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    Wo7Pn

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    BDifのたいみつです。
    きびもらるさん(@kibkibmoral)へ、良かったらどうぞ。
    多分、ゆるいコメディかな?
    思ったんと違うかと思いますが……、本当に力量が追いつかず申し訳ないです。

    BDifたいみつ花垣武道が黒龍とモメて、八戒がそれを庇う形で黒龍に入ることになったと聞いた三ツ谷は、一度柴大寿と話をしなければと考えた。
    自分を慕う弟分やその姉が受けていた暴力とそれによる支配は、到底許容出来る物ではない。
    何となく察してはいたが、家族間のことに深く踏み込めずにいたのだ。
    しかし現状を考えると完全に彼が兄に取り込まれてしまってはもう手を差し伸べる術を失ってしまうことを危惧して、八戒の反対を押し切って対話の場を設けた。
    「初めましてだね、大寿くん」
    対面し、ソファに腰掛けて三ツ谷の発した第一声に、大寿の眉間がぴくりと動き、額に浮く血管がそれに合せて酷く浮き立った。
    当たり前のことだろうが、これは初対面から感触はよく無さそうだと、三ツ谷は交渉の場に見合った笑顔を貼り付けて内心息をつく。
    「テメェがウチの弟たぶらかしてる三ツ谷か!」
    「すいぶんな言い方っスね」
    「殺すゾ、テメェ」
    二言目から殺すとは穏やかではない。
    初めて見た弟分の実の兄貴は高い身長と鍛え上げられた大きな肉体と余り八戒とは似ていない鋭い眼光、それから恐らく自信があるからだろう尊大な態度。
    その様子を見れば大抵の人は怯むだろうが、三ツ谷は交渉は対等な立場で無ければ成り立たないと考えて態度を変えずに口を開く。
    柴大寿と対峙して、八戒を黒龍に渡す代わりに柚葉の解放を条件として提示したのは、それが三ツ谷に取っては最重要事項だったからだ。
    家庭内だけで無く、組織の中でも大寿の支配の下で動かされる柚葉を放って置くことなど出来なかったのだ。
    八戒を渡して、柚葉を解放する、それで東卍は黒龍に手を出さない、それが三ツ谷の出した和平交渉の内容だった。
    三ツ谷の提案を聞き面白い冗談だと笑った大寿は、三ツ谷に向けて拳を振るおうとした。
    急に起こった暴力に側にいた八戒や武道は驚き目を見開いたが、三ツ谷はそれを腕でガードして去なす。
    その様子を見て、大寿はニイと笑い「やるな」と感心した様に呟く。
    三ツ谷は平静を保ち再び条件を口にすると、大寿はニヤリと笑った。
    どう出るか、と三ツ谷が大寿の動きに注視していると、スと右手が差し出される。
    これは交渉成立の握手なのだろうと三ツ谷がその手を握ると、三ツ谷は強く彼の方へ引かれ、その力強さによろけて視線を落として一歩彼の方へと寄った。
    驚き彼の方を見ようと視線を上げると、酷く近くに寄った大寿の顔が眼前に見えて、更に驚き目を見開いて息を呑む。
    「足りねぇなぁ」
    「あ?」
    「そもそも、八戒が黒龍に入るのはそこのヤツを離すのと交換条件だ。柚葉を条件に入れんなら、そっちが差し出すモンが足りてねぇのは分かってんだろ?」
    三ツ谷は内心舌打ちした。
    本当は分かっていたのだ、この理不尽な交換条件が大寿の目線で見れば破綻していると言うことは。
    東卍が手を出さないという条件が、東卍が潰した以前とは変わり果てた10代目黒龍に取ってどの位意味があるものであるのかと言う点が交渉の時点で重要な部分であり、そして大寿の口ぶりからそこに大きな意味を見出さなかったのだろう。
    現在の兵力で言えば、東卍と抗争をしたとて痛手では無いと判断し、その部分においては互角であり条件としての魅力は無いと判断を下したらしい。
    交渉で押し切れる可能性もあったかも知れないと考えると、そこは三ツ谷の力量不足だったのだろうと冷静に考える。
    「八戒は東卍を止めて黒龍入り、柚葉は今まで通りオレの下で動かさせる。今の条件じゃそこまでだ。」
    「……、何が欲しい?」
    大寿の言葉から言外に何を求めているのか、三ツ谷は察し大寿をしっかりと見据えて問い掛けると、大寿はニヤと笑った。
    「さっきのでテメェの力量は分かった。テメェとの交換なら、柚葉を解放してやるよ。」
    「は……?」
    「そうすりゃ約束してやる。二度と柚葉には手は出さねぇ」
    三ツ谷は大寿を見据えながら考える。
    柚葉個人との交換が、東卍弐番隊隊長の三ツ谷を差し出すことで成立するのか。
    大寿側からすれば成立しているのだろうが、東卍側からすれば何のメリットも無いのだ。
    ここで了承をすれば柚葉を解放出来るかもしれないが、東卍を裏切ることになる。
    じっと押し黙った三ツ谷を、大寿は鼻で笑った。
    「この条件が飲めねぇなら交渉不成立だ。」
    「……分かった。」
    「っタカちゃん!?」
    「マイキーには、オレから話を付ける。その条件を飲む。」
    「はっ、交渉成立だ!」
    大寿は凶悪な笑顔を浮かべて、グッと握ったままだった手を強く握り、それに応えるように三ツ谷からも強く握り返す。
    高い位置に有って見下ろす大寿の顔を睨みながらだ。
    その様子に、大寿はやっと凶暴な本性を見せたかと喉の奥でクっと笑った。



