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    テマリ 倉庫

    @VR_040507

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    テマリ 倉庫

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    玲紗♀

    ねっさのまじゅちゅし用事を終え部屋に戻ろうとしていれば
    見知った顔が話している声が聞こえ
    聞けばこの砂漠に囲まれた街に旅団が立ち寄り国王のショウに気に入られ物資を調達する間とメンバーの怪我が回復するまでの間此処に滞在することとなったらしい

    「へぇー旅団が此処に来るなんて珍しいな」

    「だよねだよね!!
     しかもとびっきりの美女が数人いるらしいし
     今日の歓迎の宴席で踊りを見せてくれるんだってー!」

    「ふーん、それは楽しみじゃん」

    「レイジくん期待してないって顔してるー」

    「はいはい女に興味がなくて悪かったな」

    そう笑いながら言いその場を後にし
    宴席迄の間仕事を片付けて行く

    余り興味が引かれないし面倒だ…というのが本音だった
    魔術を勉強してからというもの
    人に何も無いところから“好意”を持たせる事は難しくても
    元々この容姿とこの肩書きを持った俺に対する興味
    その“興味を好意と錯覚させる”それは魔術を使えば正直言って簡単だ

    その為若い頃は気になれば自分の側に来るように色んな奴を仕向けていたが正直言って飽きてしまった

    そんな事より誰にも邪魔されずに、ショウが用意してくれている書物を読み、工面してくれた金で金の心配等せずに魔術研究をしている方がよほど面白いと思ってしまっている


    なのにその時間を削ってまで宴席に参加するのは面倒なのだった

    だけど時間は過ぎ、宴席が開始したのか騒がしくなってくる
    キリの良い所まで片付け宴席へと向かえば
    既に中心では薄紫の衣を纏った女が踊りが終わる所だった

    「へぇ、結構綺麗じゃん」

    「レイジさん此方に食べ物ありますよ」

    「おーサンキュー」

    「はいお仕事お疲れさま、魔術師サマ」

    「ガクそれやめろって、でさ今どんな感じ?」

    「オーカっていう彼女の踊りを見たところ
     確か次が姉妹で踊るって言ってたかな」

    「ふーん」

    とりあえず食事でもするか、そう思い肉に手を伸ばし齧りつけば
    先程迄流れていた音楽とは違い煽ってくるような力強い音楽へと変わる
    気になって顔を上げれば赤い衣の女性と黄い衣の女性が共に踊りを始めた

    今迄こんなにも目を離せなくなったのはいつ振りだろうか
    気がつけば赤い衣をずっと目で追ってしまう
    周りの喧騒等全く耳に入らず
    手を伸ばしそうになってしまう


    —————————

    国王の近く
    顔が整った男達が此方をしっかりと見ているのに気がつく
    褒め称える様な様子ではなく、夢現に迷い込んだそんな惚けた様子を見て少し笑ってしまう


    もっと私を見ろ、私から目を離すな


    そう思いながらフタバと共に一曲踊りきるのだった


    —————————

    踊りが一旦終え踊り子達も食事をとる様に言われる
    話をしてみたい、だけどどのタイミングで行けば…
    そう思っていたら俺達の方へ求めていた赤い衣の女性が黄い衣の女性の手を引き此方へとやってくる

    「あんたらの隣空いてる?」

    「ね、姉さん!!、えっとすみませんタカアキさんが良かったらお酒を注いで回ってきてと言われて…よければ如何ですか?」

    「私は果物残ってるみてーだから来ただけだけどな」

    「ねーさぁん」

    そう少し困った様に言う黄い衣の女性の姿は先程踊っていた片割れかと疑いたくなるほどの違うように感じる
    そして赤い衣の彼女も猫の様だと思ってしまう雰囲気だ
    先程迄の全てを喰らう様な雰囲気は見られない

    「良ければ俺の横どう?赤い衣の舞姫さん」

    「ん?ぁーあんたさっきの踊り中私をずっと見てた奴じゃねーか…じゃあお言葉に甘えて接待してやるよ」

    そう言い横にシャンシャンと鈴の音をだけを鳴らしながら座れば
    ふわりと甘い毒の様な、だけど嫌いでは無い香の匂いがし
    そして此方に戯れる様に近づき口を開けた為手に持っていた果実を与えれば
    少しだけ指に唇が触れるように食べ、妖しく微笑んだ

    「ん、うまい」

    「お口にあってなにより」

    横からひそひそと聞こえるが今は無視だ放置する

    「あんた名前は?」

    「ん?俺はレイジ、此処の魔術師をしてるっつーわけよろしくな舞姫」

    「ふーん」

    興味がなかったか、そう思っていたら舞姫は耳元に近づき俺にだけ聞こえる声で
    “イッサ、2人の時があれば呼んでいい”
    そう言われ嬉しくなり笑みを浮かべてしまうのだった

