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    稲荷崎プリキュアパロ

    第4話 友情なんて、3人が何か隠していることは知っていた。あの日見たキツい格好の侑と真っ白なキツネが関係していることも。それでも角名は我関せずの態度を貫いた。練習後北に呼び出されてどこかへ消えていく3人。「じゃあまた明日」危険に立ち向かっていることはなんとなく分かっていたので去っていく背中を見つめながら「気を付けて」と呟いた。
    ある日銀島が足を負傷した。「昨日練習中にやってもうたわ、大したことない」と言うがそのような場面は見ていない。侑と治は神妙な顔をしている。「角名、ちょっとええか」皆が心配する中、北は角名を呼び出した。「銀のことやねんけど」「……はい」勿論角名は察していた。銀島の怪我が練習中のものではないこと、そして自分も何かに巻き込まれそうになっていること。「もう色々バレとるやろし、簡単に説明するわ。俺ほんまはキタキツネやねん。んでな、俺らの世界が温暖化でやばいことなってんねんな。侑、治、銀はそれを助ける為にプリキュアとして戦ってくれとる。あとはわかるな? 」「いえ全然わかりませんけど……」「細かいことはええねん。プリキュアはな、人々を熱狂させる奴やないとあかんねん。角名にはプリキュアの素質がある。お前のプレーは人々を魅了する。スカした顔してほんまは負けず嫌いなことも知っとる。どや、一回だけでもやってみいひんか」「え……普通に嫌ですけど……てか温暖化? そんな感じなんです? 地球滅亡とかじゃなくて? 」「地球温暖化はいずれ世界を滅ぼすで」「そうですか……でも俺は人助けも世界滅亡も興味ないんで。向いてないです」「あいつらが命懸けとってもか? 」「興味ないです」そう言うと角名は北に向かって少しだけ頭を下げ行ってしまった。「命懸けてるなんて大げさじゃん。友達の為とかそういうのよくわかんねえし」角名はひとり呟いた。帰り道、いつものようにスマホを取り出す。今日撮った双子乱闘あげとこ。そんな事を考えながらSNSを開いた。画面をスクロールすれば、どこに行った、何を食べた、天気がどうだ、そんな投稿の中にとりわけ目を惹く自撮り写真。”ええな”の数が群を抜いて多い。写真を見ているとだんだんと目が離せなくなっていった。自撮り写真は単純に”ええな”を稼げるなと思った次の瞬間には、角名は自分自身にカメラを向けていた。顔だけじゃ伸びないかな、露出とかした方が”ええな”増えるかも。角名は着ていたジャージのチャックを、ゆっくりと降ろしていった。黒いオーラに包まれていることにも気が付かずに。その時「角名! 脱いだらあかん!! 」遠くから治の声が響く。「腹減ってる時に戦うとな!もっと戦いたなんねん!キュア・ヴォラス! 」辺りが光に包まれた。プリキュアに変身した治は、同じく変身した侑、もといキュア・アモーレのあげたトスを捉え角名のスマホ目掛けボールを打った。「あかーん!! 」響く声。その声と共にヴォラスが100%の力で打ったボールは角名へ真っすぐ飛んでいき、見事顔面に命中。角名はそのまま意識を失った。「うっわ、やってもた……」「クソヴォラス、ほんまポンコツやな」「うっさいわアモーレ。ちょっとトス低かったんちゃう? 」「はぁ? 俺のトスで決められへん奴が悪いねん」「ふたりとも、角名が伸びてるうちに片付てまい」「ウィッス」二人は北の指示で角名のスマホを拾い上げた。するとスマホから漆黒が広がり、二人を飲み込んだ。「アモーレ! ヴォラス!! 」北は叫ぶ。北の隣で見ていた銀島も身を乗り出す。「俺が行きます!! 」「あかん。お前、その足では動かれへんやろ。足手まといになるだけや」「でも……! 」今はただ2人の無事を祈るほかないのだと北は銀島を諫めた。そんな中、角名は目を覚ました。「なんか治の声がしたような気がする……えっなんで俺ジャージはだけてんの? てか何あの黒いの。中から治と侑の声がする……? 」「角名! 目ぇ覚めたか! 今こそお前の力が必要や! これを吹くんや! 」北は角名に向かってホイッスルを投げた。黄緑色の石が輝く。「あー待って……キツネから北さんの声する。嫌だ。もうちょっと寝てたい。いやこっちが夢?あーもうわけわかんねぇ」「角名! お前の力が必要やねん! アモーレとヴォラス、このままやともう……頼む、助けてくれ! 