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    かさい

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    かさい

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    🍗🍭。エンディングcdドラマパートのクイズ大会ネタです。

    おはようのキスは歯磨きのあとで 朝まどろみから目を覚ますと、 昨夜一緒に寝たはずのアッシュパイセンの姿が隣になかった。

     ランニングにでも行っちゃったのカナ、 と思いつつもちょっぴり寂しくて、ベッドから体を起こしその姿を探した。すると探していた相手は案外近くに発見できた。

    「グッモーニン、アッシュパイセン!今日も早いネ。」
    「起き抜けから元気だな、テメェは…。」

     ベッドの傍らでストレッチをしてたアッシュはパイセンはちょっと呆れたように返事をした。

     だって朝一番に好きな人におはようって言えるだなんて、とっても幸せなんだもんっ!
    思わず声が大きくなっちゃうのも仕方ないヨネ。
     
    ……なんて伝えるのは流石に気恥ずかしいので、うるさかったかな?ソーリー!と言って誤魔化した。つい顔がにやけちゃったのは見逃して欲しい。

     そんなにやけ顔をじっと見つめたかと思うと、アッシュパイセンはベッドの上に座っているオイラに近づいた。

     どうしたのかと見上げた顔に手を添えられ、 パイセンの顔が間近に迫る。

    あ、キスされる。

     そう気付いた瞬間、思わず両手でアッシュパイセンの口を押さえてしまった。
    「ま、待って……!」

     まさか拒まれるとは思ってもなかっただろうアッシュパイセンは、 口を塞がれながら眉を輝めた。

    「あぁ……?何が待てなんだよ。」
     こちらの手を振り解きながら問うアッシュパイセンは明らかに不機嫌そうだった。

    「違うからネ!?パイセンとのキスが嫌だったんじゃなくて……!」
    むしろいっぱいしたいくらい好きなんだけど!

     慌てすぎて言わなくていい事も口走っている気がするが、今は誤解を解くのが先決だ。

    「…だったらなんだよ。」
    あまりの慌てように毒気を抜かれたのか、先程よりも落ち着いた様子でアッシュパイセンが再度問いかけてきた。

    「ま、まだ…、歯磨きしてないから……。」
    「……は?」
    「だからっ!まだ歯磨きしてなかったから!!」

     キスを拒んだ理由を呟くと、たっぷり間を空けて疑問を返されてしまい、思わず叫んでしまった。

    「歯磨き……?なんで…いや、そういや前にクイズで朝一のルーティンだか言ってたか。」
    「あ、覚えてたんだ…。」
    「別に偶々覚えてただけだ。」

     偶々とは言われたものの、アッシュパイセンがちょっとしたことを覚えていてくれたことが嬉しくて、こんな状況ながら少し笑ってしまった。

    「あのね、本当にアッシュパイセンが嫌だった訳じゃないからね?パイセンは普段から清潔にしてるし少しくらい気にならないよ。……ただ、俺の問題。」

    ……だって、
    「好きな人に触れるときは、 いつだって綺麗にしておきたかったから……。」

     視線の先のアッシュパイセンはぽかんとした顔をしていた。

     面倒だと思われただろうか。
     我ながら面倒な理由だと思う。

     でも、嫌なのだ。自分の所為で相手を汚してしまうんじゃないかと不安になってしまう。
     だから、できる限り綺麗にしたかった。

     顔を見るのが怖くなって思わず俯いていると、突然頭をかき混ぜるように強く撫でられた。
     びっくりしてつい顔を上げるとアッシュパイセンと目が合った。細めたアンバーの瞳は、まるで愛しいものを見るかのようだった。

    「テメェが俺の事を好きなのはよーくわかった。」
    「はぇっ?!」
    「何驚いてんだ、 さっきから俺の事が好きだから身綺麗にしておきたいって語ったのはテメェだろうが。まぁ、好きな奴相手にそこまで想われるのは悪い気分じゃねぇが。」

    くつくつと笑う姿はむしろ上機嫌そうで、もしかして自分はアッシュパイセンがどれだけ好きなのかをただ暴露してしまっただけなのでは……?

     気付いてしまった事実にどんどん顔が熱くなっていくのを感じる。
     きっと今の姿を鏡で見れたら耳まで真っ赤に染まっているのがわかるだろう。

     頭が追いつかず、口をパクパクとさせるばかりの俺をアッシュパイセンは面白そうに見ると、 こちらの腕を引きベッドから降ろした。

    「……?えっと。」
    「何ボサッとしてやがる。 洗面所行くぞ。」
     歯ァ磨くんだろ、と腕を掴んだまま移動し始めるアッシュパイセンに引きずられながら一緒に歩き出す。

    「まだストレッチ中じゃなかったの」
    「もう終わった。」
     途中で切り上げさせてしまったストレッチについて聞くと、もう終わったと言い張った。

     邪魔してしまった事に少し申し訳なさを感じたがその気遣いが嬉しくてそっか、とだけ返した。

     洗面所に着くと、隣合ってお互い歯磨きを始めた。

    ……アレ?これ、歯磨きが終わったらキスするって事だよネ……?

     今更ながらの事実に気付いてしまい、心臓がバクバクと音を立てる。
     現実逃避にいつもより時間をかけて磨いたが、 いつまでも磨き続ける訳にもいかず、観念して泡だけの口を濯いだ。

     とっくに歯磨きを終えていたアッシュパイセンは飽きもせず楽しそうにこちらの様子を見ていたが、ようやく歯磨きを終わらせた姿を確認すると、俺の顔を上に向かせた。

    「あの〜、アッシュパイセン?僕ちんまだ心の準備が……。」
    「はっ、どれだけ待ったと思ってやがる。いい加減観念しやがれ。」

     そう言って意地悪そうに笑うと、今度こそ本当にキスをした。
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