薪にゃんと一緒(舞ちゃんのクリスマス)パパとママへ
きのうのよる、はやくサンタさんがこないかなぁってベッドのなかでドキドキしていたら、マイのところにちょっとかわったサンタさんがきました。
サンタさん、ふつうにドアをコンコンってして、こんばんはっていってはいってきたんだよ。マイがおきてるってしってたのかな?
サンタさんはあかいおぼうしにあかいおようふくをきておひげをはやしていたけど、おじいちゃんじゃないみたいでね、すごくきれいなサンタさんだったの。パパとママにもあわせてあげたかったなぁ。それからこーちゃんにも。こーちゃんはね、いつも「マキさん」のことをすごくきれいなひとなんだよっていうんだけど、きっとあのサンタさんは「マキさん」よりきれいだとおもうの。
あとね、サンタさんのおしりには、しっぽがはえてるんだよ!すごいでしょう?
「メリークリスマス!マイちゃん」
サンタさんはにっこりわらいながらそういって、もってきたしろいおおきなふくろをおきました。こんなにおおきなふくろにはいっているんだからどんなにおおきなプレゼントかしら?そうおもったんだけど、サンタさんはそこからじゃなくて、おようふくのポケットからだしたちいさなはこを「はい、いいこのマイちゃんにプレゼントだよ」といってくれました。キラキラしたあかいちいさなはこで、きんいろのリボンがついていて、もったらちょっとだけおもくてびっくりしたよ。
「あさになったらあけようね」
ほんとうはすぐにあけてみたかったけど、サンタさんにそういわれちゃったからがまんすることにしました。もちろん、ちゃんとありがとうっていったよ。いつもはねているうちにきちゃうサンタさんにはあえないから、ありがとうがいえてうれしかったです。
サンタさんってとってもいそがしいとおもってたんだけど、そのサンタさんはマイのおうちにしかこないサンタさんなんだって。それで、ちょっとおはなしをしようか、っていうと、ベッドのよこにすわってこっちをニコニコしながらみていました。なにかいいことがあったのかな?
おはなしをしていいっていわれたから、マイは、きになったことをきいてみることにしました。きになったらはずかしがらずになんでもきくといいよってこーちゃんがいっていたから。
「ねえサンタさん、どうしてプレゼント、ふくろにいれてこないの?」
すごくおもそうなふくろなのに、からっぽなの?
「ああこれ?これはね、だみーだから」
「だみーってなあに?」
「もぞうひんっていういみだよ」
もぞう?ちっともよくわからなかったけど、おおきくなったらわかるからね、とサンタさんがいうので、マイはきくのをやめてべつのしつもんをすることにしました。
「サンタさん、どうしてサンタさんにはネコみたいなしっぽがはえてるの?」
「それはぼくがねこみみしっぽつきのいきりょうサンタだからだよ」
「いきりょうサンタ?」
「そう。マイちゃんだけにみえるスペシャルなサンタってこと。スペシャルはわかる?」
うん、それならわかる。とくべつってことでしょ?
「マイにしかみえないの?」
「うん、ぼくはマイちゃんのためだけのとくべつなサンタさんだから」
ふぅん。とくべつって、ちょっとワクワクするね。マイだけのサンタさんなんだったら、やっぱりあのおおきなふくろにはなんにもはいっていないのかな?へんなサンタさん。
「ほんとにマイのおともだちのおうちなんかはいかないの?」
きいてみると、サンタさんはうん、とうなずきました。
「そっちはほんしょくのサンタさんがまわるからいいんだ。あ、でもあおき──いや、こーちゃんのところにはあとでおじゃまするけどね」
サンタさんはごにょごにょとはずかしそうにこーちゃんのはなしをしました。サンタさん、こーちゃんのことしってるんだ。おともだちなの?
「うん、まぁね。マイちゃんはあお…こーちゃんのことがすき?」
「うん、だいすきだよ」
「ぼくもだいすきなんだ。いっしょだね」
「ほんと!?じゃあサンタさん、こーちゃんのおよめさんになってあげて!サンタさんみたいなきれーなおよめさんなら、きっとこーちゃんもすごくよろこぶとおもうの」
「え…っ」
すごくいいかんがえだとおもったんだけど、サンタさんはちょっとびっくりしたみたいでした。
「いや…でも、ぼくはおとこだから。およめさんはむりかな」
「どうして?さいきんはおとこのひとどうしでもけっこんするひともいるんだよ」
「…………マイちゃん、すすんでるんだね」
サンタさんはこまったようにわらって、こーちゃんのおよめさんにはマイちゃんがなってあげるといいよ、といいました。
「それはだめなの。こーちゃんとマイは『ちちおや』と『むすめ』みたいなものだからけっこんはできないのよ?」
「…………やっぱりすすんでるねマイちゃん」
アハハ、とサンタさんはわらっていました。ほんとうなんだから。おばあちゃんがいってたもの。
「それにね、マイがけっこんするひとはもうきめてるの」
「えっ、そうなの?だれ?…ま、まさかやっちゃんじゃないよね」
サンタさんやっちゃんもしってるの?