    そしてその後も何度も果物を与え、イッサは手持ちの酒を飲み干せば注いだ
    そして最後にイッサ達のリーダーのタカアキの踊りを見て宴席は終わった

    「ん、じゃーな魔術師サマ
     あんま簡単に女信用すんなよ?」

    「あ、俺の財布」

    「接待代」

    最後の最後に此方に触れてきたかと思ったらそういうことだったかと少し頭を抱える

    イッサはサイフの袋の存在をしっかり此方に見せながら旅団の面々の元へ帰っていく

    そんなに持っていたわけではないから接待代としてやるのは構わないが
    本当に彼女は面白いかもしれない、なんだったらイッサ自身が欲しいとまで思ってしまっていた

    そう思いながら、今までよりも強力な魔術を使ってみるか…と考えながら部屋に戻った

    —————————

    「……まあまあ入ってるな」

    「姉さんまたとったのー?怒られても知らないよ?」

    「ちゃんと私に気がありそうな魔術師サマからしか取ってねーよ、それに話してて問題にしなさそうなやつからしか最近は取ってない」

    「痛い目見ても知らないからねー」

    私が取ったのを見て諦めた様に、だけど構わないという様子で笑みを浮かべた魔術師野郎
    まあ何時もは体裁を気にして怒っているが大事にしない奴ならよくいるが…珍しい奴もいるものだと
    珍しく少しだけ考えるのだった

    —————————


    それから次の日もその次の日も宮殿の中を歩き回り
    イッサの事を探すが見つからず
    つまらないと思いながら月が綺麗な夜に外に出て散歩をしていれば
    少ない灯りをいくつも灯した幻想的な空間で
    踊っている姿を漸く見つけたのだった

    また目が奪われる
    触れたいと思ってしまう
    もっと近くで…そう思い近づいてしまい、気がつかれた

    「!!……あんた、魔術師さまじゃねーか、何の用だよ」

    「ごめんごめん、つい魅入られて近づき過ぎちゃった」

    「……まあ良いけど
    なあ魔術師さまなんかリクエストあるか?アンタから頂いた袋にそれなりに入ってたし
    アンタの為だけに一曲踊ってやるよ」

    「じゃあイッサの1番最初に覚えた踊りがみたい」

    「変な注文…まあ良いか」

    そう言ってイッサはヴェールを纏い
    宴や先程の荒々しいものとは違い耽美な踊りを披露する
    そんなものも踊れてしまうのか、この舞姫は…凄いな、美しい
    そう思いながら見ていれば踊りを終わる

    「満足いただけたか?魔術師さま」

    「うん、凄い綺麗だった」

    「どーも
    これからも魔術師さまがなんか貢いでくれるっつーんだったら踊ってやるよ」

    「じゃあ、さ…今身に付けてるコレとかは?」

    そう言いレイジは手元につけていた
    エメラルドで飾られたバングルを指差せば
    イッサは少し目を見開き猫の様ににやりとり笑みを浮かべる

    「そんな良いもの貢いでくれるなら、アンタに一晩買われてやっても良いけど…まあそういうのを受け取るかは気分で決める」

    「りょーかい、じゃあイッサに気に入られそうなもの用意して明日も来るね」

    「期待せずに待っててやるよ」

    そう言ってその日は別れたが
    それから毎日イッサが気に入ってくれないかと選んだいくつかの装飾を持ち会いに行く
    最初はすごい顔をして疑われたが次第に気に入ったものがあれば受け取ってくれるようになり
    そのうち俺が着飾りたいというのならその場でならつけてやると言われるようになった
    そのタイミングで好意を強く持たせる装飾具の首飾りが完成した

    母が残した首飾り
    純度の高い魔石を使われた首飾りを使えば
    失敗する事なく完成する

    そして満月の夜にイッサの元へそれを持ち向かうのだった

    —————————

    「イッサ今日の贈り物はコレなんだけど…さ
     イッサにつけて欲しいなって……俺の母様の形見なんだけどさ
     イッサにもらって欲しいんだ」

    「はぁ!?そんな大事なもの渡すとか正気かよ!?」

    「“イッサだから”渡したいし受け取って欲しい」

    そう言われ少し頬が熱くなったのを感じる
    そこまで言われて断る程コイツを嫌っていない自分に驚きながらも
    否定することでも無いかと思う自分に少し笑ってしまいながら
    邪魔にならない様に髪を避けレイジに首飾りをつけて貰う
    そして宝石を手に取り見た瞬間
    意識が沈む様な妙な感覚を感じたのだった

    「……………おやすみ、イッサ」

    最後に聞いた…レイジのこえは……どうして…こ、んな
    …に、も……

    —————————
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