Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Kamo_asshi

    @Kamo_asshi

    ソウル兄妹の幸せと安泰を祈ります。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    Kamo_asshi

    ☆quiet follow

    内容は誕生日用に考えているやつなのでただのメモです。たぶんおっちゃんとロディの話になる。
    小説はエディとアランのメモ書き以来な気がします。オンリーの展示もこのレベルです。
    本当に書くだけの文章しか書けないので読むに値しないとおもったらどうかオンリーの貴重な開催時間はほかサークルさん見てほしい。
    展示用の作品じゃないからサンプルにはならないけどこんな感じです。

    「誕生日は感謝する日なんだって!」
    ニアちゃんがもうすぐ誕生日で、そしたら先生がそう言ったの!と楽しそうに友達の話を聴かせてくれるララにうんうんと笑顔で頷く。
    「この子がニアちゃん!いつも可愛いスカート履いててね、すっごく足が速いんだよ。この子はルー君で、とっても物知りなの。車が好きですれ違った車の名前が全部わかるんだって!」
    今日は追いかけっこしたの、と真っ白だった紙には走る子どもたちの絵がクレヨンで描かれている。
    「ララ、お兄ちゃんの勉強の邪魔しちゃ駄目だよ」
    お湯が沸いたことを知らせるポットのけたたましい音を消しに行ったロロがコーヒーカップを持って戻ってきた。ララは「邪魔してないもん」と可愛い頬を丸めて紙の上にクレヨンを滑らせる。
    「ロロは学校どうだ?」
    マグカップを受け取りロロを見やれば空いた方の手でブイサインを作っていた。
    「ばっちり!お兄ちゃんが教えてくれるから授業にもついていけてるし、楽しいよ」
    「楽しいのはいいけど帰り遅くならないようにな」
    「みんなが離してくれないんだよ……」
    心配だからさ、と伝えるとさっきまで笑顔だったロロの声が途端に小さくなる。ロロはサッカーがかなり上手いらしい。これはロロが学校に通うようになって初めて知ったことだった。色々スポーツに参加してみたらかなり運動神経が良かったそうだ。そして今では放課後にサッカーをする友達もできた。サッカー以外でも引っ張りだこらしいが住んでいる地域がここなのだ。暗くなってから帰ろうとしてもこの家まできっと無事には帰ってこれない。遊びたい盛りなのは分かっている。やっと学校に通って友達も出来て楽しいことばかりなのにほかの子達のように遊ばせてやれないことに申し訳なさを感じる。
    「ね、これの解き方教えて」
    ちょんちょんと小突かれはっとするといつの間にか教材を広げ宿題の準備を終えたロロが設問の一つを指さしていた。
    「おー……?」
    問題集を受け取り問題文に目を通す。ここをこうして、そこをあーしてと説明すればうんうんなるほどとロロがペンを動かす。
    しばらく教えてやればすっかり解き方を理解し説明がなくとも答えを書き連ねていく。ロロの集中してきた様子に口を出すことを辞め全く理解が進まない物理の解説本に目を移した。
    「pi」
    ピノが小さな声で咎めるように鳴いた。顔を上げると眠そうにあくびを噛み殺すロロと紙の上に突っ伏して寝ているララが視界に入る。もう寝なさいとドアの前で怒るお母さんのように仁王立ちし胸を膨らませたピノが二人を寝かすように促す。
    ララの顔や指に付いたクレヨンを拭いて「もう少しがんばれー」とベッドまで連れて行ってやれば先に寝る準備を整えたロロがララを抱き上げ寝かしつける。
    「お兄ちゃんも早めに寝てね」
    スースーと静かな寝息を立てるララの隣に横になったロロが大きなあくびをする。
    「ああ、おやすみ」
    「おやすみ…」
    ロロも眠り始めるのを見守りそっとベッドのそばを離れる。あまり遅くまでやっていると明日の仕事に差し障る。4時間くらいかな、と翌朝までのスケジュールを考え学習内容を思案する。
    パイロットになるためには学が必要だ。
    そのことはパイロットになると決めて真剣に学び始めたことでよく分かった。あの日クレイド空港からセスナを借りて目的地まで飛ばせたことも、着陸時に自分が無事だったことも全部が本当に奇跡だ。
    パイロットになりたいと声高に言えていた頃の記憶とどこかで読んだか見たかしただけの知識で「基礎は分かっている」と飛んでみせたことは運が良かっただけだった。あの悪天候の中、世界中が混乱し管制塔すらまともに機能していない状況でなんて危ないことをしたんだと後からヒーローにこってり絞られたことを思い出し苦笑いがこぼれる。
    あの事件のあと、病院で治療とリハビリに励む中ヒーローには常に怒られていた気がする。基本的にヒーローが怒る理由は「民間人が危ないことをした」からだった。民間人を守るためにヒーロー活動をしているのだから自ら危険に飛び込む民間人に怒るのも当たり前かとおとなしくお叱りを受ける中であることに気が付いた。誰も俺のことを「犯罪者」とも「敵」とも言わない。俺がどうして巻き込まれたか知っているはずなのに誰も俺をそう呼ばなかった。俺が何者であれヒーローにとって俺は「民間人」だった。