    交渉の場から帰路につく道中、八戒は三ツ谷に何か言いたげに口を開いては閉じると言うことを繰り返している。
    見かねた三ツ谷が一つ小さく溜息を着いて八戒に声をかけた。
    「なんだよ?言いたいことあるなら言え。」
    「っだって、タカちゃん、オレのせいで……っ」
    「お前のせいじゃねーよ。本当はこうなる可能性が有るとは思ってた。まぁ、オレが交渉材料になるとはあんまり考えて無かったけどよ。」
    「い、今からでも……っ」
    「バカ言うな。一回交した約束をやっぱ無し何て筋が通んねぇよ。……八戒、バカなこと考えんなよ。」
    何かを見透かしている様な顔で釘を刺すように言う三ツ谷に、八戒は少し視線を彷徨わせた後、子どものように小さく頷いた。


    三ツ谷はマイキーに事情を説明し、マイキーの許しは中々得られず揉めはしたが、三ツ谷の考えを伝えると、一時離籍という形で彼の黒龍入りを渋々ながら了承した。
    一時離籍と提案したのは三ツ谷である。
    その提案が出された理由は、三ツ谷の考えた作戦があってのことだった。



    柴大寿は想像していなかっただろう。
    三ツ谷隆の喧嘩の腕を買って黒龍入りを求めたのだから、こんなことになるなんて。
    力量から幹部の身分を与えられて、自分が仕立てた物ではない黒龍の白い特攻服を身につけた三ツ谷は、規律と統率の取れた10代目黒龍の内側から徐々に破壊していた。
    まるで細胞が壊死するようにジワジワと破壊される組織は痛みを感じる時にはもう手遅れになることが多いように、大寿が気がついた頃にはもう殆ど暴力と支配の組織からはかけ離れた状態になって言いた。

