狐の嫁入り #宿虎怪奇譚 晴れているのに雨が降る。この現象を昔の人間は『狐が化かしている』のだと思い〝狐雨〟と呼んだ。
ところが、ある頃からか晴れているのに雨が降った日に『狐の嫁入り行列を見た』と言い出すものが現れた。
そんな声が一人から二人、二人から三人二なり、やがて『晴れの日に雨が降るのは狐が嫁入り行列を人間に見せないよう報せている』という話が広まり、やがて〝狐雨〟は〝狐の嫁入り〟とも呼ばれるようになった。
◇
ある日、珍しく一人で任務に駆り出された虎杖は心霊スポットとして話題に成りつつあった山奥の廃村に出向き、無事呪霊を祓い終えて帰るところだった。
「なんか、村はそこそこデカいのに呪霊は大したことなかったな…」
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