BDifたいみつ花垣武道が黒龍とモメて、八戒がそれを庇う形で黒龍に入ることになったと聞いた三ツ谷は、一度柴大寿と話をしなければと考えた。
自分を慕う弟分やその姉が受けていた暴力とそれによる支配は、到底許容出来る物ではない。
何となく察してはいたが、家族間のことに深く踏み込めずにいたのだ。
しかし現状を考えると完全に彼が兄に取り込まれてしまってはもう手を差し伸べる術を失ってしまうことを危惧して、八戒の反対を押し切って対話の場を設けた。
「初めましてだね、大寿くん」
対面し、ソファに腰掛けて三ツ谷の発した第一声に、大寿の眉間がぴくりと動き、額に浮く血管がそれに合せて酷く浮き立った。
当たり前のことだろうが、これは初対面から感触はよく無さそうだと、三ツ谷は交渉の場に見合った笑顔を貼り付けて内心息をつく。
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