    三ツ谷隆が一体何をしたのか。
    彼は特別自分自身を変えること無く黒龍の組織に入り、そして上下関係や統率を無視して自分の思うがままに自由に振る舞った。
    主に行ったのは隊員達に何か間違いが有れば叱り、良い動きをしたら褒めると言った、殆ど子どもの躾の様な行動だ。
    不良になる子どもは比較的荒れた家庭環境の元で育つことが多い傾向にあり、まともな躾をされず暴力で支配された子どもは感情をコントロールがヘタになる事がある。
    感情のはけ口が分からない子どもは周囲の物や人に当たり、それが原因となり元々支援を得られない保護者との関係と相まって孤立し、そう言った者達が集まり組織となって行くことが多い。
    東卍の隊員達も、入ったばかりの人間にはそう言った事情を抱えたものもいた。
    三ツ谷は年の変わらないそんな子ども達に、厳しくも優しく接し続けることで東卍の理想とする組織を形成する一助としていた。
    黒龍でも隊員達への対応は変えず、誠意を持って対応していると徐々に暴力の支配下にいて険しい顔をしていた隊員達の表情が段々と生き生きとし始めた。
    三ツ谷に褒められたいが為に任された仕事を積極的に実行し、三ツ谷に叱られることを避ける様になる。
    構われたくて叱られる様な行動をしようとする不埒な輩も中には居たが、段々と三ツ谷を困らせるような行動を取るべきでは無いと互いに目を光らせて、黒龍は謎の自浄作用を持った組織へと変貌していっていた。
    そしてその浸食は幹部陣へも進行している。
    乾や九井と友好関係を築けているのは、三ツ谷自身の性質もあるが、何よりも三ツ谷の差し入れするお菓子や料理に寄るところが大きい。
    幹部での打ち合わせの際に偶々出したお菓子が主に乾から好評で、打ち合わせの度に強請られるようになった。
    一度、乾の三ツ谷の料理への執着を見かねて大寿が禁止にしようとして、三ツ谷に持ち込みを禁止したら禁断症状を発症した乾に鉄パイプで危うく撲殺される所だった。
    幸い未遂で終わり、それ以降は解禁されて三ツ谷は毎度乾に差し入れを渡している。
    乾が懐柔されれば、九井には三ツ谷を拒否する理由は何も無かった。
    少ない労力で兵隊を動かしやすくなり、何より乾が満足そうに三ツ谷の料理を食べているのだから、今や三ツ谷を手放す理由の方が見つからない。
    そんな黒龍の状況に大寿は頭を抱えた。
    隊員も、幹部も、どいつもこいつも三ツ谷、三ツ谷、三ツ谷だ。

    それの何が腹が立つのか。
    大寿は三ツ谷が黒龍のメンツに気を配って自分を構う時間が減ることに腹を立てていた。
    初めは兵力の補強程度にしか考えていなかった三ツ谷は、自身の実の弟が慕う存在であると言うだけで予てより目障りである。
    しかし近くで接すると、その懐の深さに弟が彼に何故これだけ懐くのかが分かった。
    分かってしまったのだ。
    側にいて、その理念に接することと、その結果を目の当たりにする事で自身の方法が全てに置いて正しい訳ではないのでは無いかと考える様になった。
    三ツ谷が入る以前の黒龍は、大寿の圧倒的な暴力による支配に成り立ち、それで全てが上手く回っていたはずだ。
    しかし、三ツ谷が入って以降はより効率良く物事が進むことが増えたと九井が口にし、大寿もそれを実感していた。
    八戒を、組織を強く育てたいと考えていた大寿だったが、方法論として自分のもつ物が全てでは無いと突きつけられてしまったのだ。
    それを悔しく思う部分もあるが、認めざるを得なかった。
    一人で踏ん張ろうとする大寿のことを、三ツ谷は気にかけていた。
    酷く孤独な道を自ら選んで進む姿は逞しくも痛々しい。
    そんな事を指摘すると大寿はまた青筋を立てるだろうと、三ツ谷は深くは踏み込まずに徐々に変わる組織を見せる事で何か感じて貰えればと考えていた。