「あ、うん…その、サンタさんはえらいからね。やっちゃんはぼくのいうことはなんでもきかなきゃいけないだ」
やっちゃんのおしごとってサンタさんのおてつだいだったんだ?すごい!
「でもざんねんでした!やっちゃんはちがうよ?やっちゃんはマイがおおきくなったらもうおじいちゃんだからけっこんできないんだって、こーちゃんがいってたの」
「そ、そう…。おか…いや、やっちゃんかわいそうだね、おじいちゃんか…。じゃあマイちゃんはだれとけっこんするのかな?サンタさんにおしえてくれる?」
うーん。どうしようかな。だってこれはマイのひみつなんだもの。まだだれにもいってないの。
「でも、サンタさんならいいかな。そのかわり、ぜったいだれにもひみつだからね」
「うん、サンタさんはひみつをまもるのがおしごとだから、だれにもいわないよ。やくそくする」
サンタさんがしっかりやくそくしてくれたから、それからマイはとっておきのひみつをおしえてあげました。
じゃあ、おしえてあげる。マイはね、「マキさん」とけっこんするの。「マキさん」はね、こーちゃんがだいすきなひとなんだよ?こーちゃん、「マキさん」のおはなしをするときはすごくうれしそうにわらってるの。たまにしかられるときもあるみたいだけど、ないたりしないでがんばってるんだよ。そうしたらつぎはほめてもらえるかもしれないもんね。
それからね、「マキさん」はおこりんぼうだけど、ほんとはとってもやさしいんだって。
そんなにやさしいひとなのに、「マキさん」にはこーちゃんにマイがいるみたいに、「かぞく」がいないの。だからこーちゃんは、「マキさん」といつか、かぞくになれるといいんだけどなぁっていつもいってる。とおくにいる「マキさん」がさびしくないか、とてもしんぱいなんだって。そのおはなしをするときのこーちゃんはすこしだけさびしそうだからかわいそう。
「マキさん」はおしごとがだいすきでとってもいそがしいから、おくさんになりたいひとがいてもだれもけっこんできないんじゃないかっておばあちゃんがいってた。けっこんできてもおしごとばっかりなひとじゃあさびしいでしょうって。でもね、マイは「マキさん」がいくらおしごとでいそがしくてもさびしいなんておもわないよ。だってこーちゃんもとってもおしごといそがしいけど、さびしいなんておもったことないもの。
だから、「まきさん」のおよめさんにはマイがなってあげるんだ。そうしたらこーちゃんも「まきさん」がかぞくになってあんしんだし、「マキさん」もさびしくないでしょ?マイはね、まだ「マキさん」にあったことはないんだけど、きっとだいすきになるじしんがあるの。こーちゃんがすきなひととまいがすきなひとはいっしょだから、こーちゃんがだいすきひとならマイもだいすきになるってきまってるものね。
サンタさんはだまってマイのおはなしをきいていてくれました。サンタさんがひみつのおはなしがおわってもだまったままでじいっとしているから、マイはおしまいだよ、っておしえてあげました。それから、ないしょのやくそくでゆびきりをしてっておねがいしました。でもね、サンタさんってばおかしいの。ゆびきりっていったのに、マイのことぎゅーってしたんだよ。ゆびきり、しらなかったのかな。
サンタさんはマイのことをぎゅーってしながら、ありがとう、マイちゃんはやさしいねっていいました。おそとをずっとソリにのってはしってきたからなのかな?サンタさんはちょっとふるえていているみたいだったから、マイもサンタさんのことぎゅーってしてあげたの。こーちゃんとそうすると、いつもとってもあったかいから。
あさになってリビングにいったら、ツリーのしたにサンタさんからのおおきなプレゼントがおいていました。マイがほしかったミシンのおもちゃだったから、きっとこっちはいつものサンタさんね。マイがよるにきてくれたきれいなサンタさんのおはなしをすると、こーちゃんはすごくびっくりしたかおをしていました。それから、しっぽがあったの?ほんとに?みみは?ほんとにあったの?ってなんかいもききました。だからマイはサンタさんからもらったちいさいプレゼントをみせてあげることにしました。リボンをとってはこをあけたら、なかからガラスだまのおおきなのがでてきました。それはね、ひっくりかえしてもとにもどすと、なかにキラキラひかるゆきがふるんだよ。ガラスのなかにはちいさいまちがはいっていて、おおきなもんみたいなのがたっていました。こーちゃんは「パリだね」っていってなんだかうれしそうにわらっていました。それからそのガラスだまは「すのーどーむ」っていうんだって。マイはそれがとてもきにいりました。
サンタさん、またらいねんもきてくれるかな?
じゃあ、またね。
マイより。