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    稲荷崎プリキュアパロ

    第2話 片割れの愛と秘密最近片割れの様子がおかしい。部活が終わると急いで帰ったり、恐れていたはずの主将と何やら話し込む姿を見て宮治は不審に思った。彼女でも出来たのだろうか、いやこの人でなしに限ってそれはないと考えた。プレーに支障が出ているわけでもない。それならばと知らん顔を決め込み、今日も1人帰り道たこ焼き屋に寄った。幼い頃から通い詰めているばあちゃんのたこ焼き屋。見た目は少し悪く日によってソースの量も違うが安くて美味くてばあちゃんは優しくて世界一だと思っていた。「なんや侑と喧嘩でもしたんか。仲良うせな、兄弟なんやし。家帰ったら侑にも分けたり」とおまけしてくれるばあちゃんに何も言えないまま、家に帰るまでに全部食べてしまった。そしてまた考える。最近の侑はやはりどこかおかしい。今日も遅くに帰宅した侑を問い詰めればあっさりと吐いた。「あんな、ずっと話したかってんけど、でもこれほんまは誰にも言うたらあかんねん。でもな、やっぱりサムには言っとかんと、あーでもあかんか……」「なんやねん。早よ言えや。」「誰にも言わんとってな」「わかった言うてるやん。」「実はな、俺な、プリキュアやねん。」口外してはいけないと北に強く言われていた侑だが、自分の半身のような治に黙っていることは出来なかった。「は? 俺結構真面目な話してんねんけど」「まぁそうなるわな……」そしてあの日の北の話を同じように語って聞かせた。もちろん実際にプリキュアとして戦ったことも。まるで信じていない様子だった治は、侑の真剣な口調に徐々にこの話はもしかしたら本当なのかも知れないと思った。
    翌日。朝練後北に呼び出された侑は治を同行させた。「北さんすんません、あのこと、治に言うてもうて……」叱られる覚悟は出来ていた。「侑。俺らのやってることは絶対に人に知られたらあかん言うたよな? 覚えてるな? 」「はい」「これを知ったら治も巻き込まなあかんくなんねんで。その意味わかるか? 治のことも危険に晒すちゅうことや」「はい」「まぁでも、せやな、双子やし治にも素質あると思うわ。どのみち1人はしんどいやろし、どや治。お前もプリキュアなるか? 」「えっ。嫌です」「即答か」片割れの返事に突っ込みを入れられる程には侑はこの不思議な世界に慣れて来ていた。「すぐにとは言わん。でもな、少しでも俺らのこと助けてくれる気持ちがあるなら考えといてくれ。2人ならきっと世界を救える。この美味いもんに満ち溢れた世界を。そうしたらみんな幸せになる。美味いもんいっぱい食える。」北はそれだけ言うと侑を連れて行ってしまった。残された治は”美味いもんに満ち溢れた世界”を救っている侑のことを考えた。「あいつにこの世界守られんのも癪やな」そう呟くと悩みながら教室に向かった。モヤモヤとした1日を過ごしそして部活動が終わり今日も1人たこ焼き屋へと向かった。珍しく人だかりができていた。店の前につき「ばあちゃん、今日はえらい儲かっとんな」と声をかけたが返事がない。見ると顔を上げずに一心不乱にたこ焼きを焼いている。背中には何やら黒いモヤのようなものが見えた。並ぶ人々も黒いオーラに包まれ狂ったように「たこ焼き! たこ焼き!! 」と繰り返し叫んでいる。異様な光景に目を疑った。すると突然今すぐ何としてでもたこ焼きを食べたい衝動に駆られた。気づけば治も「たこ焼き!」と叫んでいた。「サム!」その時聞こえた侑の声。一瞬我に帰る。ピーッと鳴る笛の音。眩しい光の中紅い閃光が走り輝く衣装を纏った男が、 現れた。「よりいっぱいの愛で救ったんねん!キュア・アモーレ! 」「嘘やろ……」それはプリキュアに変身した侑の姿だった。傍には雪のように白いキツネ。その鋭い目線には見覚えがあった。アモーレはたこ焼きに熱狂する客をかき分け治の元へ走る。「俺はお前の笑顔とたこ焼きを愛する心を守りたい! 」そしてばあちゃんの背中を覆う黒いオーラに向かって力強くボールを打ち出す。ボールから放たれた七色の光はばあちゃんと客から黒いオーラを振り払った。瞬く間の出来事だった。人々は皆失神しているようだ。「侑、ようやった。しばらくしたらみんな目が覚める。その前に撤収や」キツネが促すも侑は動かない。「サム。これが俺の決めた道や。俺はやる。こんな格好で何言っとんねんと思うやろ。ダサいて罵ってくれ。でもな、俺はもう決めてん。北さんの世界も俺達の世界も、俺が守る。頑張ったで賞はいらん。賞賛か罵声かどっちかでええねん。どっちかの中におりたいねん」180㎝を超えるスポーツマンの身体には不似合いなレオタードのような衣装もひらひらしたスカートも、ガニ股にロングブーツも胸元の光る飾りも全てがダサい。ヤバい。そう思ったが侑の真剣な表情は格好良く見えた。何より愛に溢れていた。1人で戦っていく覚悟を決めた侑は自分よりずっと大人で眩しい。負けたくない気持ちと俺がこいつを守らなければいけないと言う気持ちが治を動かした。「……俺もやる。俺もやったるわ、プリキュア」「治ありがとう。しんどい思いさせることになるけど、俺は2人のこと信じてんで。」いつの間にか人間の姿に戻った北が言った。そして紫色の石が嵌め込まれたホイッスルを治に渡した。「ほれ、吹いてみ。お前がキュア・ヴォラスや」渡された笛は吹かなかった。「いやでもこれ衣装あかんやつですやん。とりあえず次の危機まではやりません。」まあええわと北は笑い3人はたこ焼きを手に取り帰路についた。
    「ねぇあれ、侑と治じゃない……? 」「あのキツネ、北さんに変身したよな? 見間違いちゃうよな? 」その様子を見ていた人間がいた。銀島と角名だった。
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    MEMO北侑♀
    北さん高3、侑高2の時に付き合い始めた2人。
    始まりは侑の片思いで、猛アタックの結果「学業と部活を疎かにしないこと」を条件にお付き合いが始まった。
    侑は気が強く破天荒だが美人、バレーの実力もあり男女共にファンも多く、スクールカースト上位の運動部男子と付き合っては「おもんない」とすぐに別れていた。一方北さんはバレー部男子主将としてそれなりにモテてはいたが「付き合うとかそういうのとちゃうねんな〜」枠で、未だ女性とお付き合いをしたことがなかった。
    お互い面識はあったものの深い関わりはなく、男バレの後輩を叱る姿を多く見かけたことと、自分も過去に怒られたことがあり侑は北さんのことが苦手だった。その後なんやかんやあって北さんに惚れてしまった侑、意識した途端今までの素行を改めて北さんに猛アタック。しかし急に良い子になれることもなく悶々とする。ある時女子の試合を見にきた男子バレー部、北さんがおる!といつもより張り切るも負けてしまう。悔しくて1人人気のないところで泣いていると北さんが声をかけてくれる。「残念やったな、でもええプレーやったと思うで」普段北さんの前で猫を被っていた侑、はじめて北さんの前で本音を晒す。「でも、結果が全てなんです。負けたら意味ないです。勝ち以外要らん」フフッ、と笑う北さん。「何がおもろいんですか」「いや、最近やたら大人しいええ子になったなと思とったけど、やっぱり侑やなぁ」はじめて見た北さんの笑顔に涙も止まる。
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