    ある時、八戒が軽いミスをしたのが大寿に伝わった。
    丁度組織の変動を感じ取っていたタイミングで、虫の居所が悪かった大寿は、暴力を持って八戒に「躾」をしようとする。
    殆ど八つ当たりの様に振り上げられた拳。
    三ツ谷はそれが我慢ならず、八戒に向けられるそれを、今度は腕では無くその身に受けた。
    強い衝撃に脳が揺れる様な気がしたが踏みとどまり、怒りで興奮した大寿が見下ろす視線に合せて自身を殴った拳へと手を伸ばした。
    拳に触れる手に、大寿はビクと怯えるような反応を見せたが、またそれが振り上げられることは無い。
    次の攻撃はとりあえずは無さそうだと三ツ谷が、一つ安堵の息をつきながら、その大きな拳を両手で包むと、大寿はピクリと眉を動かした。
    「今この拳は必要だったか?ただ八戒を傷つけるために振り上げたんじゃないのか?」
    「……」
    「大寿くん、力は守るために使えよ。」
    真摯に向けられる三ツ谷の視線が、大寿には痛かった。
    必要か?そんなことが拳を振り上げるという行動の前に考えたことなど無かったのだ。
    支配行為の為の手段でしか無かったのだから。
    力を守るために使うだなんて、酷いきれい事だ。
    しかしそれが頭の中で響く。
    今まで気になったことなど無かった、三ツ谷の傍らにいる八戒の視線が肌に突き刺さり、大寿はいたたまれなくなりその場から逃げ出した。
    逃げ出した大寿の後を、一緒にいたら殺されると怯える八戒を諌めて後を追った三ツ谷は、密室で大寿と対峙する。
    その密室で交された会話を、二人以外は知る由も無いが、心配して部屋の前でうろうろしていた八戒が次に見た二人は、互いにボコボコになって姿を現した。
    三ツ谷曰く、「弟の為に意地張っちまったワ」と笑って、それを聞いた大寿はふんと鼻を鳴らしていた。
    それ以降の大寿は酷く落ち着いて、暴力だけではない効率的な組織運営へと舵を切るよう九井へも指示を出し初め、それから兄弟への接し方もそれだけではないものへと徐々に変わって行った。
    その裏では苛立ちを感じた際に、ひっそり三ツ谷がフォローを入れたりと対応していたこともあり、大寿に取って三ツ谷は手放せない存在へと育っていた。
    叱ったり褒めたりと、実際の所は他の隊員たちへの対応と変わらない方法でコントロールされているのだが、大寿がそれを知る由も無い。
    しかし、三ツ谷は大寿だけ特別扱いしている事がある。
    深くなる関係の中で徐々に弱い所を見せる様になった大寿が、時偶見せる甘えた仕草に酷く心がときめいて、その姿を見た時にはついつい甘やかしてしまうのだ。
    大きなソファに三ツ谷を座らせて、ソファのその大きな身体を横たえさせて膝枕を強請る大寿には、三ツ谷はいつも二つ返事で膝を明け渡す。
    そうすると、いつも寄っている眉間の皺が若干緩んで、それが妙に可愛いと三ツ谷はこっそい思っていた。
    「大寿くん、疲れた?次の用事の時間まで寝てて良いよ?」
    「あぁ……、そろそろきな臭い取引先は切って、下の奴らにまともな仕事当てがいてぇんだけど、なかなか難航しててな……」
    「直ぐに全部は上手く行かないよ。こういうのは計画と時間が大事だろ?大寿くんしっかり準備してきたから、大丈夫だよ。」
    「そうだと良いんだがな……。三ツ谷ぁ……」
    「ん?なに?」
    「こんなにオレを甘やかして良いのか?腑抜けるぞ?」
    「休みが要るときにはちゃんと休まねーとな。」
    「……お前は、良くオレみたいなヤツにこんなコトできるな。」
    「んー、オレみたいってのが何を言ってんのかは分かんねーけど……。どんな間違ったコトしても、悪さしても、笑って許してくれる存在って有ったら良いだろ?」
    「内容によっては許しを乞うことも憚られることもあるだろう。」
    「うん、そりゃ絶対に許せないこともあると思う。けど、オレは、オレに向けられたものは許すよ。」
    「三ツ谷……」
    「それが兄貴だ、バカヤロー♡」
    三ツ谷は言いながら、大寿の額に口付けを落とした。
    大寿は間抜けな顔で三ツ谷を見上げて、少しの間フリーズしたあと膝枕からがばっと起き上がり、三ツ谷の顔をしばらく見遣ったあと、眉間にグっと力を込めて折角少し減っていた皺を増やして、足早に部屋を後にした。
    その背中を見送って、やっぱり可愛いと思いながら三ツ谷は我慢出来なかった笑い声をクスクスと上げる。


    そうしてしばらく黒龍に所属して内部から蝕んだ男は、黒龍が他害に至らない集団組織になった事を見届けて、相互承認の元で再び東卍に戻った。

    可愛い大きな彼氏を連れて。
    こうして10代目黒龍は東卍の傘下へと下った。
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