上空450メートルにて 自分にとってのあの男について考える。
同じ隊で一つ年下の男。テンション高いわけではないけど、大阪出身らしくボケたらツッコんでくれる。過去の経験からか知略に富んでいて、あいつの策になんども助けられた。うちの隊に無くてはならない存在。色んなやつと組む機会はあったが、結局はあいつの策で動くのが一番動きやすかった。
大切な相手だ。それは間違いない。じゃあ、それは隠岐らとに対するそれと同じ『大切』か。
違う。皆とおるときに感じるわくわくそわそわと、あの男といる時に感じる安堵のようなそれは違うものだ。
あの男の傍でだけ泣き言を零すことが出来た。みっともないと思いつつも零した弱音を、大して興味も無さそうな顔で「イコさんも大変なんすね」なんて返すから。いやもっとかける言葉あるやろ、なんて言い募れば、「せやったら相談料で飯作ってくださいよ」と返ってきて、そのまま自室で飯を作ってやっている間に、何でそんなにしょうもないことに悩んでいたのか忘れるのである。つくづくあの男は俺という人間を理解していた。そういうところが好ましかった。
3554