを贈るスヴェンガリさんの話。


    最大のネタバレ↓

    ハピエン!

    ベアフットサンダル、調べてみてください!!アレがエッチに見える目を持ってしまった私は…一体……同志いないかな…?
    靴下に関するアレコレって最高にスケベですよね…いやぁ…活かしていきたい。何にとは言わないけど…!
    メモ: ベアフットサンダルはサンダルではない「先生」
    「………」
    「先生?」
    「………」
    「リーズニングセーンセ?」
    「黙れ」
    「やっとこっち向いた」
    「………」
    「ああ、残念」

     ぱき、と筆の先が折れる。これで何本目だ。深呼吸をして引き出しからストックを取り出す仕草は慣れてしまった。
     スヴェンガリは探偵を職業とするリーズニングの事務所によく来る。といっても依頼があったのは最初の一回だけ。それ以降は多忙のリーズニングにちょっかいを掛ける為だけに顔を出すのだ。

    「先生はつれない男ですね。つまらない」
    「なら来ないでくれないか」
    「貴方が入れたのに」
    「入れなければドアを壊して好きに出入りしてやると脅したのはお前だ」
    「そうですが?ああ、先生。私は寂しくて死にそうだ」
    「此処以外で好きに死ぬといい」
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    🍊みかん好きのオルカ

    DONE調子のよいベッド


    体調不良を隠す傭兵君と、休日を過ごす恋人のリッパーさんの話。


    最大のネタバレ↓

    ハピエン!

    体調不良ってベタなのにネタは尽きない…いいジャンルだ…!!!
    今まで人に頼らず生きてきた傭兵君は不調時に傍に人が居てくれる感覚に慣れていないといいな…とう妄想。
    慣れていないから良い事は無いと決め付けて遠避けてしまう。
    そうやって誰も守ってくれない自分を守っている。
    調子のよいベッド 心音で身体が揺れる。
     草を踏む音が煩い。
     暗号機から手を離して両手を着く。
     ぴぴ、がが、かんかんかん。
     余韻が頭から離れない。
     地面を蹴る音が近くなる。焦るような短いものとゆったりとした音の幅。心臓が跳ねていく。
     暗号機から手を離して振り返る。飛び込んできた仲間を視界に認めてすぐ、立て掛けてあった板を倒した。
     呻き声を上げる姿を目の前に据えて、口の端を無理矢理上げる。

    「はは、いい気味」

     そのたった一言で、狩人の視線を一身に浴びる。身体を翻し挑発して踊るように駆ける。後ろで板を踏み抜く苛立たしい音がする。何も変わらない、仕事の始まり。


    「おつかれ!」
    「トレイシー。ナイチェ」
    「ナワーブのお陰だよ!いつもありがと」 
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