俺はもっとお前らとバレーやりたいねん! 」その言葉は角名を動かした。「へえ。侑がアモーレで治がヴォラスなんだ。だっせえ。でもあいつら、バレーもやって世界も救ってるんだ。銀も自分を犠牲にして人を助けてるなんて、なんかちょっと、かっこいいじゃん。俺は人助けなんか一ミリも興味ないけどさ。まだみんなとバレーやってたいなって思うよ」そうして高く放り投げられたホイッスルを手に取ると全身全霊の力で吹いた。ピ-ッ!!高らかに音が鳴り響き、白い光と共に宝石のような黄緑色のオーラが角名を包む。「俺は人の為とかそうでないとかどっちでもイイヨ。キュア・トロンコ……! 」現れた姿を見て北は満足げに微笑んだ。「銀、ボール出しなら出来るやろ」「ハイッ!!! 」銀島は返事をし角名に向かってボールを投げた。涙で前が見えない。コントロールはめちゃくちゃだった。トロンコは到底無理と思われた角度のボールにあっさり触れたかと思うと、そのまま全力で打ち抜いた。アモーレとヴォラスを飲み込んだ黒いオーラを一掃した。オーラが晴れるとそこにはボロボロになった2人の姿。レオタードは裂け、スカートはほとんど破れてなくなり、ブーツは跡形もなかった。治は両腕で身体を覆い言った。「嫌や角名、見んとって……」「ゴツい身体して何恥ずかしがってんだよ」侑も半分泣きながら訴える。「もうお嫁に行かれへん」「うるせえ●ね。俺に突っ込みやらせんな」黒いオーラが完全に消え去ると、北はキツネの姿のままトロンコの前に来て言った。「お前はやってくれると信じとった。ありがとうな」銀島はまだ泣いている。「うっ……角名、ほんまに、ほんまにありがとう。俺がなんも役に立たんばっかりにすまんな。あと衣装ええな、格好ええで」角名はその時になって初めて自分のプリキュアの姿に意識を向けた。レオタードは最悪だけど多分全員ほぼ同じものだろう。しかしその下。アモーレやヴォラスのふわふわとしたスカートではなく、ジュスティーツアのようなショートパンツでもない。ただでさえ短いスカートの片側に深く入ったスリット。そしてハイヒールパンプス。露出度文句なしNo. 1。「なんっでだよ……」地面にしゃがみ込み項垂れたが下半身の心もとない感覚に、脚をぴったりと閉じた。その様子を見た北は「お前なら大丈夫や。頼むで、キュア・トロンコ」と笑った。「北さん、今日は何食べます? 角名もプリキュアになったことやし焼肉行きません? 」「それええな!北さん! 俺も焼肉行きたいですー! 」「俺もいっぱい食うて早よ怪我治すわ! 」元気に笑う3人の姿を見て「少しだけなら付き合ってやってもいいかな」と角名は笑った。
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    MEMO北侑♀
    北さん高3、侑高2の時に付き合い始めた2人。
    始まりは侑の片思いで、猛アタックの結果「学業と部活を疎かにしないこと」を条件にお付き合いが始まった。
    侑は気が強く破天荒だが美人、バレーの実力もあり男女共にファンも多く、スクールカースト上位の運動部男子と付き合っては「おもんない」とすぐに別れていた。一方北さんはバレー部男子主将としてそれなりにモテてはいたが「付き合うとかそういうのとちゃうねんな〜」枠で、未だ女性とお付き合いをしたことがなかった。
    お互い面識はあったものの深い関わりはなく、男バレの後輩を叱る姿を多く見かけたことと、自分も過去に怒られたことがあり侑は北さんのことが苦手だった。その後なんやかんやあって北さんに惚れてしまった侑、意識した途端今までの素行を改めて北さんに猛アタック。しかし急に良い子になれることもなく悶々とする。ある時女子の試合を見にきた男子バレー部、北さんがおる!といつもより張り切るも負けてしまう。悔しくて1人人気のないところで泣いていると北さんが声をかけてくれる。「残念やったな、でもええプレーやったと思うで」普段北さんの前で猫を被っていた侑、はじめて北さんの前で本音を晒す。「でも、結果が全てなんです。負けたら意味ないです。勝ち以外要らん」フフッ、と笑う北さん。「何がおもろいんですか」「いや、最近やたら大人しいええ子になったなと思とったけど、やっぱり侑やなぁ」はじめて見た北さんの笑顔に涙も止まる。
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