ひとりぼっちのリンタロウリンタロウはひとりでした
目がよくて耳もよく聞こえ、鼻なんかは人一倍です
それでもいつもひとりでした
ずっとずっと ひとりでした
あるときお腹が空いたリンタロウは
木の実をとろうと、大きな木に登りました
リンタロウの住む里でいちばん大きな木でした
とくいの鼻をすん、とならし
いっとうかがやく紅い実にいっちょくせん
きらきらの紅い実はとっても甘くておいしくて
お腹はいっぱいになりました
ぴか、とひかるおひさまのほうをみると
遠くにまちがみえました
どうやらまちには大きな木があるようでした
ぼうっとながめていると、きつねのおじいさんが
「この木よりも、ずっとずっと大きな木だよ 行ってみると良い きっと気にいるさ」といいました
ひとりぼっちのリンタロウは、
その大きな木に登ってみたいと思いまちへむかいました
しかし歩いても歩いても
大きな木にはたどりつきません
途中で4匹のきつねにあいました
小さくて人なつこいきつねは
おいしい木の実をくれました
大きな耳のかっこいいきつねは
やさしく道を教えてくれました
しっぽの先が真っ白なきつねは
そのふさふさでせなかを押してくれました
雪のようにきれいなきつねは
このまますすめと迷いをすててくれました
ひとりぼっちのリンタロウ
ありがとうがすこし苦手
みんなに頭をちょこんとさげて
まだまだ先へすすみます
やっと大きな木へ辿り着きました
遠くから見るよりずっとずっと大きくて
すこし怖くなりました
そこには双子のきつねがいました
きんきらの金色とさらさらの灰色
「この木にのぼるん?俺らものぼろうとおもててん」
「なぁいっしょにのぼろうや」
双子のキツネは楽しそうに走り出します
それをみてリンタロウも負けじとつづきます
どこからか白と黒の元気なきつねが
「俺もまぜてや」と飛び出しました
4匹のきつねはわれ先にとかけ上がります
大きな木には、きけんがいっぱい
まっくろなからすや、大きないたちが
4匹のじゃまをしました
転んでしまっていたくても、登りました
途中にりっぱな木の実がたくさんありました
こっちでもいいかなそう思ってみちをそれると
「そんでええの?もっと美味いもんがてっぺんにあんねんで」
と金色きつねがいいます
「美味いほうがええにきまっとる」
灰色きつねもいいます
「みんなで食うたらぜったい美味いで、いっしょにいこ」
白黒きつねは手をつないでくれます
「ぜったいに負けへん」そういっていたきつねたちは、だんだんとなかよくなり、たすけあい、そしてとうとうてっぺんへたどり着きました
ごほうびみたいにぴかぴかで、真っ赤でまあるい大きな木の実
4匹はてをのばします
「おれがいちばんや!」
「おれや!」
「こんなに大きいんやからみんなでわけようや」
金色と灰色はすこしふきげんでしたが
ちゃんとみんなで、わけました
はじめてでした みんなでたべる木の実が
こんなに美味しいとしったのは
だれがいちばんでもいいのです
4匹はすっかりなかよくなりました
リンタロウはもうひとりじゃなくなりました
とちゅうであった4匹のきつねたちは
大きな木の下からにこにこと
てをふっているのでした