    『困ってる人を放っておけないよ』とデクは言った。
    犯罪者だと名乗った俺にデクはそう言った。あの時はよく分からなかった。けれど、痛みと達成感で夢のような浮遊感の中過ごした病院での日々を通してなんとなく分かったような気はしている。
    「いや、やっぱわかんねえな」
    ハッと小さく笑い「集中集中」と広げたノートを注視する。分かるわけがない、あんな無茶苦茶なヒーローの考えなんて。ロロとララに新しい居場所が出来て、俺は真っ当な仕事を始めて、パイロットになるなんて寝言を本気で言うようになって、それでも生活は依然苦しい。敵犯罪被害者への補助金や福祉サポートが受けられるようになったとはいえロロとララに友達と同じような生活はさせられないしパイロットになるための学校に入る金も貯まるのはいつ頃かなんて目途は全く立たない。
    今、俺にできることはロロとララの生活を支えて選択肢を増やしてやることだ。俺は空を飛べた。これからだって飛べる。だから今度は俺が伝えたい。
    目指したいものを目指していい。なりたいものになっていい。
    なんて伝えても二人ともハテナを浮かべるか却って気を使うかだろう。だから俺がデクと出会えてその在り方と言葉に夢を見たようにそんな誰かと出会って二人の世界が少しだけ明るくなった時に背中を押せる兄でいたい。俺の背中はデクが押してくれた。親父が押してくれた。羽をくれたのはデクだ。諦めない心をくれたのは親父だ。あんなに遠くてくすんでいた空が手を伸ばせるほど近づくのがこの世界だ。先のことを考えられる日々を送れているのも、空を目指して生きる覚悟を決められたことも全部デクのおかげだ。
    「だから……デクにありがとうくらいなら言ってもいいな」
    無意識に口に出したことに気が付いたのは机の上で眠そうに体ごと頭を揺らしていたピノが寝ぼけた小さな声で「ぴゅい」と同意したからだった。慌てて口を押え静まり返る家の中から物音がしないか聞き耳を立てる。着ているTシャツの布が擦れる音がするだけでロロやララが起きた気配はない。時計を確認すると予定していた時間まであと30分といったところだった。
     ― もう今日はだめだな
    やはり理解できない物理の本を閉じ体を伸ばすと肩と首に小さな痛みが走る。ぼきぼきと鳴る肩を回しながら時間をとってほぐさないとだめだなと明日の空いている時間を探す。「パイロットになるなら体も作った方がいいわ、特にヒーローと関わるようなパイロットを視野に入れているならね」と机に散乱する教材を用意し渡してくれたヒーローのクレアはそんな言葉をつけ添えた。選択肢はあるに越したことはない。ヒーローと関わりたいなんて一言も言ったことはないが、そういうパイロットもあるなら目指せるようにはしておきたい。それだけだ。体の調子に気を使い始めたのはそれだけの理由だ。それ以外の理由はない。
    バーの仕事が終わって帰ったらララに背中踏んでもらうか、と腰回りも軽く動かしコリの具合を確認する。体中バキバキと音をたてるのは勉強に勤しんでいるからだけではない。スタンリークのおっちゃんがその原因の大半だとロディは考えている。開店前のバー内外の掃除に椅子と机の整理、厨房での食材準備に各設備の点検清掃、開店後は給仕食器洗い注文取りと店の中を駆けずり回る。明日もこき使われることを思うとため息が出てくるがこうしてまともな仕事で雇ってくれていることには感謝している。バーを経営するだけある料理の腕前を振るったまかないは一人分にしては多く持ち帰れと怒鳴られたときは目を丸くした。「金取る…?」と恐る恐る確認した結果来月の出勤表とタッパと共に店の外に放り出された日はそのまま店の外でしばらく放心したものだ。窓が開き顔を出したおっちゃんが「さっさと帰れ!冷めるだろ!」ともう一度怒鳴り声をあげたことでやっとふらふらと道中の記憶もないまま帰宅したのだ。
     ― 感謝するしかないな……
    外に出るようになったことでロロとララの食べる量は増えていたし育ち盛りの子供の食費が増加していくことは当然だ。まかないのおかげで二人にしっかり食べさせてやれるし何より美味しいものを食べて幸せそうに笑う二人と一羽を見る機会が増えた。
    これで文句など言っていたら罰が当たる。金切り声で怒鳴るおっさんを仏だと思うのは神様なんて信じていないにしても多少の躊躇いがあるが、有難いことには違いなかった。
    おっちゃんの鬼のような形相を思い出しながら明日もまたこき使われる覚悟を決める。
    殆ど寝ているピノを掌に乗せ音をたてないよう慎重にリビングへ移動する。玄関寄りのソファの背に掛けられた上着のポケットをまさぐり今日渡された来月の出勤表を開く。軽くカーテンを開け淡い月の光を頼りに目当ての日付を探し出す。
    2月13日
    俺が生まれた日には出勤予定がしっかりと記されている。
    『誕生日は感謝する日なんだって!』
    ララの話を思い出す。
     ― 感謝する日ねえ…
    おっちゃんには感謝してもしきれない。今の仕事だけじゃない。ずっと世話になっている。
    窓に背を向け暗くなった手元の紙を机の上に滑らせる。ピノはすっかり寝付いていた。小さく上下するピンクの背中を眺めているうちにロディの瞼は落ちていった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    Kamo_asshi

