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    らんじゅ

    すぎさく運命論者兼杉下に囚われる者
    色々捏造をする
    とみとが、うめ、らぎ辺りも描くかも
    パスは大体「」の中の英訳です

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    らんじゅ

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    推しって宝石とのハーフだと思うんですよね
    🎐があるなら同じような施設に🦁もあると思う
    装飾類は全部取っ払ってると思ってください、ピアス穴とかはある
    続きは任せました

    宝石で満ちる僕らのこと 【宝石病】
     それが俺たちを蝕む病気の名前。
     詳しくはなんだか長くてむつかしい名前だった気がする。血液の病なんだとか。
     身体から出たら鮮やかな色のまま血が宝石になるのだ。宝石になった血を欲しがる悪い奴から保護の名目で、病の診断が出たらすぐに施設に収容される。俺がいるここは、〈ふうりん〉と呼ばれる。
     また、この病は血を介して感染する。だから外の人間に絶対に触れてはいけない。触れられてもいけない。
     俺はそんな生活が意外と気に入っている。暖かい日差しの差す窓辺で眠っていても何も言われないし、外に行けないだけで不便はない。なんてったって大好きなひとがいる。
     透き通るような白髪に翠緑色の瞳。流れ落ちる端から瞳と同じ色になる宝石は、天国の入り口に飾ってあるよ、と言われても信じてしまう。
     ああ、梅宮さんがいるところが天国なのかな……俺は天国にいるのかも。

    「……ん……ぎちゃん……杉ちゃん!!」
    「…………?」
    「、じゃないよ、朝」
    「はっは、今日も杉下が一番最後やったなぁ!」
    「笑い事じゃないってば!柊さんに今日こそ余裕持って連れて来いって頼まれちゃったんだから!」

     杉下がゆっくりと目蓋を上げると、桃色の髪をした少年が垂れ目を一生懸命吊り上げて覗き込んでいた。その後ろでは橙色の髪の体格のいい少年がルーティンであるスクワットをしている。桃色が桐生、橙色が柘浦。ルームメイトだ。
     杉下は二人を順に見て数回瞬きをすると、もう一度瞑って布団を引き寄せた。

    「杉ちゃん!?そんな堂々と二度寝しないで!?」
    「まだあと五分寝れる」
    「五分と言って二時間寝ちゃうのが杉ちゃんでしょ!起きて!はい座る!頭下げない!」

     よっこいしょ、と柘浦が杉下の腕を掴み引っ張り起こすと、桐生がせかせかと髪を梳かす。頭をガクガクさせてされるがままになっていると桐生は奥の手を繰り出した。

    「梅宮さんが待ってるよ!!」

     バチリと杉下の意識が覚醒し、山桃色の瞳がしっかりと顔を出す。しかしこの覚醒も長くは保たないので今のうちにとすかさず桐生は杉下を洗面所に押し込んだ。
     こなれた桐生の動きに柘浦はからからと笑った。



     杉下の覚醒しているうちに三人は袖に一本ラインの入った服に着替えて検査へ向かう廊下を歩く。

     宝石病の段階は三段階ある。三段階を学年に例えて分類されるのだ。
     まず軽度、通称『一年生』と呼ばれるグループ。約五〜十分程度で緩やかに結晶化していくので症状こそ軽度であるが最も感染のリスクがある。
     次に中度、通称『二年生』と呼ばれるグループ。約三〜五分ほどという比較的すぐ結晶化してしまい、痛みを伴うことがある。全体的に最も安定しているグループだ。
     最後に重度、通称『三年生』と呼ばれるグループ。彼らの結晶速度は傷口から落下した血液が床に音を立てて落ちるレベル。感染のリスクはほぼないが激痛と、彼らは五感の何かしらを失っている。
     杉下、および桐生や柘浦は、ライン一本。一年生だ。

    「おお、おはよう。今日はギリギリじゃないな」

     検査室の入り口に立つアッシュオリーブの髪をオールバックにした頰の痩けた青年が三人を見るなり目を細めてバインダーを持った手を上げる。三本のライン。三年生だ。

    「おはようございま〜す!俺頑張りましたよほ〜んとに!」
    「……おはようございます」
    「おはようございます!」
    「悪いな、ありがとう」

     苦笑いを浮かべながら青年・柊はバインダーに何某かを書き込み、終わったその手でお前は自力で起きる努力をしろ、と眠そうな杉下の頭を小突いた。
     三人がのそのそと検査ブースに向かうと、蘇芳色の頭が見えた。

    「すおちゃんおあよ〜あり?にれちゃんは?」
    「やあ、おはよう。鼻血が止まらなくて処置室だよ」

     医療用の眼帯をつけた蘇芳色の髪の少年・蘇枋がこちらを振り返ってにこりと笑う。一本のライン、一年生。
     宝石病患者、特に一年生と二年生は重度になるまで一度出血をしたらなかなか止まらない。なので特別な止血剤を打つ必要があるのだ。

    「ありゃりゃ、また出ちゃったのか」
    「うん、大変だったよ、枕固まっちゃってて」
    「大丈夫だったんか?」
    「う〜ん、どうかな今日は安静にしとかないとかも。結構出てたから……」

     ぼんやりと眠そうに瞬きを繰り返す杉下はぐるりとブースを見回した。一番奥のブースにきらきらと目立つ白髪が見えた。杉下は一気に目を覚ますと小走りに奥のブースに近寄った。

    「梅宮さん、おはようございます」
    「ん?おお!おはよう!」

     勝気に吊り上がる眉、甘く垂れる翠緑色の目、左眉を横断する傷痕。ニカリと明るく笑う大柄の青年・梅宮だった。杉下は梅宮の右手を取ると自分の頬に持って行き、梅宮は確かめるように杉下の顔を撫でた。

    「今日は寝坊しなかったんだな、偉いぞ!」
    「う……はい……」
    「あ、桐生と柘浦に起こしてもらった?あっはは、いくらでも寝れるもんなあ、お前は」

     梅宮とは、目が合わない。美しい翠緑色は、どこか遠くを見ている。梅宮が全盲になったのはつい半月前のことだ。
     梅宮はにや、と眉を上げて笑うと、杉下の頬をこねくり回す。杉下は満更でもない顔でされるがままにこねられていた。

    「あ、そうだ杉下。柊にもう聞いた?」
    「?いいえ、なにも」
    「新しい一年生が来るのよ、二人部屋二つ開けたからお前らまとめて部屋移動して、お前は新人とペア。色々教えてやれよ?」
    「……」
    「あ、おいわかるぞ見えなくても。めんどいって顔したろ」
    「……は、い……いえ」
    「どっちだよ」

     新しい一年生が、来る。
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