    MEMO内容は誕生日用に考えているやつなのでただのメモです。たぶんおっちゃんとロディの話になる。
    小説はエディとアランのメモ書き以来な気がします。オンリーの展示もこのレベルです。
    本当に書くだけの文章しか書けないので読むに値しないとおもったらどうかオンリーの貴重な開催時間はほかサークルさん見てほしい。
    展示用の作品じゃないからサンプルにはならないけどこんな感じです。
    「誕生日は感謝する日なんだって!」
    ニアちゃんがもうすぐ誕生日で、そしたら先生がそう言ったの!と楽しそうに友達の話を聴かせてくれるララにうんうんと笑顔で頷く。
    「この子がニアちゃん!いつも可愛いスカート履いててね、すっごく足が速いんだよ。この子はルー君で、とっても物知りなの。車が好きですれ違った車の名前が全部わかるんだって!」
    今日は追いかけっこしたの、と真っ白だった紙には走る子どもたちの絵がクレヨンで描かれている。
    「ララ、お兄ちゃんの勉強の邪魔しちゃ駄目だよ」
    お湯が沸いたことを知らせるポットのけたたましい音を消しに行ったロロがコーヒーカップを持って戻ってきた。ララは「邪魔してないもん」と可愛い頬を丸めて紙の上にクレヨンを滑らせる。
    3946

    recommended works